43.魔法測定
「「リマ、お誕生日おめでとう!」」
「ありがとう!!」
お父さんとお母さんにお祝いの言葉を貰い、マリィや他の使用人達にも沢山お祝いの言葉を貰いとても嬉しい朝だ。
朝ごはんにサンドイッチとレモン水を飲む。
簡単に朝ごはんを終えるとお父さん、お母さん、マリィ、カイル以外は退席して行く。
「リマ、今から『魔法測定』を始めるよ。」
私がこくんと頷くのを見たお父さんが光沢のある黒い箱と見覚えのある『ププリュウォーター』を机の上に置いた。
黒い蓋を開け、中からリマニーナ・エディンリーフ殿と上に書かれた羊皮紙を1枚取り出す。
「これは魔法契約書だ。この契約書は『魔法測定』を本人が行う事を誓う物なんだ。誓う事が出来るならこのペンで署名をしなさい。」
「分かった。」
うんと勢いよく頷いた私にお父さんが藍色のねじりガラスペンを手渡してくれる。
あれ?インクはどこ?と思ったら自分の魔力がインクになる魔道具だよと教えられる。
魔道具って本当に便利だね。
深呼吸をひとつしてから羊皮紙の下にある署名欄に《リマニーナ・エディンリーフ》と名前を書いた。
「よし、いいね。じゃあ次は血判を押すよ。」
「え?!痛いのはイヤだよ!」
血判って血でしょ?!やだやだ!痛いの無理だもんと首を横にぶんぶん振った。
「リマお嬢様、目をつぶって下さい。」
カイルがさっと私の右手を掴むけど、痛いのは嫌だよと右手を揺するとカイルの絶対零度の目線が『いいから目を閉じろ!早くしろ!』と言うので、堅く目を閉じて手を差し出した。
いいこ…と笑いを堪えたような呟きが聞こえた。
カイルがピッと針みたいな物で指先を切ってくれた。ぷくっとにじんでくる赤い血を自分の署名の横にぎゅっと押しつけた。
血を吸いこんだ瞬間、署名をしたインクの部分が黄金色に光り、その後、他の文字のインクも黄金色に光る。黄金色は赤色に代わり、燃えるようにインクの部分から穴が開いて広がっていき、魔法契約書はキラキラとした砂のように消えていく。
最後のキラキラがなくなる瞬間、カッと強い光を放ち、魔法契約書は少し厚みのある白に近い銀色に光る丸いメダルに変わった。
「リマ、そのメダルに右手を押し付けるんだ。魔力を測定するから終わりの合図の2回光るまで離さないよう気をつけるんだよ。」
「…うん。」
久しぶりの魔法にわくわくしてる気持ちと何が起こるか分からない不安さで緊張する。
もう一度、深呼吸をして、そっと右手を押し付ける。
…グンッ!?
え?!と思ったら物凄い勢いで右手が吸い込まれる。強力な掃除機に右手を吸われているみたいな感覚だった。
「え?!えっ?!なにこれ?!」
完全にパニックになった。
体が動くわけじゃないのに体の中身がどんどん吸われて行くような感覚…怖い…怖い…
ぽんっと頭に手が置かれた。
「落ちつけ、深呼吸!」
息を忘れていたみたいだ!
「魔力が多いと貧血みたいになる。もうすぐ終わるから右手離すなよ!」
うん!と頷いて、目をつぶって掃除機に身を任せる。どんどん自分の魔力らしい物が吸い込まれているのが分かる…段々お腹が空いて来たかも…ああ、もっと食べておけば良かったな……
更にどんどん吸い込まれ、目の奥がチカチカして来た。ぐらりと頭が傾いたらカイルに後ろから支えられた。
「リマ様、急いで飲んで下さい!」
マリィがププリュウォーターを差し出してくれたのを受け取り、一気に飲む。
目の奥のチカチカも空腹感もあっという間に収まる。良く効く栄養剤って感じ。
「すごいね!ププリュウォーター!!」
ゴンっと後頭部に痛みが…!
「旦那様の説明聞いていませんでしたか?目をつぶっていたら終わりの合図分からないでしょう!」
カイルに雷を落とされた…
お父さんとお母さんも頷いているので、ごめんなさいとみんなに謝る。
「ちょっと余分に吸われたけど大丈夫だと思うよ。」
お父さんが慰めるように言ってくれた。
手元のメダルは黄金色に輝くメダルに変わっていた。
「これどうするの?」
もう一度触る気になれずに指差して尋ねる。
「この箱に入れるんだよ。」
お父さんが白い手袋をはめて黄金色のメダルを先程の黒い箱に戻し入れ、蓋を閉じる。
一瞬、蓋の隙間から光が溢れる。
お父さんが蓋を開けて、中身が全て無くなったのを確認すると無事に届いたなと呟いた。
「どうなっているの?」
「この箱はラシャドル王国の城に繋がっているんだ。今のメダルで『魔法測定』されて、結果がもうすぐ戻って来る筈だ。」
マリィが蜂蜜たっぷりのホットミルクを入れてくれたので、こくんと飲み込む。
甘くてあったかくて眠気を誘うんだよね…。
リマ様、と優しく呼ばれ、はっと目を開けた。
本日も読んで頂き、ありがとうございました!
魔法らしさが出ていたらいいのですが…結果までたどり着かずにすみません。
今日も一日お疲れ様でした!
口内炎が出来たので薬をつけて寝ます◎
安らぎの夜が訪れますように。お休みなさい。















