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75.魔王の配下

おはようございます。



「「「……………」」」



 私とラルクとハルトは魔王様と対峙した……!



◇ ◇ ◇



 秘密の雪の家を作るのは、これで3回目になる……私とラルクは13歳になり、来年、魔法学校に入学をする。ハルトは16歳になり、来年、魔法学校の4年生になる——



 秘密の雪の家は本当に居心地が良くて、ラルクは勿論、魔法学校が冬休みに入っているハルトも毎日の様に遊びに来ている。

 ソリ滑りをする日も雪合戦をする日もあれば、雪うさぎを作る日もあった。雪が降り積もる日は、雪の家の中でハルトは冬休みの宿題をしたり、みんなで本を読んだり、刺繍をしたり、昼寝をしたり、思い思いに好きな事をして過ごした。


 

 ハルトは年上で、物知りだった。

 植物(プランツェ)の本で読めない文字があれば教えてくれたし、ラルクが魔法の事を聞けば説明していた。年上だからと威張る事はしないで、いつも私とラルクを気にかけ、優しく手を差し伸べてくれる存在だった。


 私もラルクも、ハルトが大丈夫だと言えば、きっと大丈夫だと思っていたんだと思う。



「今日はピザを作ろう!」



 秘密の雪の家での食べ物も、私の前世の知識を総動員して、とても充実している。

  ピザ生地を作り、丸く伸ばした物を用意した。具材を色々用意して、好きな物を乗せて焼くことにした。

 ハルトは欲張り全部乗せピザを作り、ラルクはベーコン多めのキノコピザ、私はバジルをたっぷり乗せた数種類のチーズピザが出来た。



「あとはマリィに頼もう」



 私がエディンリーフの台所で焼いて貰おうと伝えると、ハルトが少し考え込み、ラルクと私を見て静かにこう言った。



「……私は、ピザを焼ける」



 エディンリーフの台所が如何に近くとも、雪の中をピザを運ぶことになり、絶対に冷めてしまう……ハルトが焼けるなら絶対に焼きたてが美味しいに決まっている……!



 ……ごくり



 誰の音かは分からない……だけども、焼きたて熱々のピザを食べられるという誘惑に勝てる者が居るだろうか?



 答えは、誰も居ない!




「ハルト、お願いします!」

「兄上、お願いします!」



(クライン) (ファイオー)


 ハルトの手がルビーのように赤く光り、ピザを包み込む。

 石窯の様に、ピザを全体で焼いている。表面のチーズが溶けてくるいい匂い、ピザ生地の縁が香ばしく焼ける匂い……



「良し、出来たぞ!」



 ハルトが焼けた宣言をして、私が手早く切り分ける。みんなで手を伸ばすと、持ち上げたピザからチーズが溶けて伸びる。

 パクッと口に運べば、焼きたて熱々のピザが口の中で……



「美味しいねっ!」



 すかさず用意していた、レモンスカッシュを飲む。

 レモンスカッシュは先程、ラルクが魔法で氷を出してくれて冷え冷えだ。

 ピザと炭酸、合うよね!

 ハルトが次々とピザを焼き、レモンスカッシュと一緒にどんどん食べた。

 勿論、凄く美味しいのだが……



「フライドポテト食べたいな……」



小春(前世)の頃から炭酸を飲むとフライドポテトが食べたくなるんです!



「フライドポテトは美味しいのか?」

「うん! 最高だよ! じゃがいもと塩と油が有れば、すぐ出来るよ」

「良し、じゃあ取りに行こう!」

「行こう行こう!」



 私達、3人は魔王へ向かう選択をした事に気付かないまま、エディンリーフの台所へ到着した。



「確か、ここに塩があったかな……?」

「じゃがいも有ったよ! いくついる?」

「油はどこだ…?」



 私達は夢中になって探していたので、気づかなかったのだ! そこに忍び寄る魔王の配下の気配に……



「お嬢様、何をされているんですか?」



「…料理長…!」



 私の手には、塩とじゃがいもが握られている。

 私の横に立つハルトは油の瓶を抱えている。



「えっと、フライドポテトを作ろうと思って…?」

「マリィから連絡は来ていませんが…?」

「あ、えっと、マリィがいなかったので、材料も少ないし、自分達で作ろうかな……と思って……」

「油を使う料理を自分達で………」



 料理長の視線が痛い。

 背中にたらたらと嫌な汗が流れるのを感じる。



「リマ様…ピザを焼きに来ないので心配していたのですが……?」



マリィが現れ、料理長と私達を見比べる…



「奥様をお呼びしますので、お待ち下さい。」





………





「リマ!ハルト!ラルク!」

「「「はい!!!」」」



  魔王に転職したお母さんの雷が私達に落ちた……!

 雪の家で油を使った料理をして、怪我でもしたら大変でしょう! と凄く凄く当たり前の事を怒られたハルトとラルクは、王妃様にもお母さんから連絡が行く事になり、2人は真っ青になっていた……私のせいでごめん……!



 ようやくお母さんから解放された私達は、秘密の雪の家に戻った。



「怒られたね…」

「ああ、怒られたな。」

「すごい怒られたね。」



…くすっ

…くすくす

…あはっ



あまりの馬鹿さ加減に私達は大笑いをして、リマの食いしん坊!ハルトもでしょう?ラルクも1番探すの張り切ってたよ!と笑いながら言い合った。


笑いすぎて床をころころ転がって、3人で頭をぶつけてまた笑った。



「フライドポテト食べ損なったな。」

「今度は食べようね。」

「今度はちゃんと料理長に作って貰おう?」



 私達が魔王と対峙した絆が生まれた頃、まもなく今年も終わろうとしていた——

本日も読んで頂き、ありがとうございました!


かまくら編はこれで終わりです。

ちょっとコメディタッチになりましたが、楽しんで頂けていたら嬉しいです。

あと数話で魔法学校入学まで完結する予定です。


今日も一日頑張って行きましょう◎

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