57.販売開始
王宮にいたのに、気付いたらエディンリーフ家の馬車の中で揺られていた。マリィから、マタルさんがすやすや眠る私を抱っこして送り届けてくれたと教えてくれた……。
「リマ、王宮の庭はしばらく禁止よ!」
マリィから報告を受けたお母さんにとても怒られ、王宮の庭への出入りを禁止された……!
「で、でも! まだアッフェやラシャドルの樹にあいさつ出来てないんだよ?」
精霊の使いにまだ会っていないし、欅の木への大木ハグをしていない! まだ大樹を堪能出来てないのに……! そんな殺生な……!
「とにかくだめよ」
「うぅ……」
確かに王宮で寝たのは良くなかったと思う……。前日の夜、どんな顔でラルクに会えばいいのか考えて夜遅くまで眠れなかったのが、だめだったよね……?
ラルクとマタルさんに迷惑かけてしまった事を謝りたいな……はぁと溜息をこぼした。
「ティエラそこまで厳しくしなくても……?」
落ち込む私を見て、お父さんが助け船を出してくれた。お父さん、優しい!
「もうヘリオスはリマに甘いんだから? まあリマも反省しているみたいだから回復薬の販売が落ち着いたら遊びに行っていいわよ」
「ありがとう……!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「リマお嬢様、おはようございます」
「おはよう、カイル!」
今日はリマ印回復薬の発売日で、カイルが来てくれている。
「リマお嬢様、エディンリーフ店に向かいましょう」
カイルが着替えをしてくれる。
今日は、リマ印回復薬のお披露目会を兼ねているので、真夏の日差しの強い青空みたいな深く濃い紺碧色のワンピースに白い丸襟がのぞく、少し大人っぽい洋服を着せて貰う。
髪型もふわふわの髪を大人っぽいハーフアップにまとめてくれた。カイルにお願いして、今日はラルクの向日葵バレッタを留めてもらった! ずっと大切で大事にしてるんだ……!
あとは少しヒールのある靴を履く。つま先が丸みを帯びたワンピースに合わせた紺碧色のエナメルの靴で、ストラップには小さな真珠を合わせて作ったお花の飾りがワンポイントについている。
少し大人になった気分……!
最後の仕上げに、私の小さな唇に薄く紅をさす。
前にマリィに教えてもらった様に、んっと唇を合わせ、ぱっと離す……
カイルが私の仕上がりに納得したように頷いた。
本日も読んで頂き、ありがとうございました!
ラルク視点の雨宿りも書きたいなと思いつつ、話しも進めたくなりリマ視点で進みました。
ラルク視点…いつ書こうかな?と悩んでおります。
今日も一日お疲れ様でした◎
安らぎの夜が訪れますように。
もう少ししたらお休みなさい。















