表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
6歳のはじまり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/136

50.白猫のお説教部屋

遂に50話になりました◎

ブックマーク、評価、感想に励ましてもらい、ここまで話しを書くことが出来ました!

本当にありがとうございます。


49のリマ視点です。


「にゃあ」


「あ!スゥちゃん!!」

スゥが暑くて嫌だわと《暑さを和らげる魔道具》を目指して歩いて来た。


「やっぱりもふもふ庭(スゥのお気に入り)は暑かった?」


「にゃ!」

—夏なんだから当たり前でしょ?


「そうだよね。夏だもん、暑いよね?」

暑くて不機嫌なスゥにごめんねと謝りながら背中を撫でると膝の上によいしょと乗って来た。


スゥが膝の上に乗って来る時は、存分に撫でて良いわよの合図なのだ。

スゥの毛並みはふわさらでいくら撫でても飽きないし、最近のスゥは肉付きも良くなり、まさに美猫!

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花のようなんです。

鍵しっぽもゆらゆら揺れると可愛いし、本当に美人さんです。


頭から背中を撫で、次は顎を下から上に撫で上げる。その後は髭の生え際を親指で少し強めに横に撫でるとゴロゴロと喉がなる。

気持ち良さそうな様子に嬉しくなり、また撫で回す。

ご機嫌に目を閉じて撫でられていたスゥが薄目を開け、にゃ?とあれはいいの?と視線で教えてくれた。


あっ…ラルクに渡す鉛筆のこと忘れてた…


スゥありがとうと再び撫でると、にゃん!と喉が渇いたわと言うので、お水とミルクどっち?と聞くと


「にゃん!!」

—ミルクよミルク!


やっぱりマリィは凄いなぁ。

今日はミルクだと思いますよ?と言っていた…マリィは実は猫好きだったらしくスゥが旅先にいなくて寂しいと言っていた。


マリィが用意してくれたスゥが好んでいるミルクをスゥ用の皿に注ぐ。

スゥがミルクを飲み始めたのを見て、鉛筆の箱をラルクに渡した。



「ラルク、この前渡せなくてごめんね。」


「うん。ありがとう。開けていい?」


「うん!開けていいよ。」


ラルクが大切そうに箱を受け取り、蓋を開けると中にカードが…カード?!


「あっ!!待って!だめ!」

あのカードに勘違いした魔法学校説明会の事が書いてあるの忘れてた!!

マリィに笑われたからラルクも見たら笑うと思うんだよね!

やだやだ、絶対見られたくない!


カードを取り返そうと必死で手を伸ばすのにラルクがサッとサッとカードを操って返してくれない……正直に言って返して貰おう…。


「ラルク!そのカード…返してもらえない……?」


「リマの書いたカードでしょ?…読みたいよ?」


だめなの!

恥ずかしいの!

首を横にふってお願いしてもラルクの顔に困惑の表情が浮かぶだけで返してくれそうにない…。


「…どうして?」


ラルクが悲しいような困ったような顔で尋ねるので、これ以上はラルクが嫌な気持ちになるのはだめだと思って正直に言うことに決めた………。



「絶対に笑わないって約束してくれる…?」



ラルクが真剣に約束するよと言ってくれたので、国王陛下に会う予定を魔法学校説明会だと勘違いしていたと告げた。



「…っくす。」



ラルクが片手で口を押さえて横を向いて笑いを堪えている……。

くくっ…って体が震えてるの見えてるからね!





「ラルクのうそつき!笑わないって言ったのに!」



だからカード返してって言ったのに!

ラルクをじーっと睨む。

もうやだ…

穴があったら入りたい…


いつもラルクは涼しい顔をしてる気がする…


ずるい!


わかってる。わかってるの。

ただの八つ当たりだってわかってるんだけど、恥ずかしくてどうしようもないんだよ…。




「…余裕なんてないよ?」

ラルクが困った顔で言うけど…


…そうなの?


ラルクの真面目な顔を見たら気付いたら正座をしてラルクの前に座っていた。



「…リマの贈り物もずっと悩んでいたし、兄上に相談したんだよ。兄上が居なければ今日渡せていたか分からないんだよ…。今日、リマに渡す時も喜んでくれるかすごく緊張していたんだよ。」

だから余裕なんてないんだよ?


ラルクが照れたように頭をくしゃっと触り下を向く。





「ありがとうラルク!!

沢山悩んで選んでくれてとっても嬉しい!

すごくすごく大切にするね!」



気付いたらラルクに抱きついていた。

だって、だって、すごく嬉しかったのだ!

ラルクはサラッと選んでくれたと思っていたのに、お兄さんに相談して、悩んで選んでくれたって聞いたら嬉しくて嬉しくてたまらない…!



あ!でもカイルにも怒られた様に近すぎるのはだめだよね?

というか抱きつくのは絶対だめな筈だ…離れよう。

よいしょ…っ?!


ええええ?!ラルクに抱きしめられてる?!


ぐいっと押して離れようとすると



「リマからでしょ?」

ラルクがくすくす笑いながら耳元に声を落とす。


いや、あの、そうなんだけど…

えええ?いや?え…



プシュー…



私の脳みその許容量を越えた音がした。



「他の人にしたらだめだよ?」

耳に落とされるラルクの柔らかな声だけが聞こえる。


…うん。他の人に抱きついたらだめだよね。


はいと頷くとラルクのふふって笑い声も耳に落とされる。

ラルクが頭を撫でてくれている。



あ…ラルクの腕が離れていく…


ラルクの私より少し大きな手のひらがほっぺに触り、ラルクと目が合った。


恥ずかしくて睫毛を伏せるように下を向こうと思うがラルクの手が顔を下に向かせてくれない…?


ラルクの気配が濃くなる…



…え?






『にゃあああ!』


—こら!!なにしてるの!




わああああ!

私、なにしようとしてた?なにしようとしてた?

きゃあああ!

私、なにしようとしてた?なにしようとしてた?


「ラルク?!明後日、また遊びにいくね?!」


「…うん、わかった。」


「またね?!」


怒っているスゥを抱いて走って家まで帰る。

自分の部屋で心臓がドキドキすごく煩い。

スゥがジトーッと私を見ていて、すごく怒っているのが分かる。


「…ごめんなさい。」

「にゃにゃん!」

—私がいなかったらどうなっていたかしら!


「…どうなって…」

…ラルクの気配を考えてしまう…



…プシュー…


また私の脳みそが許容量を超えた音がした。



「にゃん。」

—気をつけなさいね?


「…はい。」





私はこの後、高熱の知恵熱を出した……回復薬(ポーション)で直ぐに治ったが、疲れが出たのよと心配され、王宮の庭に遊びに行くのは、しばらくお預けになった——



◇ ◇ ◇



 知恵熱が下がる頃、エディンリーフ家の別荘から戻ったカイルが顔を出した。



「リマお嬢様に会いたいものを連れて参りました」

「……?」



 誰だろう?不思議に思っていると、カイルから「今から庭で作業して欲しい事があります」と言われ、お母さんが作ってくれた襟にフリルのある白いブラウスとセージグリーンのサロペット、ミルクチョコレート色のショートブーツの動きやすい格好に着替える。



「よし、もういいぞ!」



 カイルがそう言うと、私の胸にぴた! ぴた! と止まる感触があった!



「……! この子達って……別荘のときの?」



カブトムシとオオクワガタの2匹だ!


「ああ。いや、こいつらには参ったぞ。別荘から出発したら俺に付いて来たんだ」

「そうなんだ!」

「その内居なくなるかと思って放って置いたんだけど、ずっと離れなくてな……。お前も飼いたいって言ってたし、こいつらもお前と居たいみたいだし、お前の庭で飼えるように改めて調べたら、王都の店に夏でもアップフェル(林檎)があるのが分かったんだ。あの時は飼えないって言って申し訳なかった」



 カイルが謝罪を口にして、頭を下げた。



「ええっ? ううん! カイル、ありがとう!」



 謝罪をされると思っておらず、ぶんぶん首を横に振った。カイルには感謝しかないのに…!

この世界で夏に林檎は見かけないから売っていることを知らなくても不思議じゃない。



「こいつら連れて来て良かったか?」

「もちろん!」



飼いたいなと思っていたので歓迎するよ。

2匹の背中をすぅーっと撫でる。

カブトムシのつるつるした感触もオオクワガタの平べったさも好きだなぁ。

ようこそエディンリーフ家へ。


「よし、じゃあこれを植えよう。」

カイルがクヌギの苗とコナラの苗を持って来た。

この世界では、夏のアップフェル(林檎)はとても珍しいので、買えない事もあるだろうから樹液の出る木を植えておくのいい事だと思う。

カイルとどこに植えるか決め、2本の苗を地面にかるく植えた。



「大きくなーれ。大きくなーれ。」



2匹がエディンリーフ家で心地よく暮らせるように、美味しい樹液を食べる事が出来るように心を込める。



……ぱあぁぁ……私の両手が淡くミントグリーン色に光り、その光がゆっくり2本の木を包み……



『樹液たっぷりクヌギの木とコナラの木』が育ちました!



「ごはんが出来たよ!」

カブトムシとオオクワガタをすぅーっと撫でて教えたけど、2匹はイヤイヤするように私にしがみついたままだ。



「くっく…。つるぺたが好きなんだな?」

「私の名前はつるぺたじゃないもん!カイルの変態!」

「おい、お前たちご飯だぞ?」



カイルが話しかけると2匹はパッと私から離れて、樹液に向かった……「カイルってすごいね……」しみじみ言うと、カイルが笑いを噛み殺して「恐れ入ります」と答えた。



 我が家(エディンリーフ家)に新しい家族が加わった——

本日も読んで頂き、ありがとうございました!


数日前から左耳の調子が悪く、耳鼻科に行きました。

薬を塗ってもらったら大分良くなりました◎

病院って素晴らしいですね!


今日も一日頑張りましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もうひとつの『小春の小庭』の建国物語♪
雪の魔王と春の精霊

6.22コミカライズ単話配信スタート(*´˘`*)♡
豊穣の聖女


恋愛作品を色々書いています୧꒰*´꒳`*꒱૭✧
よかったらのぞいてみてください♪
ヘッダ
新着順① 総合評価順② 短編③ 絵本④ イセコイ⑤ 転生転移⑥ 現実⑦ 商業化⑧
ヘッダ
 

― 新着の感想 ―
[一言] なんと、この世界にもやはりGじゃなかった魔王の使い走りも蚊もいるのですね……。辛い(涙)。魔木がある世界ですから、花粉症の威力も半端なさそうです。 恐ろしい((((;゜Д゜)))))))そり…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ