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小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
6歳のはじまり

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47.小さな向日葵



「やっぱり覚えてなかったんだね?」



 くすくすと笑うラルクにこくんと頷いた。

 昨日、謁見の間らしい部屋で国王陛下に顔を上げたら国王陛下の横にラルクが居て、とても驚いた。ラルクと目が合うと、人差し指で内緒のポーズを取ったのを見た所までは覚えているが……あとは何がどうして家に帰って来たのか覚えていない。



 今日の朝早くにラルクはいつも通り(・・・・・)隣の庭から我が家に遊びに来て、暑さを和らげる魔道具の敷物を木陰に敷いて2人で並んで座っている。ラルクが持って来た魔道具の敷物は、冷房の機能が付いていて、この空間だけひんやりしている。相変わらず魔道具は便利だと思う。



「リマおかえり」



 頭をよしよしと犬みたいに撫でるラルクに、「ただいま」と言うと「うん、おかえりなさい」と改めてラルクの黄金色の目に覗き込まれる様に言われる。帰って来たな……と実感がする。



「ちゃんと説明する?」



 ラルクが繋いでいた手に少し力を入れて、まつ毛を少し震わせて言うので、聞いていいのかな? と少し悩み、「……お願いします」と答えた。



 昨日、我が家(エディンリーフ家)に帰って来てからお父さんとお母さんに聞いたけど、ラルクからちゃんと聞きたいと思ったのだ。



「リマニーナお嬢様、ラルクフレート・ラシャドルでございます」



 ラルクはいたずらっ子みたいな目をして、繋いでいた私の手の甲に口付けを落とした。王子様みたい……あ、王子様なのか……!



 ラルクはラシャドル王国の第2王子らしい!

 全然話せなかったけど、謁見の間に、お兄さんも居たもんね。

 お隣さんなのはお母さん同士で、ラルクは魔法移転で母親、……つまり王妃様! の実家の庭からエディンリーフ家に遊びに来ていたこと。

 お父さんが国王陛下の従兄弟(いとこ)で、私とラルクは再従兄妹(はとこ)になるらしい……!



「え……! 毎回、魔法移転して来てたの?」

「うん。リマに会いに来るときはね」

「すごいね……」



 私は顰めっ面で、「魔法移転苦手だったよ……」と言うと、「そう? 楽しいけどな」と涼しい笑顔で言うラルクは絶叫系が得意なんだな……を通り越して、尊敬すらした。



「もう説明は平気?」



 魔法移転の話を始めた私を見て、ラルクはくすりと笑って聞いてくる。


「うん! 驚いたけど、今まで通りならいいよ?」

「忘れてたのはリマだけだよ?」



 ラルクにくすくす笑われる。

 昨日はお父さんとお母さんに忘れていたの? と呆れられ、マリィに魔法学校の説明会があるからラルクに会えると思っていたと言うと、「リマ様はたまに抜けてますからね」とうふふと笑われた。

 そして今日はラルクにくすくす笑われて……ちょっと面白くなくてぷぅと頬を膨らませる。



「ごめんごめん。リマが小さいときの事だから覚えてなくても仕方ないよ?」



 ラルクと私、数ヶ月しか違わないけど……ね!



「ううん。私も覚えてなくてごめんね」



 私が「仲直りだね?」と言うと「そうだね」と微笑んでくれた。

 なんだ、結局なにも変わらないままだ。

 ふぅとため息が出た。

 少しだけ、ラルクが王子様だと知って緊張していたみたい……。



「リマ、お誕生日おめでとう」



 ラルクが「開けてみて?」と綺麗な白いリボンが結ばれ、光沢のある淡いピンク色の小さな箱を差し出してくれる。



「ありがとう。いいの……? この前、貰ったよ?」



 ラルクが緩く首を振り、「あれは約束した物でしょう? これは誕生日の贈り物だから別物だよ」言われる。

 柔らかなリボンを丁寧にそっと摘み、ゆっくりと引っ張ると、するりとリボンが解ける。リボンを横にそっと置いて、ピンク色の箱を開ける。



 キラキラ光る向日葵(ひまわり)のバレッタが入っていた……!



 ……これって……?



 お母さんとお出掛けした時に、欲しいなと思った向日葵バレッタと同じ……?

 向日葵の花が3個並んでいて、その縁に小さな葉っぱがあしらってある。キラキラして一目惚れしてしたものだ。お店にあったのは、大きくて諦めたけど、ラルクが贈ってくれたのは、私に丁度いいひと回り小さな物だ。



「すごく可愛い! ありがとう!」



 向日葵バレッタの入っている箱を持ったままラルクにお礼を言うと、「リマに似合うと思ったんだよ」と言い、ラルクが向日葵バレッタを箱から手に取り、私の髪に合わせるようにして眺める……ちょっと恥ずかしいかも?



「うん。やっぱり似合うね」



 うんうんと満足そうに頷いたラルクが、今付けている髪留めをするりと取ると、向日葵(ひまわり)バレッタをパチンと留める。



「リマ可愛い」



 ラルクがふっと近付いて来て耳元で囁いた……暑さを和らげる魔道具は私にはあんまり効いていないみたいです。「……ありがとう」と答えるのに精一杯だった。



「リマが遊びに来るの楽しみだな」



 ラルクが向日葵(ひまわり)バレッタのついた髪を触りながら話してくるのでくすぐったい。



「うん! わたしもお城のお庭見るの楽しみだよ!」



 変わっていないけど、変わったこと!

 国王陛下にいくつか質問され「お庭を見たいです」と答えたら「いつでも遊びに来なさい」と言われてしまったのです……!



 明後日、ラルクのお庭にはじめて(・・・・)遊びに行くのが今からとても楽しみ!

本日も読んで頂き、ありがとうございました!


昨日は忙しすぎて目が回りそうでした…

今日は良く眠れそうです◎


今日も一日頑張って行きましょう!

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