2.魔法体験
ドキドキ書いてます。
誰かこの状況を教えて下さい……! と願ったけれど、状況は何も変わらないまま。
「リマ……」
涙を浮かべた金髪碧眼の女性に手を握られている状態だけど……私はリマじゃなくて小春なんですよ! とてもそんな事は言えない雰囲気だし、いや、そもそも私は日本語以外は話せない……!
どうしようかな? と視線を握られていない手に向けて見ると、とても小さな手が目に入った……?
どう見ても小春の手ではないよね……?
どういう事だろう……?
首を捻った途端……顔を顰める様な痛みが走り、思わず声を上げる。
「痛いっ……!」
目の前の金髪碧眼の女性が、手を強く握る。
「リマ、大丈夫……? ヘリオスが治癒術師を呼びに行っているわ。もう少し我慢してね」
聞いた事がない言葉なのに、理解することも話すことも出来た……! 驚いたのと同時に、リマと呼ばれる子の記憶が頭の中に、一気に流れ込んで来た!
この子の名前は、リマと呼ばれているが、本名はリマニーナ・エディンリーフ。5歳の女の子。目の前にいる金髪碧眼の美人な女性が、私のお母さん。
「お母さん……?」
思わずお母さんに声を掛けると、「目が覚めて本当に良かったわ……」と涙を拭きながら微笑んでくれる。「リマ、お水を飲む?」と聞かれ、喉がカラカラに乾いているのに気付き、こくんと頷いた。
お母さんがテーブルの上に置かれた白陶器の水差しからグラスに水を注ぐと、そっと手渡してくれた。「ありがとう……」と少し掠れた声でお礼を言い、こくこくと飲み干した。喉が乾いていたので、すごく美味しく感じる……!
「どうして、たおれたの……?」
「今日はリマの調子が良さそうだから、ヘリオスと庭で散歩していたのよ。散歩中に庭の木の近くで、ふらりと倒れてしまったの……! 頭はその時にぶつけたんだと思うわ……」
お母さんの話しを聞いて、確かに今日は、清々しいくらいの青空が広がり、日差しを受けて風にそよぐ若葉は光るような気持ちのいい日だったなと思い出す。
お父さんと少し追いかけっこをしていたら、急に目の前が真っ暗になったんだ……!
ドタドタと走るような音がしたと思ったら、急に扉がバンッと勢いよく開かれた!
「……リマ! 治癒術師を連れて来たからもう大丈夫!」
真っ赤な髪に、真っ赤な瞳の男の人が勢いよく目の前に現れた! この人がお父さん……だよね?
「……お父さん?」
「俺の可愛いリマ! 目を覚まして、本当に良かった!」
寝ている子供に急に抱き着くのはやめて……! 潰れる……!
「ヘリオスやめて! リマが潰れてしまうわ」
「病人になんて事を……! 止めるんじゃ!」
お母さんと白髭のおじいさんが、私を助けてくれました。ありがとうございます!
「あ、ああ……! 嬉しくて……リマ、大丈夫だったかい?」
お父さんが力を緩めたので、こくこくと頷いた。お父さんにびっくりしたよ!
お父さんが白髭のおじいさんに、「目を覚ましたようですが、治療をお願いします」と頭を下げた。私も「お願いします……」と同じように頭を下げると、白髭のおじいさんが「目が覚めたなら、ひとまず安心じゃな。どれどれ……少し触らせてもらおうかの」と頷いた。
白髭の先生は、痛みを感じた頭を中心に、首やお腹なども触っていった。「 治 療 」と唱えると、白髭の先生の手から淡い黄緑色の光が溢れた………! 淡い光は、宝石のペリドットみたい……!
白髭先生の手から溢れた煌めく光が私の体を包む……光に包まれると、とても暖かくて、まるで日向ぼっこをしている様な安心感があった……
「これで大丈夫そうじゃな。痛いところはないかな?」
痛みを感じた頭に触れたり、首を捻ってみたが、どこも痛くなかった……!
え……?
ええっ……!
頭の痛みが綺麗さっぱり消えていた……!
「……いたくないです」
「効いたみたいで良かったよ? 今日ゆっくり休めば大丈夫じゃろう。お大事にな」
「ありがとうございます……」
白髭先生が帰り、お母さんから「リマはもう休みなさい」と優しく言われ、ぽんぽんと優しく寝かし付けをされる……小春は子供じゃないんだけどな? と思っていたが、夢なら早く覚めて……と願いながら、あっという間に眠りに落ちた——
ちょっと変更しました。