68.魔道具店
「なかなか見事な赤毛ですね。ジャン様?」
「やはり見破られましたね。」
ハルトが楽しそうに答えているので2人は知り合いの様だ。
「お知り合いでしたか?」
「ええ。ジャン様とはご縁がありまして。」
カイルが赤毛のおじさんと話し始めた。
カイルとハルトと知り合い…?
「はじめまして。魔道具師のゴーダです。息子のチェダと娘のエイミです。お2人はなんとお呼びすればよろしいですかな?」
…!
「はじめまして。フレッドとお呼び下さい。」
赤毛のゴーダさんが愉快そうに聞いて来たのをラルクが微笑んで答えている。
「はじめまして。ニーナです。」
挨拶を終え、先程買って来たものを食べ始めるとゴーダさんと同じ赤毛のエイミがこれ食べる?とナッツを差し出してくれる。
ありがとうと少し摘みカリカリ食べるとナッツが香ばしくて美味しい!
「これ美味しいね!」
「そうなの!私のお気に入りなんだ!ニーナはいくつなの?」
「今、10歳だよ。王都の魔法学校に行く予定なんだ! エイミは?」
「私とチェダと同じだ! じゃあまた会えるね!」
「うん!2人は双子なの?」
「そうだよ!あんまり似てないって言われるけどね?」
エイミは人懐っこい性格で金色の目をくるくる動かして色々話してくれた。チェダは緑色の髪に茶色の目で沢山話さないけど優しく頷いている。
チェダが途中でエイミに少し落ち着けと注意していた。仲良しな双子みたい。
すっかり食べ終わるとゴーダさんが
「ジャン様の注文していた物が出来上がっていますよ。」
「よし、今から行こう!」
ハルトの一言で専門店街にあるゴーダさんの魔道具店に向かった。
ゴーダさんの魔道具店は専門店街の真ん中にあり、蔦が絡む看板の2階建てのお店だった。
ゴーダさんとハルトは店の奥に入って行き、私とラルクはエイミとチェダに案内して貰う。
魔道具店は1階に個人向けの魔道具、2階に店や農家など規模の大きな場所で使う魔道具が置いてあり、家電屋さんの様な雰囲気で面白かった。
「あ!風の優しさだ!」
「これはお父さんが作った物だ。」
「すごいんだね!」
チェダが誇らしそうにゴーダさんや魔道具の話しを始めたので、うんうんと聞き始めたのだけど…
チェダは質問上手な様で気付けば、私が庭で色々育てているが1人だと収穫が手作業なこと、数年後に魔法学校が始まったら収穫時間が取れるか心配なこと、狭い範囲で使える収穫魔法の魔道具があったらいいなと思っている事を話していた。
「ニーナの欲しい魔道具は分かった!考えてみるよ。」
「うん!ありがとう。」
チェダはお父さんのゴーダさんを魔道具師としてとても尊敬していて、将来はゴーダさんみたいな魔道具師になりたいと思っているみたい。
チェダと話しが一区切りしたので、ラルクを探す。
さっきまで隣に居たのにな?面白い魔道具を見つけたのかな?魔道具の棚を曲がるとラルクとエイミが魔道具を持ち、笑い合う姿が見えた。
…?
…胃のあたりがもやっとする。
…
…食べすぎたかな?
…
「ニーナ!」
ラルクが私に気付き、優しい笑顔で側まで来てくれる。
…?
…もやっとした物が薄まっていく。気のせいだったかな?
「ラルク、面白い物あったの?」
「待たせてすまなかったな。」
私の質問はハルトの声でかき消された…。
「今度は、魔法学校で会おうね!」
チェダとエイミとバイバイとお別れをした。
専門店街を歩き始めるとラルクが私の手を繋ぎ、くいっと引っ張られた。
「ニーナかわいい。」
ぽんぽんと頭を撫でてくれる。
マルシェの真ん中でされた時は恥ずかしかったのに、今はもっと撫でて欲しいな…。
ラルクじゃない手が伸びて来て、くしゃくしゃと頭を撫でられる。パシッとラルクがハルトの手を弾き、ジャンさんは触らないでくださいと笑顔で言った。
「ん?もっと撫でて欲しいのかと思って?」
「違います!」
ハルトにべーと舌を出した。もうっ!頭がくしゃくしゃだよ!
「ほら行くぞ!」
カイルがそう言うと2人共歩き出し、ラルクと手を繋ぐ私も引っ張られるように進み始めた。
ラルクが手の繋ぎ方を恋人繋ぎにさらっと変えていた。
ラルクは親指で私の親指と人差し指の間をくすぐって来たので、私も同じように親指でラルクの指の間を触ってくすぐった。
ラルクは私の手のひらに円を描いたり、すぅーと指を滑らせる。親指を動けない様に押さえ、するすると往復して爪の上をくるくる撫でる。親指が終わると人差し指を押さえ、同じ様にするする撫で上げ、爪をくるくる撫でたり少し押したり…
もうくすぐったいと思ってラルクを見ると、くすくす笑い、頭をぽんと撫でられる。
「ニーナかわいい。」
ラルクとくすぐりっこをしている内に、もやっとした胃もたれは、すっかり無くなっていた。
本日も読んで頂き、ありがとうございました!
今日もお疲れ様でした◎















