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77.火花の魔法



——ヒュゥゥー…



一筋の白い光が夜空に上がる。フッと消えた後…





——パァン…!



見事な花火の大輪が夜空に咲いた。



そこからは見事な花火が次々に打ち上がり、夜空に咲き誇る。

しばらく夜空の花火を見惚れて眺めた。


「リマ、何か食べようか?」

「うん。」

ご機嫌なお父さんにようやく下ろして貰い、料理を選びに向かう。


「お父さん、この肉饅と餡饅は料理長に作って貰ったの!美味しいよ?」

料理長に、ねっ?と話し掛けると、皆さんにも好評ですよと教えてくれる。


今日はピザとフライドポテトの他に、肉饅と餡饅、それに塩レモンで味付けした唐揚げもお酒に合いそうだと思い用意してもらった。

お父さんがリマの作ったのを全部食べるとお皿にもりもり料理を乗せていく…私が作ったわけじゃないし、あんなに食べたらお腹壊さないかな?あとで回復薬(ポーション)を渡そうかな…?



「そろそろ王子様の花火が始まるぞ?」

カイルが花火の見やすい場所に連れて行ってくれたので、ありがとうと伝え、王宮を見つめる。



新年を祝う花火は、開会を告げる花火を国王陛下が打ち上げ、しばらく王家の一族が全員で打ち上げる。

13歳になったラルクはこの後、1人でお披露目の花火を打ち上げた後、ハルトとラルクの王子2人で打ち上げを始める。

これは次の代も安定した統治が続く事を示す意味があるらしい。


去年はハルト1人で花火の打ち上げを行い、更に回復薬(ポーション)やププリュの実も不味くて大変だったと言っていた。


最後は国王陛下が火花の魔法をこれでもかと使い、新年を盛り上げて行くのだ。



花火の大輪が咲くのを止め、夜空に静寂が訪れる。


ラルクの打ち上げ花火がまもなく上がる……




——ヒュゥ…



一筋の光が夜空に走り、ふいに夜に隠れる…




——パァン…!






向日葵の大輪が夜空に咲いた!





——リマ、楽しみにしていて?




ラルクのくすりと笑う声が聞こえた気がした…




夜空に再び静寂が訪れると、わああと王宮に向けて歓声が上がる!





歓声が止み、静寂が訪れる。

ハルトとラルクの打ち上げ花火が始まる。



——ヒュゥ…ヒュゥ…ヒュゥ…



夜空に光がいくつも上がり、ふっと闇夜に隠れる…



——パァン…!パァン!パパァン!






夜空に花火の花が次々に咲いた…



次々に打ち上がる花火の中に向日葵の花火が混ざる。上に打ち上がる花火は太陽みたいで幻想的な光景だった。


私もエディンリーフ店の人達も言葉を止めて、次々に咲き誇る花火に魅入っていた。



…夜空に静寂が訪れると、わあああと地響きの様な歓声がラシャドル王国の王宮に向かって発せられた。




「王子様は、王都の中心で愛を叫ぶ……だな?」

くっくっと笑いながらカイルが私の肩をポンと叩く。



「………」


「良かったな?」

熱を持った顔でこくんと頷くと、カイルが優しく笑い、屋上に用意してある隅のソファに座らせてくれる。



再び花火が始まっているが、ラルクの向日葵の花火を思いながらソファに体を沈める。





「隣にいいかな?」

「これは見た事ない料理だな?」



「……えっ?」





…なんでここに?


ラルクとハルトが立っていた…!



「ここからは父上の時間だからな?」


ハルトが笑いながら私の隣に座る。ラルクもいつの間にか私の隣に座っていた。



「2人ともすごかった!」

「リマの回復薬(ポーション)のおかげかな?父上と母上も飲んでいたから凄い花火を打ち上げると思うよ?」



わあああと地響きの様な歓声が再び上がる。



「ね?」

ハルトが悪戯に成功したみたいな顔でウィンクした。




「リマ、新しいアズーキの料理があるって聞いたけど?」




…ハルトブレない!

…アズーキへの愛が溢れてる!



「うん!餡饅(あんまん)だよ!ふわふわな生地の中にアズーキが入ってるよ。」

「じゃあ取りに行ってくる!」


カイルに案内され、ハルトが足取り軽く料理長の元へ向かう。途中、お父さんに捕まり肩を叩かれたり、お母さんに捕まり色々話し込んでいるみたい。ラルクに聞いたらお父さんとお母さんは2人が来る事を知っていたらしい。




「リマ、おいで?」


ラルクに手を差し出され、手を重ねる。

ラルクは屋上を抜け、下のエディンリーフ店の中に入るとパタンと扉を閉めた。

窓際まで近付くと、屋上程は見えないが、花火が上がるのが見えた。


国王陛下の花火は夜空が昼間と勘違いしたのかと思う程、明るく華やかに花を咲かせていく。

キラキラと舞い散る火花の粉に目を奪われる。



花火が終わり、どおおおという先程とは比べ物にならない程の地鳴りが王宮に向けて発せられる。

次に上がるのは新年を告げる花火…



「ラルク、向日葵の花火すごくきれいだった!」

「楽しみにしててって言ったでしょ?」


腰にゆるく腕を回され、ラルクとおでこがくっつきそうな距離で話す。

腰に回された手の温度やラルクの爽やかでほろ苦い香りに酔った様に顔が熱くなる。



私達は引き寄せられるように目を合わせる…




ラルクの黄金色の瞳は甘やかな蜜を集めたよう…






……ヒュゥ……





……ラルクの手が頬に触れ、私は目を閉じる…






——パァン!









「リマ、新年おめでとう!」

「ラルク、新年おめでとう…。」








——ラシャドル王国の新年の花火に彩られ、私達は2度目の口付けを交わした…

本日も読んで頂き、ありがとうございました!


連休は更新をお休みします。

ようやく新年を迎えました。

物語ももうすぐ魔法学校入学まで終わりそうです。


本日も頑張っていきましょう◎

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