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小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
13歳のはじまり

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80.チューリップ



くるくる…ふわぁ…


くるくる…ふわぁ…



「この制服可愛いね!」


春になり、魔法学校の制服が仕上がり、試着をしているところ。魔法学校の制服が凄く可愛くて、くるくる回っています!


くるくると回るとスカートがふわぁと広がって、ふわっと戻る動きが可愛くて何度も鏡の前で回ってしまう。


魔法学校の制服は、深みのある美しい暗緑の織部色のチェックワンピースに丸襟のシャツを合わせている。ワンピースがウエストを絞り、スカート部分は動きに合わせてふわぁと美しく動く様になっている。



「くっくっ。お嬢様はいつまで経ってもつるぺた(子供)だな。ほら、髪を結ぶ練習するぞ。」

「つるぺたじゃなくて、リマだよ!カイル先生、お願いします。」


魔法学校は侍女や執事を連れて行く事は出来ず、髪も1人で結ばないと風で乱れた時に困るので教えて貰う事にしたのだ。



「……リマお嬢様…不器用ですね……?」

「……そうみたい…?」


折角教わるなら編み込みの可愛い髪型が出来る様になりたかったけど、手が言うことを聞かず……いや、不器用の為、編み込みをする傍から髪が落ちて行ってしまい…全然編み込みが出来なかった……。


「この制服に似合うポニーテールを完璧にするぞ。」

「……うん。」


カイルのスパルタ特訓の甲斐があり、私はポニーテールだけ(・・)は綺麗に結べる様になった!



◇ ◇ ◇ ◇



「みんな綺麗に咲いたね。」


ぽかぽかな陽射しの中でチューリップの花は笑い合うように咲き誇る。うふふ。

雪の家の片付けを終えた後、3人で沢山のチューリップの球根を植えた。赤、白、黄色にピンク色もあり、エディンリーフの庭はとても華やかになった。


「みんなにお水あげるね。」


魔力水の出るジョーロを片手に持ち、端っこのチューリップから魔力水をかけていく。

魔力水をかけたチューリップは水がキラキラ煌いて嬉しそうに見える。私もチューリップみたいに嬉しくてわくわくしている。



「リマ、手伝うよ。」



ラルクの声がして振り返り、固まった……




…見惚れてしまった…




…今日はお互い魔法学校の制服を見せ合いっこする約束を交わしていた。



ラルクの魔法学校の制服は、深みのある美しい暗緑の織部色のチェックのパンツに白シャツ、濃紺のジャケットを合わせていて、すごく品がある。



「リマ、大丈夫?」


……何とかこくんと頷く私を見て、くすっとラルク笑った。



翡 翠(ヤーデ) (レーゲン)



ラルクの手が海のようなアクアマリンブルーに輝き、その輝きがチューリップの上に近付くと、青葉に降り注ぐ恵みのような翡翠雨がチューリップに優しく降り注いだ……


いつまでも見ていたくなる様な翡翠雨はゆっくりと止み、チューリップの花達の上に小さな虹がかかった。



「すごく綺麗…!ラルクありがとう!」

「どういたしまして。」


ぽんぽんと頭を撫でるラルクが魔法学校の制服を着ているので、いつもより更に更に素敵に見えて、少しくらくらしてしまう…。

目を合わせられなくて、もじもじしていると、ラルクがくすりと笑った。


「リマ、おいで?」


私が頷く前にラルクが手を繋ぎ、虹のかかるチューリップの花見が出来る様に準備していた敷物へ連れて行ってくれる。


2人で並んで座ろうとすると、


「ねえリマ、くるくる回ると可愛いって言っていたよね?」


……!


「くるくる回って見せて?」

「………」

「だめ?」

「…だめじゃない…。」


ラルクが捨てられた子犬みたいにしょんぼりしているのを見たら駄目と言えなかった…

ちょっと恥ずかしいけど、くるくるって回るとふわぁとスカートが広がる動きが可愛い制服なの!


くるっと1回転してラルクを見上げる。


「くるっとじゃなくて、くるくる回って?」


こくんと頷いて、今度はくるくる回る。

スカートの裾がふわぁと広がってふわっと戻るのが見える。やっぱり可愛い。


「リマかわいい。」



制服姿のラルクと並んで座ると魔法学校にいるみたいで変な感じがする。

2人でお互いの制服姿を見せ合いっこする。少し大人になったみたいで照れ臭い…。


「ポニーテールは、リマが結んだの?」

「…うん。変かな…?」

「ううん。かわいい。後ろ姿も見せて?」


ラルクに背中を見せる様に座ると、ラルクがポニーテールをくるくる指に巻き付けて遊び出す。毛先が首に当たるのがくすぐったくて、ふふっと笑ってしまう。

ラルクの指がポニーテールの黄金色の髪ゴムに触れると、ちゅ…と口付けを落とす音がした。


「リマに似合ってるね。」

「……ラルクの瞳の色みたいで気に入ってるの。…ありがとう。」

「どういたしまして。」


くすっと笑ったラルクの指が黄金色の髪ゴムから首筋にするする降りてくる。くすぐったくて、ラルクの指を捕まえようとすると、私の手が捕まってしまう。捕まった手に柔らかな唇の感触がする。


「こっち向いて?」


こくんと頷き、ラルクと向き合う。

やっぱり制服姿のラルクは更に更に素敵に見える。


「制服着ているだけで、リマが見惚れてくれるならずっと制服でいようかな?」


くすっとラルクに笑われる。


「リマと魔法学校に通うのが楽しみだな。」

「私もだよ。」

「リマ、かわいい。」


ラルクが私のおでこに口付けを落とし、私も自分からおあいこの口付けをラルクのおでこに落とした。



ほんの少しだけ、ラルクの耳が赤くなっていた…



制服を着るとほんの少し背伸びが出来るみたい…………


本日も読んで頂き、ありがとうございました。


今日は栗ご飯を食べました◎

栗美味しいですよね。大好きです。


今日もお疲れ様でした。

穏やかな夜が訪れますように。お休みなさい。

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