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29.おしろい花の約束

こんばんは。

もう少し先に進む予定だったんですが難しいですね。


買い物をしていたはずなのに気付いたら違う場所に寝ていた。


また違う世界?

いやいや、馬車から自分のベッドに移動したみたい。


馬車にガタガタと揺られるのと電車でガタンガタンと揺られるのって似ているなぁと思っていたら馬車ですっかり眠ってしまったらしい。


買ってもらった鉛筆と消しゴムを離さないままでしたよとマリィに笑顔で言われた。

小春の幼い時も好きなおもちゃと一緒に寝ていたとよく言われたな…19歳だと思うと恥ずかしいけど、嬉しくて手に持っていたから仕方ない。



「リマが来るの楽しみにしてたのに…。」

お父さんの職場見学も予定していたのでとっても残念そうに言われてしまう。


「…ごめんなさい。また行ってもいいかな?」


「勿論!今度はお父さんと一緒に行こうな!」


「うん!」

我が家(エディンリーフ家)のお店も興味があるから今度は絶対行きたいな。




「リマ、もうすぐ誕生日だね。欲しいものは何かある?」


リマの誕生日は8月だ。

この世界の季節は小春のいた世界とほぼ同じだ。

季節は春・夏・秋・冬。

細かい日数は違うかもしれないが1年は12ヶ月。

分かりやすくて助かるね。


今は7月中旬。

あと少しで8月。誕生日までもうすぐ!

欲しい物は決まっている!


「新しい 植 物 図 鑑 プランツェ・ボタニーク!!」


「あのね、今ある薄いやつじゃなくてもっと色々な植物(プランツェ)や魔木が載ってるのが欲しいの。」


お父さんもお母さんもリマらしいと笑って「いいよ」と言ってくれた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


お庭におしろい花の季節がやって来た。


るんるーんと口ずさみながら夕方から咲くおしろい花の濃いピンクと紫の(つぼみ)をぷつっぷつっといくつも摘んでいく。

両手でいっぱいの蕾を用意していたガラスのコップに色や個数を変えて入れていく。

そこに魔力の泉の水を半分くらい注いで蕾をもみもみする。


「きれいに出来た!」


楽しい!!

色水あそびって楽しい!

小春(前世)の小さな頃から大好きな遊びだ。

小春の時はビニール袋に蕾と水を入れて振って作っていたなぁ。


ピンクの蕾を少なくして薄いピンク色、沢山入れて濃い赤、ピンクに少しの紫を混ぜて淡い紫色…色々なグラデーションが出来て眺めているだけで楽しくなる。


「きれいな色だね!」

「ラルク、おはよう!」

「うん。リマもおはよう。今日は何してるの?」


「おしろい花で色水を作ってるよ!きれいでしょ?」


「とってもきれいだね。」


「ラルクも一緒にやろう?」

ラルクと一緒におしろい花を摘んで色水を作る。

ラルクの紫の蕾を沢山入れて濃い紫色が出来て葡萄(ぶどう)ジュースみたいだねとか私の濃い赤色は苺ジュースだねと言い合いながらどんどん作る。


「たっくさん出来たね!」

座っている場所に色々な色のコップがずらっと並んだ。

全部にジュースの名前がついていて桃ジュースやさくらんぼジュースなんかは可愛いけど、どす黒い色は魔女の呪いジュースみたいな物騒な名前もある。


「楽しかったね!」

「そうだね。楽しかったね!」

ラルクと達成感に溢れた顔で頷きあう。

色水あそびは楽しい!


「喉乾いたね!」

「本当だね。ジュースを作ってばかりで何も飲んでいなかったね?」


夢中で作っていたことに今更気付いてラルクと笑い合う。

おしろい花から木苺畑に移動して今度は甘酸っぱい木苺狩りを楽しむことにした。


魔力の泉の影響なのか木苺畑はいくら摘んでもいつも実が沢山実っていて食べ放題。

私は目移りするので動き回って色々な種類を食べるが、ラルクはブラックベリーが好みのようでブラックベリーの苗の近くにいる。

ひと通り食べて喉も潤ったのでラルクの横でブラックベリーを摘みつつ食べる。


「この前ね、勉強するから鉛筆と消しゴムを買ってもらったの!」

「いいね。どんなの買ったの?」

「若葉色の鉛筆で上に葉っぱの絵が描いてあるのとお花が描いてある消しゴムだよ!」



えへへ、かわいいでしょ? とラルクに言う。


「リマらしいね。いいね」

「ありがとう! ラルクはどんなの使ってるの?」

「僕がつかっている鉛筆も消しゴムも青色で王冠が描いてあるよ」

「ラルクに似合ってて、いいね。見てみたい!」



想像したらラルクにぴったりだね。



「じゃあ今度持って来るよ。リマのも見せて?」

「もちろんいいよ!ラルクの鉛筆は箱で買ってるの?」

「うん。そうだよ」

「じゃあ……1本交換しない?」



若葉色や葉っぱが女の子みたいで嫌なら無理しなくていいよと慌てて付け足して…ね。



「いいね、交換! じゃあ今度リマのと1本交換しようね。約束だよ?」

「ありがとう!!」



はいっと右手の小指を出してラルクに向ける。

約束の指切りしなくちゃね。ラルクが不思議な顔をしている。



「……?」



 この世界に『指切りげんまん』がないんだった……



「ラルクの小指もだして?」

「…いいよ。」



ラルクの小指に自分の小指を絡める。



「『約束のしょうこ』だよ。」



 これで約束したからねって言って指を離した。

 ラルクが初めての『約束げんまん』に驚いたみたいで目がまん丸になっていた。珍しいね。

 ラルクと鉛筆交換するのが楽しみだな!

本日も読んで頂き、ありがとうございました!


今日とうもろこしを茹でました。

茹でたお湯をザバァーっと捨てる時に立ち昇る湯気が大好きです◎

勿論、茹でたてのとうもろこしは最高でした!


今日も一日お疲れ様でした。

安らぎの夜が訪れてますように。おやすみなさい。

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