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小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
10歳のはじまり

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73.甘やかな和風甘味



「リマ、やはり私の嫁に来ないか?」



「「行きません!」」



ラルクと綺麗に声が揃う。



◇ ◇ ◇



照 明 (ラムペ)


ハルトの手がルビーのように赤く光ると、かまくらの天井に光の玉が移動し、照明のように明るくなった。


「魔法ってすごいね……!」

明るく光る魔法の玉を見て、感心した様に言うと、ハルトにふふっと笑われた。



ハルトとラルクが作った豪華なかまくらは、みんなで寝転んでも十分な程、広く出来ていた。


マリィやカイルに少し手伝って貰ったけど、3人で一緒に雪の家の中に寒さを和らげる魔道具を敷いたり、クッションやふわふわな大きめの膝掛けを持ち込んだ。ああじゃない、こうじゃないと言い合いながらローテーブルの配置を決めて行くのは、私達の秘密基地を作って行くみたいで心踊る時間だった。



「…できた!」


ラルクとハルトとハイタッチをする。

思っていたよりずっと豪華で素敵なかまくらが出来た……!



「リマ、かまくらで美味しい物を食べるんだろう?」

ハルトがわくわくした顔を隠さないまま聞いて来たので、そうだよ!と勢いよく頷く。



かまくらで食べたい物と言ったらアレ(・・)でしょう!




マリィに手伝って貰って熱々の湯気が上がる『栗ぜんざい』をラルクとハルトに手渡した。



「これはね、アズーキのスープなの。栗を甘く煮た物が入ってるよ!」


「私の好きなアズーキか!」


「ハルトは本当にアズーキが好きだね。」


金髪碧眼の美形のハルトが小豆を好きなのは、小春(日本人)から見ると外国の人が和風甘味を気に入ってくれたみたいで嬉しくなるよね?



「ああ、アズーキに無限の可能性を感じる!」


大袈裟でもなく心からそう思っているハルトを見るとほのぼのした気持ちになって笑ってしまう。



ハルトが優雅にスプーンで栗の甘露煮とぜんざいを掬い口に運ぶ……




「リマ、やはり私の嫁に来ないか?」


「「行きません!」」


ラルクと綺麗に声を揃えて答える。

本当にハルトは食いしん坊だなぁ。いつも美味しい物を食べると嫁に来ないか?って冗談を言うんだよね。


ふふっとハルトが笑って、優雅に栗ぜんざいを完食した。ラルクもゆっくりと味わう様に完食してくれた。




うふふ、でもまだあるの!




同じ様に熱々の湯気が上がる『栗しるこ』をラルクとハルトに手渡した。


これは小春(前世)が食べて衝撃的だった食べ物!栗を茹でて滑らかにしたお汁粉で、栗そのものを飲んでいるみたいなの!

ラルクは洋風な食べ物が好きだから少しミルクを加えてある。


ハルトが優雅にスプーンで栗しるこを掬い口に運ぶ……



「これも美味しいな!」



ハルトは、横に添えた野沢菜みたいな菜っ葉の塩漬けを口に運ぶ。



…!



「これはいいな!甘いところに塩気が効いて合うな。」



ハルトはやっぱりアズーキの栗ぜんざいが気に入った様で2杯おかわりをした。



「リマ、やはり私の…」

「行きませんっ!」

もうハルトは冗談ばっかり!


ふふっとハルトが笑い、ラルクと私の頭をくしゃくしゃと撫でて、私はお祖父様と話しがあるから先に戻るよと雪の家を出て行った。



「リマ、栗しるこ美味しい。」

ラルクと一緒に栗しるこを飲むと、温かくて甘くて体がぽかぽかと温まった。



「…リマ、ごめん…?」

「…?」


ラルクがころんと寝転がり私の太ももに膝枕をして来た…!


「…ら、ラルクッ?」

「さっき兄上の魔力を受け止めたから疲れた………」



……ラルク、凄い汗かいていたもん……気付かなくてごめんね。ハルトは来年から魔法学校に入学するから魔法を殆ど習い終わっていると言っていた。ラルクも10歳から習い始めているけど、3年の差は大きいよね……。



「ラルク……ありがとう」



ラルクの柔らかい髪を梳くように撫でる。何度も何度も撫でる。柔らかくて気持ちがいい髪を撫でていると胸がきゅうっと甘く苦しく締め付けられる。

ラルクが向きを変え、私の腰を抱き締める…



「…………」



「うん?」

ラルクの声が小さくて聞こえない…



「…リマ……」

「……うん?」



私を呼ぶ声だけ聞こえるけど…?



ラルクが寝息を静かにたて始める……



「ラルクかわいい…」



そのまま寝顔を見つめながら髪を梳く様に撫でる。



起こさないようにふわふわの大きめの膝掛けをラルクにそっと掛け、髪を再び撫でる。

ラルクの寝顔はいつもより幼く見えて、見ていると胸がきゅうっと締め付けられる様で甘く苦しい。

ラルクの寝顔をずっと見ている内に、ラルクの体温で私もふわふわと温められた様で、柔らかな眠気が遊びにやって来る。そのまま、ローテーブルに突っ伏す様にラルクの体温を感じたまま眠りに落ちた………





……ふわふわと気持ちいい…もっと…



…くすり


…ラルクの声が聞こえる…




…目を開けるとラルクに膝枕をされていた…!




…なんで?



「目を覚ましたらリマが寝ていたからね?」



くすくすと笑いながら私の髪を梳く様に撫でる。

慌てて起き上がろうとすると、もう少しこのままで居ても良いよ?とラルクに甘く押し戻される。


ラルクの甘い黄金色の瞳に見つめられるのが恥ずかしくて横向きのまま、ラルクに髪を撫でられる。ラルクの手が髪を梳くように撫でる仕草が、丁寧で甘くて気持ちがいい……耳を掠めるとくすぐったくなり身をよじると、くすりと笑われる。


その後も耳を掠めたり、耳朶に沿う様に撫でられるとくすぐったくて、恥ずかしくて……ラルクの洋服を掴み、顔を埋めると、ラルクの悪戯が耳に集中する……


耳のうぶ毛に触れるか触れないかくらいで耳をなぞったと思えば、甘く丁寧に摘む……



「リマ、かわいい。」



いつもなら落ちてくる口付けも今日は距離があるから落ちて来ない………少し寂しくてラルクを見上げると、甘やかな黄金色の瞳と目が合い、くすりと笑われて、おでこに口付けが落ちて来た……







私たちのかまくらを隠す様に、静かに静かに雪が降り始めていたのに気付くのはもう少し経った後のこと……

本日も読んで頂き、ありがとうございました!


藤稔の葡萄も食べ終わり、葡萄パラダイスは終わりを迎えました…寂しい!


最初、書き始めた時は魔法学校入学までを書こうかな?と思っていたのですが、少しずつブックマークをして下さる方が増えて、今は魔法学校の話しも書きたいエピソードがいくつか出てきたので書こうかな?と思っているのですが……

魔法学校入学までで辞めた方がいいか?もう少し書くかうーん?と悩んでいます。どうなんでしょう?



ひとり言が長くてすみません。

ちょっと悩んでいたので書いてみました…。



今日も一日頑張って行きましょう◎





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ヘッダ
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ヘッダ
 

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