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42.手紙と向日葵

こんばんは。

毎日暑いですね。

バテないように気をつけましょう◎



 馬車に揺られ、我が家(エディンリーフ家)の別荘へ到着したのは、夕日の光を浴び、世界が美しく輝いてみえる夕映えの頃だった。

 別荘には、ラルクからの使者が待っていた。



「リマニーナ様に預かって参りました」



 私に差し出した細長い空色の箱と淡い藍の浅葱色の封筒を「ありがとう」と受け取る。直ぐに開けて良いのかな……? と視線を上げると、父さんが「開けてみなさい」と言うので、マリィがペーパーナイフで開封して、渡してくれた。

 中身を確認すると、封筒と同じ浅葱色のカードが入っていた……! 何て書いてあるのかな……? と読み始めようと思うと……みんなの視線が一斉に降り注いでいる事に気付いた……!



「みんなは読んじゃだめだよ!」



 ラルクの手紙を胸に抱いて、みんなを睨む!

 もうっ! 油断も隙もないんだから……!

 カイルがはいはい……と呆れたような表情をして後ろを向くと、他のみんなも視線を逸らしてくれた。



「ぜったいに見ちゃだめだからね!」



 もう一度念を押すと、カイルがくっくっと小さく笑ったが無視をした。

 準備は万端だね……! よしっ!

 ドキドキしながら手紙を読み始める……ラルクの字は、すごく綺麗で、でもラルクらしい字だなと思う。



『リマお誕生日おめでとう!


 1日早いけど、1番にリマにおめでとうと言いたかったんだ。

 旅行は楽しんでいるかな?

 帰って来たらリマの話をたくさん聞きたいな。


 箱の中は前にリマと約束してた物だよ。

 覚えてる?



 明日の魔法測定は、大変だけど頑張ってね。

 リマならきっと大丈夫だよ!



 ラルクより』



 ラルクから最初のおめでとうの言葉を貰い、顔がにやけるのが止まらない……胸がふわんと暖かくなるのが分かる。



「リマお嬢様、良かったですね。ところで何を約束していたんですか?」



えっ……? なんで……? と手紙から顔を上げるとカイルと視線が合った……!



「大切な物はひとりの時に見る物ですよ?」



 くつくつと笑いながらカイルが言う。「うそつき!」と熱を持った顔で睨みながら言うと、お父さんがビクリと肩を震わせた……!



「お父さんも見てたでしょ! お父さんのばか!」

「もう……リマのことが心配なのよ? ゆっくりお部屋で見るといいわ。さあご飯にしましょう」



 口をもごもごさせ「いや、その……」言葉にならないお父さんの肩に、お母さんの手が優しく乗せられる。お母さんの優しい提案に、こくんと頷き、夕ご飯を食べるために移動する。


 お父さんが移動中も落ち込んだままなので、洋服の裾をぐいっと引っ張り「もう怒ってないよ」伝えると、お父さんに抱きしめられ、そのまま移動することになった……。



 夜ご飯が始まっても、ラルクからの贈り物が気になり、ソワソワしていると、「ちゃんと食べないと大きくなれませんよ」とカイルに注意をされてしまった……


 お父さんとお母さんにお休みのハグと挨拶を済ませ、寝る準備を万端に整えると、ベッドの上で正座をする。



「犬みたいだな?」



 くつくつとカイルに笑われたが、べーと舌を出し、「お休みなさい」と言うと、「お休みなさいませ」と恭しくお辞儀をしてカイルが部屋から出て行く。好青年はどこに置いて来たのか、忘れ物として届いていないのか……?



 深呼吸をして、空色の箱をそっと開けた……



 光沢のある布の中央に、藍色に金色の王冠の描かれた素敵な鉛筆が入っていた……!



「あ! 交換する約束をしていた鉛筆だ!」



 ラルク……ちゃんと覚えててくれたんだ!

 嬉しくて、少し照れ臭くて……胸の奥がきゅうっとするよ。顔がにやけるのも止められない……。



 鉛筆を空色の箱に丁寧に戻し、ラルクの贈り物を抱きしめて幸せな眠りに落ちた——



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 私のお誕生日を迎える……!

 


 嬉しくて、楽しみで、凄く早く目覚めてしまった……! マリィが起こしに来るまで時間がたっぷりあるなと思い、ベッドから起き上がると、小さな音でノックをされる。



「やっぱり起きてたな!じゃあ支度して行くぞ!」



あっという間に洋服に着替え終わった。

白のポロシャツ、紺色のキュロットパンツにブーツを合わせ、かっちり目のお団子スタイルである。


カイルに革手袋を渡されはめていると頭にポンとヘルメットを被せられる。


「今日は頼むな。」

カイルが優しく話しかけ撫でているのは馬のツァールトだ。ひひんと優しくこたえるのを聞き、カイルが私を呼ぶので私も近づき、よろしくねと撫でる。


「危ないから前を向いたままな。」

背中でカイルの声がする。

うんと頷くとカイルが笑った気配がした。

私の左右から伸ばされたカイルの長い腕が手綱をつかむ。


少し走らせると朝焼けがピンク色からオレンジ色、そして黄色へと徐々に変わっていく。



「わあ!!ひまわりだ!」

小高い丘の上に出ると朝焼けで黄色に染まる黄金色の向日葵畑が姿を見せた。

一面が向日葵ですごく綺麗だった。


「奥様と旦那様が連れて行きたいと言っていたからな。折角だから朝焼けの向日葵を見せようと思った。」

背中のカイルが教えてくれる。

くるりと振り向いてカイルありがとう!すっごく綺麗だね!と言うと頭を片手で掴まれ、前に向けられる。


「前を向いてろ。」

ああそうだった。ごめんなさいと言うと笑った気配がした。


「2人で朝焼けは見てもいいの?」

「まあつるぺた(子供)はノーカウントだろ。」

くっくっとカイルの笑い声がする。


「カイル最低!スケベ!」

「まあ男はそんなもんだ。お前も沢山食べないとつるぺたのままだぞ?沢山食べなさい、お嬢様?」


「……。」

変態スケベのカイルは無視することにした。


その後、向日葵畑の中を歩いて回った。

馬の背中に乗ると向日葵の花が目の前にあってキョロキョロ夢中になって向日葵を見ていたら戻る時間になる。


ツァールトにお礼を言って撫でてカイルに下ろして貰った。

革手袋を外していたらカイルにヘルメットを今より深く被せられ、前が見えないと慌てたら、誕生日おめでとうなと言われ、驚いてカイルを見上げる。



カイルはニヤリと笑って、ほら戻るぞと部屋までエスコートしてくれた。

本日も読んで頂き、ありがとうございました!


感想を頂き、嬉しくてにやにやしておりました◎

本当にありがとうございます!


今日はお煎餅をおやつに食べました。

夏限定の枝豆味◎

枝豆大好きです。


今日もお疲れ様でした。

安らぎの夜が訪れますように。お休みなさい。

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