5.甘やかな幼なじみ
幼馴染みは甘やかさん。
甘さが出せてたらいいな。
マリィが驚いた顔から、ほんの少し目を潤ませた……! え、駄目だったのかな? と慌て始めた私に、
「まあ……! リマ様が今までご自分で知りたいと言ったことがなかったので……! ププリュの載っている本がありますので、戻ったらお持ちしましょうか?」
「マリィありがとう!」
「私もリマ様が楽しそうなので、嬉しいですよ?そろそろお部屋に戻りましょうか?」
ププリュの本を読むことが出来ると思って、わくわくな気持ちで、「うん!」と大きく頷くと、マリィにうふふと微笑まれた。マリィは優しくて大好き!
戻ろうとゆっくり歩き始めた時……
「リマーー!」
「……っ! ラルク……!」
誰? と考えるよりも先に声が出た……!
いや、リマの記憶が、感情が溢れたと言った方が正しいかもしれない。思い出せるリマの記憶は、ほとんどがラルクのことだった。
ラルクは隣に住んでいる私の幼馴染みだ。
お月様の黄金色の瞳、ダークチョコレート色の柔らかそうな髪、笑うと周りが暖かくなる、格好良くて、いつも優しい王子様みたいな同じ歳の幼馴染み。
「リマ……倒れたって聞いたけど、もうこんなに歩いて平気なの……?」
私より背の高いラルクが私の頭に、ぽんっと優しく手を置くと、心配そうに黄金色の瞳を揺らして、私の顔を覗き込む。
「……っ!……う、うん?」
すごく驚いて変な声が出てしまった……!
だって、小春は19歳だったけど、こんな女の子扱いしてくれるような人はいなかったからね? 5歳の子供同士だから距離感が近いのかも……? そうだ、きっとそうだ! 日本とは違う国みたいだから、距離感を意識するのもおかしい……のかも?
頭の中がぐるぐると考えて忙しいし、顔に熱が集まるし……
「少し顔が赤いかな……?」
「……っ!」
ラルクが頭に置いていた手を優しくおでこに当てる……!
顔が赤いのは貴方のせいです! 手を退けて……! と思うものの、心臓がドキドキ煩くて、何も言えずに俯いてしまう。手は、また頭に戻り、よしよしと、優しく何度も撫でてくれる。熱を持つ頬……目が潤むのが自分でも分かり、恥ずかしくなる……。私、5歳の子に翻弄されてる……よね?
「マリィ、リマが疲れているから戻ろう」
「……ラルク様、マタル様はいらっしゃいますか?」
「マタルはすぐに来るよ。リマ、行こう?」
心臓がどきどきと煩いのを必死で押さえ、私は何とか、こくんと頷く。ラルクは、そんな私のどきどきには気付かないまま手を繋いで歩き出した……!
「今日のリマ……かわいい」
ラルクが私の手を繋いだまま笑顔で言った……!
破壊力抜群の笑顔で言われ、ラルクの顔を見ることが出来ずに、空いている手のひらで熱の集まった頬っぺたに手を添えた……。もうどんな顔をラルクに向けて良いか分からず、俯いた私をラルクが手を引いてくれる。
「リマ、かわいい」
ラルクのひと言で、真っ赤な私が、もっと真っ赤になったのは仕方ないと思います……















