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小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
5歳は異世界生活のはじまり
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7.ドキドキの約束

ププリュの本を読む予定なんですが…



 ラルクと食べると、味がよく分からない事が分かった。ようやく食べ終わりました……!



「マリィ、ププリュの本あるかな? ラルクと一緒に見てもいい?」

「リマはたくさん食べて、がんばったね」

「……っ!」


 マリィに話しかけていたので、ラルクが急に頭をよしよしと撫でたので驚いた……! もうやめて! 私の心臓がもたないよ……! マリィに助けて貰いたくて視線を向けると、うふふと微笑み、



「リマ様の様子が可愛らしくて、ラルク様も構いたくなるのでしょう? ププリュの本をお持ちしました」



 マリィの助けはなかった……! マリィまで可愛いって言うのはやめて……? 小春の一生分より多くの可愛いを貰っている気がするよ。

 ……うん、気持ち切り替えよう! 今はププリュの本だよね!

 マリィが来るのを待ち切れず、嬉しくて、ぴょんと立ち上がると、マリィに駆け寄って、本を受け取る。



「マリィ、ありがとう! ラルク一緒に読もう?」



 ププリュの本が読めると思うと嬉しくて、笑顔でラルクに話しかけた!



「…………いいよ。おいで?」



 あれ? ラルク、今、少し変な間があったよね……? 顔も横向いて俯いてる……かな?

 私、自分のことばかりだったけど、ラルクは、ププリュに興味なかったかも……? 子供は、木に興味がないかも……。ラルクの呼ぶ声に、小さな声で「……うん」と答えた。

 ちょっと、……いや、かなり、ショックを受けた。



「リマ? どうしたの? 長い時間だったし、つかれた?」



 ふかふかのソファの横の席をぽんぽんと優しく叩いていたラルクが、さっと顔色を変えて、私の近くに来ると、髪を撫でながら顔色を見るように覗き込む。

 黄金色の瞳に甘やかさは無く、私への心配が浮かんでいる……。

 私はラルクに気を使わせた事に心が痛んだ。子供に気を使わせて、心配かけるなんて駄目だよ。私は小春で19歳だったのに……。ふるふると首を横に振った。



「あのね、違うの! ラルク、ごめんなさい……!」

「うん? どうしたの?」



 ラルクの優しい黄金色の眼差しが「続けて……?」と先を促してくれる。私はラルクの眼差しに励まされ、ラルクを真っ直ぐ見つめて言葉を続けた。



「あのね、ラルクが……本当はププリュの本が読みたくないのに、私が読みたいから無理しているのかも……と思ったの? その、さっき……一緒に読もう? と聞いた時に、横を向いたでしょう……?」



 きっと最後の方は、隣のラルクにしか聞こえない届小さな声になってしまったと思う。聞き終えたラルクが破顔して、「リマかわいい」と頭をぽんぽんと撫でた……!



「僕はね、リマのことは、なんでも知りたいよ! だから一緒に読もう? それにさっきは……リマがかわいいからだよ。あんなかわいい笑顔は、ほかの男の子に見せたらだめだよ! やくそくして?」


「……っ!」



 恥ずかしいことを沢山言われているが、ラルクが一緒にププリュの本を読もうと言ってくれたことが嬉しくて、へらりと笑う。悲しかった気持がもうすっかりなくなり、我ながら現金な性格だなと思う。


 ラルクの髪を撫でていた手と、もう片方の手が両頬を、むにっと挟むように添えられる。ラルクの顔を見るように、くいっと優しく動かされた……! ラルクがくすりと笑い、「リーマ? 聞こえてる?」と黄金色の瞳に覗き込まれる。



「……っ! うん?」



 ラルクの顔が近すぎて、心臓が跳ね上がり、ドキドキする……! 嬉しかった気持ちが、するりと引っ込み、ドキドキの苦しさが上がって来た……。ラルクが両頬を優しく固定していて、黄金色の瞳から目を逸らすことも出来ず、じっと見つめ合うと、あっと言う前に顔が熱を持ち始めた。



「……はっ、はなして……恥ずかしいよ……?」



 恥ずかしさを感じるけど、何とか頑張って話しかける……。情けないくらい小さな声で、囁くみたいな言葉にしかならない……。



「だーめ! まだ約束してないでしょ? リマ、約束できる?」



 ラルクの黄金色の瞳が、真剣に真っ直ぐに見つめられ、また心臓がどきどき煩くなる。今日は心臓が忙しい……!


 心臓が煩いけど、ラルクの約束って……? 

 えっと……かわいい笑顔をほかの人に見せない?



 もう……ラルク、心臓がもたないよ……!



 ラルクを見つめて、「……うん」とこくんと頷いた。私の頬っぺたからラルクの両手が離されて、頭をぽんぽんと撫で、甘い黄金色の瞳が私を見つめた。



「よく出来ました! じゃあププリュの本を読もうか?」



くすりと笑うラルクに見つめられ、また顔が真っ赤になりました……

ププリュの本までたどり着きません。

ラルクの甘やかが止まりません。

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