33.魔王の褒美
こんにちは。
沢山の方が見に来て下さって嬉しいです◎
ありがとうございます!
「しばらくミントは見たくないな…。」
馬車に揺られ次の目的地へ向かいながら呟いた言葉をお父さんもお母さんもマリィも噛み締めるように深く頷いた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
私の呟く少し前のこと…
『魔王の使い走りスプレー』が爆発的に売れていたのがほんの少し落ち着いた頃、お父さんがキレた!
「もうどっちが魔王の使い走りなのか分からない!みんな休もう!!」
お父さんの一声でみんなが魔王からの解放だと歓声が上がった。
そこからのお父さんは行動が早かった。
エディンリーフの店を1週間の臨時休業に決め、全従業員にリフレッシュ休暇と特別ボーナスを支給した。
従業員に『魔王の褒美』と呼ばれていたとマリィに教えて貰い笑ってしまった。
我が家も1週間の休暇を使って、私の誕生日のお祝いと新しいミント工房の視察を兼ねた旅に出かける事になった。商業ギルドに登録前の5歳の子供が魔法を使って作っているのも……あんまり褒められたものではないみたいだしね?
『ミントスプレー』は今後も需要があると考えたお母さんが「お試しミントスプレー」を使った後にミントの栽培に適した土地を探し、工房の設立準備を進めていた。
ミントの品質は先にエディンリーフ家に届けて貰い確認済みだが、現地を見に来るのは今日が初めてなのだ。
王都から馬車に揺られること半日、『ミンツェ村』に到着した。
「はじめまして、リマニーナお嬢様。カイルです。以後お見知りおきを。」
「はじめまして、カイルさん。リマで良いです。こちらこそよろしくお願いします。」
馬車を降りたところでエディンリーフ店で働くカイルさんが挨拶をしてくれる。
カイルさんは「好青年」と表現するのにぴったり。
青い髪に青い目。すらりとした背の高さ。そして接客業に向いているだろう柔和な雰囲気。
お母さんの『ティエラアクセサリー』を主に販売しているらしく女性客に人気がありそうだ。
カイルさんの案内でミント畑に向かう。
艶やかな青々とした葉っぱがどこまでも茂っているミント畑があった。
「わあ!一面ミントだね!」
私の庭の小さなミント畑とは違う広さに驚くが《大きくなーれ》魔法を使わなければ1年に1回の収穫であり、畑を休ませることも必要だから広くないと困るだろう。
「カイルがね、自分の故郷にミントが沢山生えているって話してくれたのよ。」
お母さんがミント畑を見ながら話してくれる。
「私は二男で家を出ましたが…あまりミンツェ村にはこれと言った特産品がないものでして…ミントが故郷に役立つと思いまして村長でもある父と兄に勧めました。」
王都から半日という立地もあり若い者はどんどん王都に出て行き過疎化が進んでいるらしい。
どの世界も都会に若い人は行きたがるのは同じなんだね。
働き場所を作ることで村の若者の流出を減らしたいミンツェ村は『ミント工房』の申し出は願ってもない物だったと教えてくれる。
カイルさんが『ミント工房』に案内してくれる。
「ようこそおいで下さいました。旦那様、奥様。カイルの父のハッカでございます。」
ちょっと!カイルさんのお父さんの名前…ハッカさんなの?!
ミント村のハッカさん?!
だめ…ちょっと……
笑っちゃだめだと思えば思うほど面白くなる。
「リマ様?どうなさいました?」
マリィが心配そうに覗き込んで来た。
「いえ…だ、だいじょうぶ…です。」
深呼吸をして落ち着け、落ち着け…私…。
「お嬢様、馬車酔いではありませんか?」
「…本当にだいじょうぶです…。
」
心配そうにカイルさんが聞いてくれるけど、貴方のお父さんの名前が面白くて笑いを堪えているだけです!とは言えない…。
カイルさんが心配顔のままだが、お母さんに休んでる?と聞かれ大丈夫と言ったら案内を再開してくれた…。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「『ミント工房』が無事に稼働出来そうで安心しました。」
「旦那様、奥様、お任せ下さい!…しかし、ミントがこんなに役立つ物になるなんて思いもしませんでした…。ミンツェ村では毎年やっかい草として手を焼いていましたので…。」
「そうなの?!」
思わず大きな声を出してしまった私にハッカさんが微笑んで答えてくれる。
「そうなのですよ…。やっかい草、いえ、ミントは抜いても繁殖が早く、他の作物の畑に入ったり…大変だったのです。」
「どんどん増えますよね!ミントスプレーの他にも使い道がいっぱいあるのでミントの商品がふえるといいですね!」
「「えっ?!」」
「え?!」
ハッカさんとカイルさんが親子で驚く!
それに私も驚く!
「どういうことですか?リマお嬢様?」
カイルさんが驚きから質問をする。
あれ?私、お父さんとお母さんに言ってたよね…?と2人にチラリと視線を送ると2人ともすぅっと視線を外した…!
……忘れてたね…
「まだミントで作れるものがあるんですか?」
ハッカさんも私を見つめている。
ハッカさんは大柄なクマさんみたいで、カイルさんと似ていないのに、こうやって2人に見つめられると目がそっくりで親子だなぁと思った。
本日も読んで頂き、ありがとうございました!
抹茶味のきびだんごを貰いました。
桃太郎が抹茶味のきびだんごを持って鬼ヶ島に遊びに行き、鬼たちが食べると『結構なお点前で』と言われ、みんなで仲良く ほっと一息ついた。
まったり、まったり。
という内容の物語がリーフレットに書いてありとても和みました◎
今日も一日お疲れ様でした。















