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小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
10歳のはじまり

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61.実りの秋


「羊雲だ!」


気付けば、晴れた青にもくもくした入道雲は姿を変え、高く澄んだ空の上でひつじの群れに似ている羊雲になっていた。

暑さを感じていた蝉の合唱は、夜会に誘われた鈴虫や松虫の涼やかな合唱へ変わっている。


エディンリーフ家の庭では秋桜と黄桜が秋の気配を感じる涼風に揺れ始めた。



「にゃあ。」

—もう秋よ?



スゥが私の膝の上で返事をしてくれる。

スゥの夏毛もこれから少しずつ冬毛になるなぁと思い、首から背中を撫でていく。ふわさらで気持ちいい。

秋になってもスゥのお気に入りのもふもふ植物(プランツェ)は元気なままだ。

前にスゥが気に入っているからかな?と聞くとにゃん!そうよ!と言われた。




「今日もカブとクワは元気だね。」


2匹のことをカブとクワと名付けて呼んでいる。それを知ったカイルにネーミングセンスを疑われ、俺が名前を付けるとあれこれ考えてくれている内に2匹がカブとクワに慣れてしまったのだ。

あんなに落ち込んだカイルを見たのは初めてだった…でも覚えやすいよ?


スゥの近くで2匹は力比べをして遊んでいる。

2匹はスゥに懐いていてスゥの散歩に一緒に飛んで行くこともあるし、猫パンチの相手もしている。

背中に2匹を乗せて歩いているのを発見した時は、スゥが姉御っぽくて笑ってしまった。


スゥ姉御の姿を思い出し、ふふふと笑ったらカブとクワが飛んで来て、ぴた!ぴた!といつもの定位置に止まった。

どうしたの?と言うように、カブは大角、クワはハサミのような大顎を動かして私を見上げる2匹はとても愛らしい。


「みんなかわいいなぁと思ったの。」

カブとクワの背中をすぅーっと撫でてあげる。

2匹共、撫でて貰うのが好きなようで大人しく撫でられている。




「にゃん!」

—来たわよ!


スゥが教えてくれたので、視線をお隣と我が家の庭の境界線へ向けるとラルクとハルト様が遊びに来たのが見えた。


「ラルク!ハルト様!」

手をぶんぶん振って声を掛ける。


「リマ!」

ラルクがにっこり笑って手を振り返してくれる。




「いらっしゃい!」


今日は秋の収穫をしたくてラルクを誘ったらハルト様もやりたいと言い、エディンリーフ家の庭に2人で来てくれたのだ。


「こっちだよ!」

ラルクの左手を掴むと少し小走りになって目的地に向かう。

ハルト様がふふっと笑ったのが後ろで聞こえた。



ラルクと私は先にさつまいも畑に到着した。

春先にさつまいもの苗を見つけて植えておいたのだ。


「さつまいも掘りをしよう!」


「まだ早くないの?」


「本当はまだ早いけど、少し前に試し掘りしたらさつまいもが沢山出来てたの!魔力の泉のお水かな?」


「ああ、そうかもしれないな。この庭は魔力に満ちているからな。」

ハルト様が追いつき、会話に加わった。


「そうですね、兄上。」



魔力の泉で水やりをしているおかげでエディンリーフ家の庭の植物(プランツェ)は元気なのだ。

もちろん季節の移り変わりで枯れる植物もあるけど、伸びている葉っぱや咲く花はとても生命力に溢れていると思う。



「リマ、収穫の魔法を使うの?」


「ちがうの!今日は魔法じゃなくてさつまいも掘りをしたいの!」


「リマがやりたいならいいよ?」

ラルクが頭をぽんぽんと撫でて賛成してくれる。


「兄上はどうしますか?」


「うん?私も参加するよ。檸檬の収穫も面白かったからね。」

ハルト様が私の頭をくしゃくしゃと撫でるとラルクがハルト様の手をパシッと弾く。


「兄上はリマに触らないでください!」

「うん?リマは未来の家族(・・・・・)だろう?私が可愛がってもいいだろう?」


「ダメなものはダメです!」

「ラルク、嫉妬深い男はモテないよ?」

ハルト様がラルクの頭をぽんぽんと優しく撫でる。



カイルに私の噂って何?と聞くと…つるぺたは聞いても無駄だから聞かなくていいぞと言われた。

つるぺたは関係ないのに!




「せっかくだから賭けをしない?」

ハルト様が変な事を言い出したが、よく分からず小首を傾げる。


「嫌です。」

ラルクがあっさり否定した。


「ラルク、負けるからって拒否が早いね。」

「いえ、負けません!」


「じゃあやろうよ?沢山さつまいもを掘った人が勝ちで、勝った人の言う事を負けた人がひとつずつ聞くこと!じゃあ始めよう!」


ハルト様がさっとさつまいも畑の収穫を始めた。


「兄上?!」


状況が飲み込めない私はぽかんと立っていたが、ラルクがリマも行こう?と右手を掴んでさつまいも畑の中へ連れて行ってくれる。


「リマ、頑張って沢山掘ろうね。」

「うん!」


ラルクも私もさつまいもをどんどん掘り、自分の場所へ積み上げて行く。

私が育てたさつまいもはふっくら太っちょに育っていて美味しそうだ。



「ふふっ。私の勝ちだね?」

ハルト様がみんなのさつまいもの山を見て、勝利宣言をした。


「…」

「…ずるい。」


ラルクは悔しそうにしているけど、私は本音が漏れる。だって勝手に決めて、勝手に始めて…ずるいよね?


「リマ、勝ちは勝ちなんだよ?なにがいいか考えておくよ?」

ふふっと笑うハルト様はにやにやしてちょっと気持ち悪い。ラルクに変なお願い事をしないといいけど。


「兄上!リマを傷つける願い事は無しですよ?」

「…出来ることならいいですよ。」



ハルト様が考え始めたのでそのままにしておき、今日のメインイベントの用意を始める。


マリィが収穫したさつまいもを洗い、アルミホイルに似たものを巻いてくれる。

アルミホイルは無かったが用途を説明したらアルミホイルより少し厚みのある銀紙を用意してくれた。

焚き火の準備は出来ているのでアルミホイルを巻いたさつまいもを入れ、火を付ける。



あとは待つだけだ。

本日も読んで頂き、ありがとうございました!


昨日シャインマスカットを食べました◎

この葡萄が大好きです。

幸せなひと粒でした。


評価&ブックマークいつもありがとうございます(*^_^*)



穏やかな夜が訪れますように。お休みなさい。


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ヘッダ
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