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小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
5歳は異世界生活のはじまり
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4.この木 なんの木 魔力の木

小庭に辿りつきました。

ちょっと思っていたより広そうな庭になってます!



 あれ? どうしてみんなポカンとした顔をしているの……?


 首を傾げて考える……あ、手を合わせて、「いただきます」「ご馳走さま」と言う習慣が、この国にはないのかもしれない。失敗したな……と思い、へらりと笑っておく。子供の笑顔はきっとどうにかしてくれる……はず! 記憶が混乱しているかもと言われているみたいだし? ポカンとしたままの顔のみんなに、ついでにお願いを言ってみた。



「これからお庭をお散歩してもいい?」



 昨日倒れたけど、痛みもないし、食欲もあるし……ベッドで寝ているのは退屈だと思って、みんなに聞いてみた。

 リマの記憶で、この家のお庭は広くて、色々な草花があるみたいだった! ふふっ、何を隠そう……私は大学で植物学を専攻していたのだ! この国の植物を見てみたいと思うのは、当然のことだ!



「駄目だ!」



 ポカンとしていたお父さんの顔は、深く眉間に皺を寄せた顔に変わっていた……



「リマは昨日倒れたばかりなんだ。今日は家の中でゆっくりしなさい。明日、元気だったら庭を少し散歩してもいいよ」


「……わかった」



 昨日、庭で倒れて、今日も庭に出て良いわけないか……ちぇ、残念。お庭に出て、植物見たかったのにな。でも倒れたばかりだし、文句も言えないよね。


 明日はお庭に出る許可も貰ったので、マリィとエディンリーフ家を探検して回ることにした! リマはあまり活動的では無いらしく、自分の家なのに初めての場所みたいで、わくわくした……! それにしても、我が家、いや、屋敷が、すごく広くて驚いた! 部屋数は幾つあるの? 最初は数えていたけど、途中から諦めたくらいの部屋はあった。



 楽しみにしていたのに、翌日は雨だった。

 翌日から数日間、春雨のぐずついた天気が続き、お庭に出る事が出来なかった……


 お庭に出れない日は、マリィと屋敷で探検の続きをしたり、折角沢山の部屋があるなら……! と、かくれんぼをして遊んだ。隠れる所が沢山あるのに、マリィはあっと言う間に私を見つける……何故なんだ……? 首を傾げると、「リマ様の侍女ですもの」とうふふと微笑まれた。


 いやいや、こちらは「見た目は子供、頭脳は大学生!」なんだけどな……!



「やった! 今日は晴れてる」



 数日後の朝、カーテンの隙間から朝日がキラキラと入るのを見て、思わず叫んだ! ようやくマリィに連れて来てもらった念願のお庭は、屋敷同様にとっても広かった!

 その中で目を引いたのは、お庭の中央辺りにある木だった。あれって……?



「ねえ、梅の木があるの?」

「リマ様、あれはププリュの木ですよ。この前、リマ様が倒れたのは、ププリュの木の近くなんですよ……」

「ププリュ……?」



 ププリュの木か。梅の別名は、プラム、プリュネ、プフラオメ……ププリュの呼び名に似ているし、梅の木っぽい?


 梅は、小春のおじいちゃんの庭に植えていて、大切にお世話をしていたのを見て来たから思い出がある木なんだ! 梅の実が取れる時期に一緒に収穫して、梅干しや梅シロップ、梅酒を作ったり……色々楽しい思い出があるの。



「マリィ、ププリュの木の近くに行ってもいい?」



 マリィの返事を聞く前に、梅の木、ププリュの木に向かって歩き始めた。「はぁはぁ……」すぐ近くにあると思ったのに、意外と遠い……。 小さな子供だから歩幅が違うけど、リマちゃん……体力ないな……。息を整えながらププリュの木をゆっくり見上げた。



「ねえ、マリィ……この木は実をつけないの?」



 近くで見ると、葉っぱは生い茂っているが、実が出来ている様子がない。この世界に詳しくはないが、今が春だとするならば、花が咲き終わり、小さな実が付いていてもいい筈だ。

 梅の木にそっくりだけど、ププリュという木が違う可能性もあるので、マリィに質問した。



「昔は分かりませんが、私がエディンリーフ家に来てから、このププリュの木は、花も実も付けたことはないはずですよ?」

「他のププリュの木は、花や実がなるの?」

「そうですよ。ププリュは魔木なのですが、ププリュの実に魔力があるので、魔力回復薬(ポーション)の素材として使われるのですよ」



 気になる単語出ました! 気になる単語出ました! 大事なので二回言いました!


 魔木! 魔力!


 マリィがファンタジーの世界みたいな事を言ってる! あ……倒れた時も白髭先生が魔法みたいなもので治療してくれたよね? あれは魔法だったんだ……!

 魔法の植物があるなんて……わくわくして来た! 絶対ププリュの花と実を見てみたいし、育てたい!

 

 

「ねぇマリィ……くわしく教えて?」



 マリィの洋服の裾を引っ張り、両手を組み合わせ、子供を最大限に活かしたお願いのポーズを取った。マリィが目を開いて驚いた顔をした——

この木なんの木気になる木ー!

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