48.王子の向日葵—前編
書き直ししました。
ラルク視点
「リマおかえり」
僕はとても機嫌がいい。やっとリマが旅行から戻って来た。頭を優しくよしよしすると、リマははにかむように笑い、小さな声で「ただいま」と言い「おかえりなさい」とリマの目を見て言うと白い頬が桃みたいにピンク色になった。まつ毛がゆれて、かわいい。
「ちゃんと説明する?」
リマは僕が王子だと言うことをすっかり忘れていた……!
リマらしいなと思うけど、僕が王子だと分かり、リマの態度が変わったら嫌だなと思う。リマは今のリマのままがいい。
つないでいた手に力が入っていたようで、リマがつないでいる手を見ていた。「痛かった……?」とつないでいない手で、リマのぷにぷにの頬を撫でるとリンゴみたいに真っ赤になった! リマかわいい……!
「……お願いします」
「リマニーナお嬢様、ラルクフレート・ラシャドルでございます」
僕を見るリマがかわいいから、大人みたいに、リマの手の甲に口付けをしたら首まで真っ赤になった!
リマが聞きたいなら父上や兄上、王家について何でも話してあげるつもりだったけど、母上の実家に魔法移転をしている事が驚いたみたいだ……!
「すごいね……!私は魔法移転苦手だったよ」
「そう? 楽しいけどな」
僕が魔法移転をすると、少し気分が悪くなるのは……リマには秘密にしておこう!
リマがいつも通りになったのを見て、「もう説明は平気?」と聞いた。
「うん! 驚いたけど、今まで通りならいいよ?」
「忘れてたのはリマだけだよ?」
僕がリマに避けられたら……とか色々考えて、ドキドキしていたのに、あっけらかんと言ったリマに、ほんの少しだけ意地悪を言うと、リマがぷぅと頬を膨らませた。みんなにもからかわれたのかも?
リマはもしかして、睨んでいるつもりなのかな? リスが頬袋に詰め込んだみたいになっているよ……?
「ごめんごめん。リマが小さいときの事だから覚えてなくても仕方ないよ?」
リスリマもかわいいけどね?
「ううん。私も覚えてなくてごめんね。仲直りだね?」
「そうだね?」
かわいいリスリマは僕と喧嘩していたみたいだ! リスリマは、ケンカして、仲直りして……ちょこちょこリスみたいだ!
リマがふぅと息を吐き、ふにゃりとかわいい顔になったのを見て、僕もホッとした。リマはリマのままでいいよ。よしよしと頭を撫でると、リマはにっこり向日葵のように笑った。
「リマ、お誕生日おめでとう」
リマにドキドキしながら誕生日の贈り物を渡す。
ラシャドル王国で6歳になるのは特別だ。リマに何を贈るかずっと考えた……リマの笑った顔に、ふわふわの髪に、きっと似合うと思うけど、喜んで貰えるといいな……!
「開けてみて?」
箱を持ったまま驚いて止まったリマに「早く開けて?」と言うと、嬉しそうに笑い、リボンを細い指でそっと持つ。リボンが贈り物だと思いそうな手に、早く開けて欲しいし、嬉しい気持ちになった。
ゆっくりリボンを解き、リボンも大切そうに横に置いた後、箱を大切にゆっくり開ける。
向日葵のバレッタを見たリマは、信じられないと言うように、大きく目を開いた!
「すごく可愛い!ありがとう!」
ひまわりみたいな笑顔でリマが喜ぶ。
まだ箱の中に入ったままの髪飾りを手に取り、リマの片側に結ばれているふわふわの髪に合わせてみる。
うん、やっぱり似合う。
今付けている髪留めを外し、向日葵の髪留めに付け直した。
僕の贈った髪留めを付けたリマがはにかみながら僕を見ているのに気付いた。
自分の顔がバッと赤面するのが分かり、隠すようにリマに近づく。
「リマ可愛い。」
耳元で呟くように言葉が溢れる。
本当にリマはかわいい。
リマから甘い花の香りがする…。
暑さを和らげる魔道具が壊れているみたいだ…。
「リマが遊びに来るの楽しみだな。」
顔の赤みが引いてからはリマの髪をずっと触っていた。
リマがくすぐったそうにするけど、その困った顔も可愛くてふわふわの手触りの髪から手が離せない。
「うん!わたしもお城のお庭見るの楽しみだよ!」
リマがくすぐったいような困ったような顔から植物のことを考えている様子で、えへへとふにゃんと幸せそうにとろけたような顔をする。
本当にリマは植物のことになるとまわりが見えなくなるが、そんな表情ももっと見ていたくなるから困る。
父上に庭が見たいとお願いしたリマには驚いたけど。
本日も読んで頂き、ありがとうございました!
初めてのラルク視点を書いてみました。
最初、お兄さんも登場したのですが、ごちゃごちゃしていると思いましたので前編、後編に分けることにしました。
後編はもう少し手直しして載せたいと思います。
今日もお疲れ様でした。
安らぎの夜が訪れますように。お休みなさい。















