17.魔力の分類
精霊の虫のはなしは今日で終わりです。
魔力の分類のはなしも出て来ます。
今日もよろしくお願いします。
精霊の虫を見送った後、くるりとマタルさんに振り向くと同時に
「『精霊の虫』についておしえてください!!」
「ラルク様がお詳しいのでラルク様から聞いて下さいね。」何故だかマタルさんにくすくす微笑まれる。
「ラルク詳しいの?!すごいね!『精霊の虫』についておしえて!!」
「くす…昨日マタルにきいたから知っているだけだよ。なにを知りたいの?」
「なんで色がちがうのか?と、もようのちがいでしょ?あと何を食べているかとか育てかたとか…もう色々知りたいの!!」
「リマ、ちょっとおちついて?ぼくが分かることを教えて分からないことはマタルにきこうね?」
「うん!おねがいします!!」
そうだなぁと考えるようにラルクが教えてくれた『精霊の虫』について。
《マジー・コクシネル》
—『精霊の虫』と呼ばれるとても貴重な虫
—餌は魔力そのものや魔力を含むものを食べる。
—色は『精霊の虫』の魔力属性によって決まるが属性は食べたもので決まる。
—色が濃いものが魔力が強く、薄くなるにつれ魔力が弱くなる。
—模様は年齢を表しており、水玉が崩れてるものは若く、水玉の数が増えるに従って年を取っている。
「…魔力属性…?」聞きなれない言葉に反応したのをラルクが補足をしてくれる。
「魔法はね魔力属性がないと使えないんだ。魔力は『火・水・風・土』の4つの属性に分類されていて、それぞれに色があるんだよ。『火は赤』『水は青』『風は黄』『土は緑』だよ。」ここまで大丈夫?と言うように微笑むラルク。
「…ああ!マタルさんの 疾 風 ・ の 刃 はシトリンみたいな黄色で、 翡 翠 雨は海のような青色に光っていたよね!」
少し目が見開き驚いた顔を一瞬で引っ込めたマタルさんが軽く頷くのを見てラルクは続ける。
「精霊の虫は、色のある魔力を食べるからそれぞれちがう色なんだよ。」
「火の魔力をたくさん食べると赤になって、紫なのは火と水の魔力を食べたからってこと?」
「うん。…よくできました。」
よしよしと頭を撫でて最後の言葉は耳元で囁いたから一瞬で茹でたこだ。
ラルクは急に距離を縮めてくるから心臓に悪い…//
…ということは、
赤い薔薇色、濃い深紅色は『火』
たんぽぽのような蒲公英色は『風』
薄い紫の薄紅藤色は『火と水』
オレンジの蜜柑色は『火と風』
…あれ?緑色はいなかったよね?
「…土の属性はいないの?」
「土の属性はとても珍しいんだよ。」
なるほど。土の属性持ちは少ないのかぁ。
魔法について初めて詳しく聞いたなぁ。
大きくなればマタルさんみたいな魔法使いになれると思っていたのに…魔力属性がないと魔法が使えないなんて…リマに何か魔力属性があるといいなぁ。
ひと通り『精霊の虫』について質疑応答が終わると今度はププリュ、いや、精霊の虫のことが気になり、ソワソワして落ち着かない…。
「くす。リマ?ププリュの精霊の虫が見たいの?」
「…!なんで分かるの?!」
「リマの顔にかいてあるよ?」
「え?…そうなの…?」
そんなに分かりやすいかな?恥ずかしくなって両手で頬を抑え込むがラルクに両手を掴まれて顔から手が外される…
「//…ラルク?」
ん?と首を傾けて覗いてくるラルクは右手を離し頬をするりと撫で、左手を繋ぎ直しププリュへと向かう…
…//ほんの数十歩の距離なのに心臓がうるさく響く。
ププリュの根元にエスコートされた私の耳に「ぼくが大きくなったらリマを誰にも抱っこさせないからね。」と囁いてマタルさんに抱き上げることを指示する。
…もしかして…ヤキモチ?!//
真っ赤な顔のままマタルさんに抱き上げもらいププリュに飛んで行った精霊の虫を確認する。
「わぁ!すごい!」
思っていた様子と全然違っていた!
マジー・コクシネルの食べ方が個性的だった!
薔薇色と深紅色の匹は仲良しらしく座ってパンをあむっと食べるようにマジー・バトラスを1匹ずつあむあむと食べているし、薄紅藤色の匹はストローでジュースを飲んでいるみたいにまとめて集めてちゅーと吸っている。
蒲公英色と蜜柑色の匹は焼き鳥みたいに細い小枝に刺して蜜柑の匹が焼いて2匹で食べている。
「すごい!みんなどんどん食べてます!人みたいですね?」
「昨日の夜ごはんを少なめにしていますからみんなお腹が空いていたんでしょう。『精霊の虫』は魔力を与える者に影響されるので、食べ方や性格も似てくると言われております。」
「そうなんだぁ…かわいいなぁ。わたしもかってみたいなぁ。」
「…ふふふ。リマ様、『精霊の虫』はかわいいですが餌の魔力を与えなくてはいけませんよ?まだ小さなリマ様には難しいかと。」
「そうですよね!あんまりかわいいので言っちゃいました。」
可愛いので飼いたくなったのは本当だが魔力の餌を私はあげることが出来ないし、精霊の虫がてんとう虫と同じなら幼虫を見たらマリィが卒倒しそうだから飼うのは難しいね。
マタルさんにお礼を言って下ろしてもらいラルクにププリュの枝の『精霊の虫』のお食事会の様子を興奮して伝える。
「うん。よかったね?ふふ。」
ラルクはニコニコ笑って聞いてくれる。
「戻って来ました。」
マタルさんが虫籠の蓋を開けて『精霊の虫』を中に戻す。少し覗き込むようにして何かを確認する。
「ププリュのマジー・バトラスは全て食べ終わったそうです。」
「ほんと?!すごい!ありがとう、精霊の虫さん!!」
虫籠に近づいて声をかけるとみんながこちらを振り向き頷いたように見えた…!?
「言葉がわかるの?!」
「精霊の虫は賢いですからこちらの言葉を理解しています。精霊の虫の言葉を理解出来るものは少ないですが。」
言葉も通じるなんて凄いてんとう虫だね!
「リマ、よかったね。」
「うん!ラルクもマタルさんもありがとう!」
今日も読んで頂きありがとうございます!