26.土の魔法
どうしても暗い話に納得出来なくて変更しました。
お父さんとお母さんに新しい魔法を見せる為に檸檬の木にやって来た。
…こんなに近くに植えなくても良かったんじゃない?とラルクと私の檸檬の木の位置をぶつぶつ言うお父さんにお母さんは木なんだからいいでしょと肩をポンとたたく。
あんまり離れて植えると収穫が大変でしょ?とお父さんに言うと収穫のために近いなら仕方ないな!と元気になった。
ウソは言ってないからいいよね?
「さあリマ見せてみて?」
「うん。」
収穫したばかりなので実がならない可能性もあるが、檸檬の実がまたなったら嬉しいな。
「大きくなーれ。大きくなーれ。」
……ぱあぁぁ…私の両手が淡くミントグリーン色に光り、その光がゆっくり2本の檸檬の木を包み込む…
昨日と同じように檸檬の木に淡いピンクの蕾が付き、白い花が次々と咲き始めると爽やかな香りが漂い、小さな赤ちゃん檸檬の実が付くと次第に大きくなり、若い檸檬の実は目に鮮やかなレモン色の立派な檸檬の実になった。
「「…!!」」
『檸檬の実』が出来ました!
「わあ!魔法ってすごいんだね?昨日も実が出来たのにまた実が出来るなんてびっくり!」
「これは凄いな!」
「リマに土の魔法が使えるなんて驚いたわ。」
「これ土の魔法なの?」
「そうよ。緑色に光っていたでしょ?」
そう言えばラルクが『土は緑』って言っていたなぁ。
「ねえリマ、檸檬も実がなるならププリュも実が出来るんじゃないかしら?」
お母さんの目がキラキラとギラギラの間になったの分かった。
「…やってみる?」
「ええ、お願いね。」
キラキラとギラギラの間の目を輝かせてニッコリお母さんが微笑むと頷く以外の選択肢が思い出せない。
ププリュの木の前に立つ。
また実が成ったら今度は梅酒やカリカリ梅も作ってみたいなぁ。
「大きくなーれ。大きくなーれ。」
……ぱあぁぁ…私の両手が淡くミントグリーン色に光り、その光がゆっくりププリュの木を包み込む…
若緑の葉っぱだけのププリュの木に白い花が一斉に咲いて、ほのかに甘い香りが漂う。
花の後に産毛の光る赤ちゃんププリュの実が見え、どんどん大きくなりププリュの実が鈴なりに実る。
『ププリュの実』が出来ました!
「…できたね…!」
新しい魔法って凄いなぁ。
色々な植物を自由に育てることが出来るってことなのかな?
凄いけど、怖いね。
ちゃんと使わないと生態系に影響しちゃうんじゃないかな…?
「…にゃぁぁ…」
「…?スゥちゃん?」
「にゃあぁぁ…」
不愉快そうに鳴きながらスゥがこっちに歩いて来る。
珍しいな?と思い抱き上げると背中にいくつか見慣れたものがついている。
「あ!ひっつき虫だ!」
「みゃああ!」
取ってくれ!と副音声が聞こえるのでひっつき虫ことセンダングサを取ってあげると満足したのかゴロゴロ腕の中で寛ぎ始める。
手には3つのひっつき虫。
目の前には少し驚いたままのお父さん。
ふふ、格好の標的を発見。
私の飛距離でも届くようにほんの少し間合いを詰め、えいっとお父さんに投げる。
ピタっとくっつく。
うふふ。さらにえいっと投げるとピタっとくっついた。
最期のひとつも標的にえいっと投げるとパシっとお父さんがニヤリとした顔で捕獲した。
「リーマー!」
お父さんがピッと私にひっつき虫を投げ返し、私の洋服にひっつく。
自分についている2つも手早く取ると私に向かって投げようと追いかけてくる。
「きゃーー!」
「待てー!」
待てと言われて待つ人はいません!
「2人とも終わったら見せたいものあるから戻って来てね。」
お母さんの声が遠くに聞こえる…。
スゥに『ひっつき虫』の場所を尋ねるとするりと私から下りて走って行くのを追いかける。
スゥお気に入りのネコヤナギのもふもふ庭のちょっと奥に生えていたみたい。
きっといつもより奥に入って『ひっつき虫』がひっついたんだろうな。
手早く『ひっつき虫』を補充してお父さんを迎え撃つ。
えいっえいっ!
お父さん、パシッパシッと片手で捕獲する…
お父さん、大人気ない!!
私が投げた分も新しく手に入れた『ひっつき虫』もピッピッと投げて来るからくるりと背を向けて沢山のひっつき虫が付くのを受け入れる。
…
…?
あれ?ひっついてる感じしないなぁ。
お父さんやめてくれたのかな?と思い振り向くと、お母さんに睨まれてしょんぼりしたお父さんがいました!
「またリマに無理させて!この前、倒れたの忘れたの?」
「リマもよ?ヘリオスはすぐ夢中になるんだからダメでしょ。それに見せたい物があるって言ったでしょ?」
「「はい…。ごめんなさい…。」」
お父さんと一緒に怒られました。
スゥのためにちゃんと『ひっつき虫』の草を処分したよ。
本日も読んで頂き、ありがとうございました!
ひっつき虫を前に歩く子に投げてくっつけるのが好きでした。
後ろを歩く子に自分もつけられてるって展開がお約束でした。
今日もお疲れ様でした。
良い夢を。おやすみなさい。















