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41.アユーラの里

こんにちは。

毎日暑いですね。



「しばらくミントは見たくないな…。」


馬車に揺られ次の目的地へ向かいながら呟いた言葉をお父さんもお母さんもマリィもカイル(・・・)も頷いた。


沢山のミントを試したのでしばらくミント休みが欲しいのです。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


ミンツェ村を出発する前にスペアミントとアップルミントの畑を作った。


「大きくなーれ。大きくなーれ。」


まだきちんと耕していない場所だが何処から何処までかをきちんとイメージしてわさわさなミントになるように気持ちを込める。


……ぱあぁぁ…私の両手が淡くミントグリーン色に光り、その光がゆっくりイメージした範囲に広がっていった。


『スペアミントの畑』が出来ました!



「わあ!イメージした場所に増やせるんだね!魔法って便利だね?」

お父さんとお母さんはうんうんと頷いているけど、初めて見たミンツェ組はぽかーんと見ていた。


「アップルミント畑も作るね?」

ぽかーんとしていたハッカさんを見るとゆっくりと頷いたので作ることにした。


「大きくなーれ。大きくなーれ。」


……ぱあぁぁ…私の両手が淡くミントグリーン色に光り、その光が再びイメージした範囲にゆっくり広がっていった。


『アップルミント畑』が出来ました!



本当に魔法ってすごいなぁ。

あとは宜しくおねがいしますとハッカさんに言ってミンツェ村を出発した。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「リマお嬢様、体は平気なのですか?」

カイルの副音声なしなので本当に心配している様だった。


「え?元気だよ!沢山寝たし朝ごはんも美味しかったよ?」

よく分からないと思い小首を傾げるとカイルは『それなら良いですね。』と全然良くなさそうにため息混じりに言われた。




しばらく進んだ所で馬車が急にゆっくりになった。


「旦那様、申し訳ありませんが馬車の車輪を確認させて頂いてよろしいでしょうか?」


困ったように御者がお父さんに尋ねる。

ああ構わないとお父さんが言うと直ぐ近くの里で休憩する事を伝えていた。


「この近くというとアユーラの里かしら?」

お母さんがお父さんに尋ねるとそうだと思うと答えていた。


「アユーラの里ってどんなところなの?」


「川があった筈だが、そんなに変わった所のない小さな里だったかな?」

うーんと少し考えて教えてくれた。


「川があるの!楽しみだね!」

夏の暑い日に川に入ったら気持ち良さそうだなと考えているとカイルに川には入らないでくださいと早速釘を刺された…。

…エスパーなの?!と見上げたらやれやれと首を振られてしまった。


アユーラの里に到着して、馬車の調子が良くなるまで休憩することになりお昼ご飯を食べた…。


お昼ご飯は、王都のメニューを真似して真似出来ていないような微妙な味…だった。


馬車の点検に時間がまだかかるみたいなのでお父さんとお母さんに絶対に川に入らないからと約束して川に行った。

里の子どもが5人で遊んでいた。


「なにしてるの?見てもいい?」


「いいよ!珍しい顔だね?」


「ありがとう。私はリマニーナだよ。リマって呼んで?」


「私はミール・アユーラだよ!こっちは弟のルッツ。あとは友達のマーヤとサーヤとナイツ。」

1番年上っぽい女の子はアユーラの里の長の娘さんだったようで、みんなを紹介してくれた。よろしくねと挨拶をする。


「今は魚を取ってたんだ!見てみる?」


「うん!見たい!!」


川の上流から泳いできた魚がかかるのを待つ罠が仕掛けてあり、覗くと鮎が10匹近く入っていた。


「すごい!!」

驚いて言うとミールは得意そうに笑った。

リマも食べてみる?と聞かれたので食べたい!と言うとじゃあ付いてきてとみんなで河原の木陰に座る。

なんていう魚なの?と聞くと特に名前はないけどアユーラの里の魚だから『アユ』って呼んでいるみたい。



ミールが手早くアユを串に刺してくれて火をおこし焼いて行く。

マーヤとサーヤが焼けるまでこっちを食べようと渡してくれたのは川の水でよーく冷えたキュウリとトマト。


お昼ご飯をあまり食べていなかったので嬉しいなと思い、ありがとうと言ってキュウリを手に取って、がぶりと食べる。


「ん〜美味しいね!」

よく冷えたキュウリはいい音をたてながら食べて行く。

みんなで食べると美味しいよね。


「こっちも焼けたよ。はい、リマの分。熱いから気をつけてね。」


いい焼き色のついたアユをミールから受け取る。

鮎の背のあたりを熱さに気をつけてそっとかじる。


「ん〜美味しいね!!」

アユの焼け目も塩加減もちょうど良くてペロリと1匹食べるとみんなに驚かれた。


「リマってお嬢様なのにふつうなんだね?」

「え?ふつうだとダメなの?」


「ううん!話しやすくて好きだよ!」

ミールがそう言うとマーヤとサーヤもうんうんと頷いていた。ルッツも小さな声で…俺もと言ってくれたので、可愛くてギュっとハグをした。




カイルが迎えに来たのでみんなにバイバイして戻る途中で『リマお嬢様は誰とでも仲良くなりますね?』と冷気を出しながら言ってきたが、今回は女の子と小さな男の子だったから良いでしょ?と答えた。

やれやれと首を振られたけど…。


戻るとみんなは既に馬車に乗り込んでいた。

アユーラの里の長が見送りに来ていたのでお別れの挨拶をする。

先程、ミールと遊んで『アユ』と川で冷やした野菜のお礼を伝えるととても驚いていた。


「『アユ』の梁漁(やなりょう)で『アユ』を手掴みして取ったり、ごはんを食べたりできたら良いですね!」

里の長にミール達が作った川の上流から泳いできた魚がかかるのを待つ罠を『(やな)』と言い、それを大きくしてお食事処やアユのつかみ取りを出来る『観光やな』の説明をすると驚きながらもとても興味深そうに質問を交えて聞いてくれた。


もしかしたら観光やながアユーラの里に出来るかもと思いながらお別れをした。


「リマ、随分とアユーラの里の長と話していたわね?」


「うん!さっき娘さんのミールと友達になったからその話しをしていたの。」


「そう。楽しかったみたいで良かったわね。さあ早く出発しましょう。」







次の夏、アユーラの里の『観光やな』は家族連れに大人気になるのだが、リマ宛にお礼の手紙と新鮮な野菜とアユが届けられるまで、まだ誰も知らない。


本日も読んで頂き、ありがとうございました!


40話を超えました。

こんなに書き続ける事が出来て自分でも驚いています。

それもこれも皆さんのブックマークや評価のおかげです。

ありがとうございます◎


今日もまだまだ暑いですが、頑張りましょう!

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