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18.白猫の案内

魔法の世界感を出していきたいなと思っています。




『精霊の虫』ことマジー(魔力)コクシネル(てんとう虫)に害虫を食べて貰った後は新たな害虫や水分不足に気を付けて過ごした。


「元気になってきたね」


ププリュも続々と若芽を出し、むわぁとする青草さが匂い立つくらい元気を取り戻しているのを見て言葉が漏れる。


ラルクは忙しいようで数日顔を見ていないが、毎日来ているのが不思議なくらいだもん。少し寂しいが気にしていない…つもり…。


「今日もお庭を観察しよう」

この数日は『 植 物 図 鑑 プランツェ・ボタニーク』を見ながら庭の草花を観察するのが日課になっている。

小春(前世)の世界と全く同じ草花も多いが、全く知らない草花もある。それに季節を無視した草花が多くて面白い。


こちらの紫陽花あじさいは梅雨ではなく雨が降ると咲く。

昨日の雨で一斉に咲き始め紅紫色、赤紫、薄花、紺碧色と様々な色花が満開になる様は幻想的だった。


庭の少し奥に黒松の木を見つけたら秋や冬でもないが松ぼっくりが落ちていた。

拾った松ぼっくりを水に入れ、少し笠が閉じてきたら庭の可憐な草花を松ぼっくりにさして「松ぼっくり生け花」を作り、お父さんにプレゼントしたら涙目で喜ばれた。


「あ!ネコヤナギ!」

ネコヤナギは、春になるとピーナッツの薄皮みたいな蕾から白くてもふもふの花穂が顔を出す。猫のしっぽのようで愛らしくて…これはもふもふ狩りをしなくちゃよね。


「マリィ、手が入る大きさの箱はないかな?」

「…お持ちしますね」


マリィにお願いしている間にせっせと花穂を摘む。

猫の毛を連想させる花穂は触るともふもふ ほわほわしていて、手のひらいっぱいにその感触を楽しんでみたり、顔を近づけて頬に当てたりする…もふもふ ほわほわ もふもふ ほわほわ…はぁ…大好き…。




「…リマさま?」


…!

見られたね…完全にもふほわの世界に入っていたから恥ずかしいよね…。

えへへ…と誤魔化し笑いをしながら箱を受け取り先程集めたもふほわのネコヤナギの花穂を入れてマリィに差し出す。


「マリィ、手を入れてみてくれない?」


恐る恐るマリィが箱の中に手を入れてくれる…


「…!…これは癒されますね…」


マリィがネコヤナギの気持ち良さにうっとりしているのを見て私はもふほわの『もふり箱』に満足する。


「うん!そうなの!もふもふ ほわほわなの。ずっと手を入れていたくなるよね。」


小春(前世)の時も遊んだ。「お風呂で入りたい」って言う友達もいたくらい もふもふ ほわほわ は気持ちいいのだ。



…あれ?

ププリュの近くになにかいる…?


「マリィ、ププリュになにかいるみたい」

マリィに告げるとププリュに向かうがププリュになにもいない…。気のせいだったかな…?


…ガサ…


やっぱりなにかいる…。


…ガサガサ…


音のなる方に目を凝らすと白猫がいた!


「猫ですね!…珍しいです」


「…みゃあ」

白猫が鳴くのが気になり驚かさないようにゆっくりついていく。見失いそうになると「みゃあ」と鳴くので白猫との距離を縮めついて行く。


「みゃあぁぁ!」

目的地に着いたと言わんばかりに満足げにひと鳴きした白猫は私の足元でじゃれつく。


「「……えっ!」」


私とマリィは同時に驚いた!

いつもの庭に水が湧き出ておりエメラルドブルーの小さな池になっていた…。


「えっと…昨日まではなかったよね…?」

「ええ…なかったはずです」


湧き水…?なんで…?

「お父さんとお母さんにおしえたほうがいいわよね?」

「そうでございますね…」


よく分からないけど、家に湧き水が溢れたら大変だから急いで知らせに家に向かおうとすると急に白猫がマリィに向かって飛んだ!

「きゃあ!」

「マリィ…!」

白猫の突然の行動に驚いていると白猫がマリィが持っていたラルクとお揃いのトートバックからジョーロを咥えて私に持って来る。

「…え?」

…?

要領を得ない私に呆れたように白猫はジョーロを湧き水の池に咥えて行き「みゃお!」と鳴いた。

「この水を汲めってこと?」

「みゃおーん!」

当たりだよ!というように喉をぐるぐる鳴らして私の足元に頭を擦り付ける。


あ、でもこのジョーロって家の水と繋がっているんじゃなかったかな…?大丈夫なのかな…?

「ジョーロの中の魔道具を外せば大丈夫です」

「…!…マリィ、ありがとう」

なにも話していないのに返事するって…マリィ、エスパーなの?


マリィに魔道具を外してもらい湧き水の池の水をジョーロに入れる。ジョーロに入れてもエメラルドブルーはそのままで宝石が溶けているみたいに輝いている。


「みゃあ!」

ジョーロに湧き水を入れたのを見た白猫は来た道を引き返して行くので、ジョーロの水を零さないようについていく。

「みゃお!」

白猫が止まったのはププリュの木の下。

「ププリュにお水をあげるの?」

「みゃおん!」

ぐるぐる喉を鳴らして私の足元に頭を擦り付ける白猫を見て、ププリュの根元にそっと湧き水をかけた。



「「………!」」


湧き水をかけたププリュの木がぽわぁと透明なミントグリーン色に輝く…輝いたのは一瞬で直ぐにすぅと光はププリュの木に溶けていく…。


「はぁ…びっくりしたわね…!」


白猫はぐるぐるごろごろ喉を鳴らしてまだ足元にすり寄っている。

「きみはどこからきたの?」

少し痩せ気味の背中をなでなでしながら尋ねる。

しっぽの先がほんの少し曲がった鍵しっぽで、しっぽ先が胡桃(くるみ)色みたいな茶色…


「うちにくる?」


「みゃおーん!」

もちろん!という副音声も聞こえた気がした…!




ネコヤナギのもふもふ気持ちいいのです。

春におすすめ!


今日も読んでいただきありがとうございます!

励まされています◎

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ヘッダ
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ヘッダ
 

― 新着の感想 ―
[一言] 小春ちゃんの自然大好きっぷりが可愛らしいです。 アブラムシに悲鳴をあげるマリィの方が普通ですもの。虫さんにも興味津々な小春ちゃんを、すべて受け止めるラルク、男前ですね。(てんとう虫を用意した…
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