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64.幸運の帽子

こんにちは。

書き直しがなかなか終わらず更新が遅くなりました。



あの後、え…?と呆気に取られた私に、


「約束だよ?」


ラルクはおでこに口付けを落とし、帰って行ってしまった。


おでこに手を当てたまま座っている私を見たマリィに頭が痛いのですか?と心配されてしまった。

恥ずかしくて、ぶんぶんと首を横に振り、益々心配されてしまったけれど…。


部屋に戻るとラルクの愛らしいお花が目に入り、先程のラルクの体温や香り、触れ合った感覚を思い出して顔に熱が集まるのが分かり、頬に両手を当てる。


◇ ◇ ◇ ◇


「今日はラルクに会うよ?」


ラルクのお花に話しかけ、お花のお世話を始める。

新しい魔力水に取り替える。

もうラルクのお花はミニ向日葵が1本残っているだけだ。ほんの数ミリ、はさみで切る。


あの日から2回、お花にはさみを入れた。



今日は王宮のお庭に行く予定なのだ。


白の丸襟シャツ、栗の皮の色の様な栗皮茶のジャケット、チェックのキュロットパンツ、黒に近い茶色のブーツを合わせ、マリィが髪をポニーテールに結ってくれた。



王宮の厩舎(きゅうしゃ)でラルクとマタルさんが迎えてくれた。

兄上は魔法学校だから2人で王宮の庭を散策しようね?とラルクに言われている。2回目の王宮のお庭すごく楽しみだな。


「カームだよ。」

カイルが優しく撫でながら黒毛の馬を紹介してくれる。ラルクに大丈夫だよと言われ、カームによろしくねと撫でる。


「リマ様、こちらがフェアでございます。」

「マタルさん!今日はよろしくお願いします。」


「フェアもよろしくね?」

フェアの栗毛を優しく撫でるとひひんと応えてくれる。

マタルさんが私を抱き上げるとフェアに乗せ、私を支えたままヒラリと自分も乗った。

マタルさんって出来ないことあるのかな?と思っていると、背中から苦手な事もございますよ?と声が聞こえた…マタルさんもエスパーなのね……!



「マタル、リマを頼むぞ。」

「かしこまりました。では参りましょう。」



空が高く青く澄み渡り、細い雲片一つ一つがぼやけず輪郭がはっきりしていて、絹のような光沢をもつ絹雲(けんうん)が浮かぶ。

お庭の散策日和だね!


カームが先を歩き、フェアが後ろに続く。

ポクポクと蹄の音が聞こえていたのがまもなく止み、木立の間隔が広い王宮の森に入る。


「気持ちいいですね!」

「そうですね。この森はラルク様のお気に入りのコースなのですよ。」

ラルクのお気に入りに連れて行ってくれていると分かり嬉しくて顔が緩むとマタルさんの小さな笑い声が背中から聞こえた。


しばらく森の中を2頭はゆっくり歩いていく。

森の香りを深呼吸して味わう。森の木々が力強く深い深碧(しんぺき)の緑から黄褐色を表したような黄朽葉(きくちば)へ少しずつ変わりつつあるのを感じる。

森の木漏れ日を抜けると小さな草原にたどり着いた。


「リマ、少し休憩しよう。」

マタルさんに下ろして貰い、ラルクと手を繋いで歩く。


「この草原はカームとフェアが好きなんだ。ここで休むと機嫌が良くなるよ。」

ラルクが優しい顔をして2頭を見ながら話しをしてくれる。

ラルクの好きな物を知るのが嬉しくて手をくいっと引っ張りラルクにありがとうと言うと、こちらこそと笑ってくれる。


「リマはこっち。」

草原と森の境目に敷物があり2人で並んで座る。

目を閉じると風が柔らかくふいて頬を撫でていくのが気持ちいい。

こくこくと冷たい水で喉を潤すとラルクが疲れていない?と気遣ってくれるが、私はフェアに乗せて貰っただけで疲れてないよ!と元気に伝えるとくすりと笑われた。


「リマ、おいで?」

ラルクが手を差し出してくれるので手を合わせる。

森に少し入ると、どんぐりが落ちていた!



「どんぐり!」

「うん。リマが喜びそうだと思って。」

「うん!ラルク、幸運のどんぐりを知ってる?」

小春(前世)は『ラッキーどんぐり』と呼んでいたけど、どんぐりが落ちているとついつい探してしまう。この世界にもあるのかな…?


「聞いたことないな。どんなどんぐりなの?」

少し考えたラルクが知らないと首を横に振る。

この世界にないなら探すのもきっと初めてだね!


「帽子を被ったまま落ちているどんぐりを『幸運のどんぐり』って呼ぶんだよ!」


「一緒に幸運のどんぐりを探そうか?」

「うん!」

ラルクが頭をぽんと撫でて提案してくれたのが嬉しくて勢いよく頷くとくすりと笑われた。



2人でしゃがみ込み、どんぐりを拾う。

どんぐりのすべすべした手触りを楽しみながら2人で大きなどんぐりや小さなどんぐり、太っちょなどんぐりを拾って行った。

私とラルクの両手にどんぐりの山が出来て、2人で笑い合う。


「意外とないんだね?」

「たくさんあったら幸運のどんぐりじゃないよ?」


私がそういうと本当だねとラルクがくすりと笑う。

どんぐりの山を地面に移し再び幸運のどんぐりを探し始める。




「リマ!これ幸運のどんぐりじゃないかな?」




「すごい!幸運のどんぐりだ!」



ラルクの手のひらに帽子を被った『幸運のどんぐり』が乗っていた。



「リマにあげる。」

「幸運のどんぐりだからラルクが持ってて?」


「幸運のどんぐりを持っているリマが近くにいて?」



はいっと私の手のひらに『幸運のどんぐり』を渡してくれた。


「ありがとう…!」

「どういたしまして。」

じゃあそろそろ戻ろうか?とラルクが手を差し出してくれるので、幸運のどんぐりをジャケットのポケットに大切にしまい、ポンっと上から触り、どんぐりの膨らみを感じて顔が緩むとラルクがくすりと笑った。

慌てて、ラルクに手を合わせ歩き始めた。



「…!」

「…?」

ラルクが急に止まると私に人差し指でしぃーのポーズを取り、今度は人差し指で木の枝を示す。

なんだろう?と思い、見てみると2匹のシマリスがいた!


シマリスは2匹で戯れ合うように枝を走り、どんぐりを齧り、少しすると森の奥へ消えていった。



「野生のリスに会えるなんて珍しいね。」


「リマの幸運のどんぐりのおかげかな?」


ラルクが私の頭をぽんぽんと撫で、おでこに口付けを落とした。


「……っ!」


おでこに手を当ててラルクを見上げると、くすりとラルクが笑った。


本日も読んで頂き、ありがとうございました!


レビューを頂きました(*^_^*)

本当に嬉しいです!

ありがとうございます!


書き直しを始めてブックマークが400を超えました◎

書き直しをするのも悩んでいたので、すごーーく嬉しかったです。


これからもよろしくお願いします。

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