39.ロートスの池
こんにちは。
完全に寝落ちしていました。
38.ブルーアワーは書き直しましたので、良かったら見直して貰えると嬉しいです◎
『蓮』の表記を『ロートス』に変更してあります。
「だまされた!!」
私がぶすっとした顔でじとっと睨んでもカイルさんはしれっとした涼しい顔で私の髪を手早く編み込んで行く。
私が昨日カイルさんに抱っこされ寝てしまったので、今朝はとても早く目が覚めた。
マリィもまだ来るには少し時間があるしどうしよう?と思っていた私はピコンと良い考えが浮かんだ。
昨日見れなかったロートスの花を見に行こうと思いついたのだ。
ロートスは夜から朝に変わる時間に咲くと言われていて、今なら花びらが開くのが観れるはず。
予定が決まったら即行動!
洋服に着替え、髪を簡単に整え、いざ出発とドアを開けたところにカイルさんが立っていた。
「おはようございます。リマお嬢様。どちらへ参るおつもりですか?」
「…びっくりした!おはようございます、カイルさん。ロートスの花を見に行こうと思って…カイルさんもいかがですか?」
凄く驚いた!
誰も居ないと思っていたのにドアを開けた瞬間に人がいるって心臓に悪いと思います…。
あれ?返事がないな?と思って顔を上げたら…寒気が…あれ?カイルさんからブリザード的な?冷気?が漂っているような……?
「…リマお嬢様…その格好で出掛けるおつもりですか…?」
「…はっ、はい…。」
カイルさんに部屋に連れられ、洋服を引っ剥がされ目を白黒していると子供に興味はございませんと丁寧に毒を吐かれ、ボタンの多い1人で着るのが難しい洋服にあっという間に変身していた。
そして今、鏡台の前に座り、とても可愛い編み込みハーフアップに整えられているところだ。
「……カイルさんって好青年だと思っていたんですけど?」
「あれは仕事用だな。今は勤務時間外だからこっちが素。」
「だまされた!!全然ちがう!」
「人を見る目がまだまだだな。奥様や旦那様はすぐに気付いたぞ?」
「……。」
「ほら、出来た。完璧だな。じゃあ行くぞ?」
確かにミントグリーンのワンピースも編み込みにしたハーフアップも横からも編み込みが綺麗に見えるように出来ているし、とっても可愛い…悔しいけどね。
「ほら?」
手を差し出され手を添えるとそのままカイルさんにエスコートをされた。
「…ありがとうございます?」
疑問形でお礼を口にしたらフッと流された。
カイルさんは、口は悪いがエスコートの動作はとても丁寧で歩きやすかった。
昨日はとうもろこし畑を通ったが今日は山百合が綺麗に咲く道を歩いていく。
「リックが悪かったな。でもお前も悪い。簡単に男と2人になるな、それに自分から触るのは駄目だぞ?勘違いさせる。」
ニヤリと笑いながらカイルさんは言う。
「…?」
まるで見てきた様な口振りに不思議だなと小首を傾げる。
「ああ、リックの後をつけていたからな。全部見てた。因みに旦那様と奥様は知ってるからな。」
「ええ?!」
「警戒心が無さ過ぎる!エディンリーフ家の娘なんだから少しは自覚を持て。」
うん?お嬢様だなとは分かっているけど元々小春は庶民というか普通だからピンと来ない。
ラシャドル王国は貴族みたいな特権階級は存在してなかった筈だしな?と思ってしまう。
「まあ今はいい。ほらロートス池に着いたぞ。」
「………キレイ。」
「ああ、ここのロートスはちょっと変わってるんだ。」
「…マジー・ロートスなんですね。」
咲き始めたロートスは中心がぽわっと淡く光っている。
少し薄暗い中でぽわっと光るロートスはランプや蝋燭の柔らかい光を連想させる。
幻想的でとても綺麗だった。
「正解だな。本当に植物に詳しいんだな?」
意外だなとくっくっと笑いながらカイルさんが言う。
意外ってなんだ?!こっちは前世から植物好きだぞ。
いや、もうカイルさん付けやめていい?いいよね?
「カイルは失礼だね?」
「ははっ。よく言われる!そのまま呼び捨てでいいよ。」
カラッとした笑顔でカイルは答える。
「あとな、咲き始めるロートスを男女が一緒に見るのは、貴方と一緒に精霊の世界に行ってもまた逢いたいって意味もあるぞ?」
精霊の世界は、小春の世界で言う死後の世界だ。つまり来世も貴方に出逢いたいって意味だ。
「ええ?!」
「ははっ。やっぱり知らなかったか?あともう1つ、夕焼けが終わるまで無言で見るのも『貴方と結ばれたい』って意味だぞ?ミンツェ村のあのベンチは愛のベンチって呼ばれていて、愛の告白で使うんだよ。」
「えええ?!」
驚いた!
そんな意味があるのか?!
カイルの言葉に真っ赤になる。知らなかったけどリックは知っていたのかな?
「ああ、リックはその手のことは疎いからな。たまたまだ。きっちり教育しておいたから安心しろ。」
「ああああ…!」
穴があったら入りたい。
リックが知らないならそのまま知らない方が良かったのに…お互い恋愛感情がなかったとは言え、リックにどんな顔で会えばいいかわからない!!
「あ!!じゃあカイルと今、ロートスを一緒に見ているのもだめだよね?!」
「ははっ。気付かないかと思った!そこは大丈夫。俺はつるぺたに興味ないし、マリィもいるよ。」
「カイル、さいてい!ヘンタイ!」
「男なんてそんなもんだぞ?だから簡単に2人きりになるなよ。」
「ラルクはそんなことないもん!!」
カイルは変態すけべな奴にあっという間に格下げになったけど、男は全員なわけない…よね?
小春から縁がなかったけど…。
「うん、そうかもな?とにかくお前はお前の王子様にだけに甘えろ。わかったな?」
「…分かった。…ありがとう。」
カイルの言い方はちょっとひどいけど、確かに好きでもない人にベタベタ触ったり距離感が近いのは問題なのは分かる。
わかったな?と言うカイルの目が小春のお兄ちゃんの口は悪いけど、心配してくれてる目だったので素直になれた。
口は悪いけどカイルなりに心配をしてくれたみたいだった。
カイルがマリィが来ているという言葉を思い出し、マリィは来ていなかった筈なのにと思いキョロキョロするとロートスが綺麗に見える場所にお茶の支度をしていた。
「マリィ!」
マリィの近くに歩いていくとカイルが私はロートスを鑑賞したがるから朝ごはんの用意をここで頼んでいた事を教えてくれた。
…読まれている…悔しいような優秀だなと感心する様な…。
「説教はおしまい。はい、リマお嬢様は細っこいからきちんと召し上がって下さい。」
ニヤリと笑いながら優雅に紅茶をついでくれる。
マリィとカイルの準備してくれた朝ごはんはとっても美味しかった。
本日も読んで頂き、ありがとうございました!
毎日暑くて大変ですね。
アイスが美味しくて色々食べています。
アイスバーのチョコでコーティングされているのが大好きです◎
今日も一日頑張って行きましょう!















