59.恋する花束
書き直しましたが…微調整中です_φ(・_・
58から繋げるのが難しかったです。
実りの秋の間に話をもうひとつ挿入する予定です。
「おはよう!」
朝に目覚めた時と夜寝る前にラルクのお花に挨拶をするのが最近の日課になっている。
ハルト様が試飲会から帰った後、カイルとお母さんが花束を預かると言ってくれたが、ラルクの花束が嬉しくてふわりと甘い香りがする花束を試飲会が終わるまで持っていた。そのまま私の部屋にお迎えしている。
ラルクに貰ったミニ向日葵の愛らしい花束は、背の低い涙型で撫子色の様なほんのり薄いピンクがかった白い花瓶に生けた。いつもお花を見たいとマリィにお願いして、ベッドの横に猫脚の小さなテーブルを置いて貰った。寝りに落ちる時に花束が見えるのが嬉しい。
「きれいだね。」
向日葵の花にそっと触れ、話しかけるとラルクが近くにいるみたいで、ふわっと心が暖かくなる。
マリィに着替えをしてもらった後、花瓶のお花のお世話をする。
花瓶からお花を引き上げ、新しい魔力水に取り替える。魔力水が多過ぎないように注意して花瓶に入れ、ミニ向日葵、カモミール、かすみ草、ユーカリの茎を下からほんの数ミリの所をハサミでシャキンと切り、お花を花瓶に戻す。
今日で6回目のハサミを入れた。
それぞれのお花が綺麗に見える様に整えて、カモミールのふわりと甘い香りを吸い込んだ。
◇ ◇ ◇
「リマの庭は面白いな!」
ハルト様が百日紅の白くすべすべの幹を面白そうに撫でながらエディンリーフ家の庭に立っている。
ハルト様は回復薬がとても気に入った様で、試飲会の次の日もエディンリーフ店にやって来た。
炭酸をもっと飲みたいと今度は『レモンスカッシュ』と『ジンジャーエール』をお買い上げしてくれた。
1日おいてまたエディンリーフ店に来たハルト様が私は檸檬味が好みだなと言い『レモンスカッシュ』をお買い上げしてくれた。
……ハルト様って食いしん坊だよね?
次の日もエディンリーフ店にハルト様が来て…
「味はレモンスカッシュだが、蜂蜜レモンを飲んで眠るといい夢が見れる!」
と笑顔で言いながらエディンリーフ店の『レモンスカッシュ』と『蜂蜜レモン』を買い占めようとしたのを私が止めた。
だって…普通のお店の回復薬は銀貨2、3枚なのにリマ印回復薬は銀貨5枚もするんだよ?
無駄遣いしちゃだめだと思います…!
買い占めもだめです!
試飲会は好評で用意していた回復薬は全て完売し、その後も口コミ効果やリピーターによって、リマ印回復薬の売れ行きは好調です。
事前に商業ギルドとお母さんで話し合いが行われ、1日の販売数は各回復薬50個ずつの限定販売にしている。
これは市場の混乱を避ける為と私が魔法学校に通い出しても無理なく生産出来るように考えてくれた数字なので、しばらくはこのままだと思う。
「ハルト様が沢山買うと他の人が買えないからだめです!」
私がビシッと言うとハルト様がすごくガッカリして、雨に濡れた子犬を見ている気分になった……。
「……レモンの収穫を手伝ってくれるなら作りましょうか…?」
「今からでも行くよ!」
ハルト様…食いしん坊だね…。
ラルクが来る日に来て下さいとお願いすると明後日に伺うよとキラキラな笑顔で返事をくれた。
そして今日がハルト様と約束していた日なのだ。
「あれ?…ラルクはまだですか?」
「私は明日から学校だからね?私だけ先に来たよ!ラルクは父上と母上と話していたからもうすぐだと思うよ。」
ハルト様って食いしん坊だね……。
「リマ、どこに檸檬があるの?」
ハルト様を檸檬の木まで案内すると檸檬の実がなっていないのを見て質問して来たので、魔法を使いますと言うとリマの魔法を見るのは初めてで楽しみだなとふふっと笑う。
「大きくなーれ。大きくなーれ。」
……ぱあぁぁ…私の両手が淡くミントグリーン色に光り、その光がゆっくり2本の檸檬の木を包み込む…
檸檬の木に淡いピンクの蕾が付き、白い花が次々と咲き始めると爽やかな香りが漂い、小さな赤ちゃん檸檬の実が付くと次第に大きくなり、若い檸檬の実は目に鮮やかなレモン色の檸檬の実になった。
『檸檬の実』がなりました。
「リマ凄いね!」
ハルト様が感心した様に褒めてくれた。
「この檸檬を収穫すれば良いんだね?」
「はい!お願いします。」
「 収 獲 風 」
ハルト様の手がシトリンの黄色に輝くと、ふわぁと穏やかな風が吹いて檸檬の木を揺らす。
ぽとんぽとんとレモンの実が落ちて地面にぶつかる瞬間にふわっと実が上がりゆっくり落ちる。
「ありがとうございます!」
私は収穫魔法が使えないから収穫が1番大変なので嬉しい。
「どういたしまして。リマは普段どうしているの?」
「マリィと収穫する時は風の優しさを木の下に敷いて、風魔法で実を落として貰います。私が収穫する時は1個ずつ収穫しますよ?檸檬のいい香りがするので、時間がある時は魔法は使わないですね。楽しいですよ?」
「……それやってみたい…!」
「いいですよ!」
植物と触れ合いたいならぜひやりましょう!楽しいですよ?
「大きくなーれ。大きくなーれ。」
……ぱあぁぁ…私の両手が淡くミントグリーン色に光り、その光がゆっくり2本の檸檬の木を包み込む…
『檸檬の実』がなりました!
ハルト様に収穫の見せてから檸檬の収穫を始めた。
ハルト様ははじめての体験の様で、すごく丁寧に檸檬を扱い収穫していく。植物に優しくて好感度上がりました!
ハルト様がこの香りはたしかに良いものだなと言い、うんうんと同意しながら私も収穫して行った。
「リマの魔法で檸檬の木を増やせば、1回で沢山収穫出来そうだよね?」
「…この木はラルクと1本ずつ植えたから2本だけのつもりです。」
「2人で植えたの?」
「そうですよ?」
「……………」
「ん?なんですか?」
ハルト様の言葉が聞き取れずに聞き直すと、ふふっと笑うと、続けよう?言われたので、その後も2人でひたすら檸檬の収穫作業を行い、全部の檸檬の実を収穫した。
「楽しいが、やはり魔法と比べると大変だな!」
「楽しかったですか?それなら嬉しいです!こちらこそ収穫を手伝ってくれて、ありがとうございます。」
はじめての収穫体験は疲れた様子なので、少し休憩をすることにした。ハルト様が『ミルク金時のかき氷』を食べたいと言うので、マリィにお願いして作って貰った。
…本当にハルト様は食いしん坊だよね?
本日も読んで頂き、ありがとうございました!
今日も一日頑張って行きましょう◎