132.王子の甘い熱
結婚の儀を無事に終えた。湯浴みを行い、寝間着を羽織らせて貰うと寝所に向かう準備は整った……!まだリマは湯浴みの最中だろうか……? 今日の結婚の儀のリマを思い出す……純白の花嫁衣装に身を包んだリマは光の女神の様で、誰の目にも触れさせたくなくて、連れ去ってしまいたくなった。
春の精霊と冬の精霊に祝福を受けたリマと結婚を認められ、口付けを重ねたのは、間違いなく僕の人生で最高に幸せな瞬間だったと思う。……ああ、でも、今から行うことは其れを遥かに超える幸せだと確信している。今日、今から、リマと……熱が高まるのを感じる…………
…………
…………
いつも起こる筈の刺激が起こらず、後ろを振り向くと、涼しい顔のマタルと目が合った。
「熱がないのも困るかと思いまして」
今日もマタルには敵わない……「……いつものを頼む」苦々しく告げると、涼しい顔で畏まりましたと言うや否や、
「 氷 水 」
あっと思う間もなく、凍えそうな冷水が大量に頭から浴びせられた……心の準備をさせて欲しかったと睨むも、涼しい顔のまま、マタルは魔法を操り、赤い光で僕を包み込み、全てを乾かした……
「リマ様が寝所でお待ちです」
今日もマタルには敵わない……
寝所に入ると、リマが窓を開けて佇んでいた。少し透ける寝間着に身を包んだリマの白い肌に思わず目が釘付けになる……リマが窓の外に微笑むのが見え、「リマ、体が冷えるよ?」その微笑みを自分に向けて欲しくて、思わず声が出た。
リマは僕が部屋に居ることに気付いていなかった様で、すごく慌てて驚いていた。「何か見えるの?」真っ赤な顔が可愛くて、リマの後ろに回り、抱きしめる様に窓の外を見るとリマが耳まで真っ赤になりながら振り向く。僕の寝間着の袖をきゅっと掴み、潤んだ瞳で僕を見上げると、
「……月が綺麗ですね?」
…………!
リマ、月が綺麗ですねの意味が、愛していますだって知ってる? ああ、もう無自覚に煽らないでね……? 今すぐ襲っちゃうよ? 「星も綺麗ですよ」と、あなたは私の想いを知らないでしょうね……少し真面目に返すと、リマはきょとんとした顔になり、くるりと窓に向き直り、「本当だね」と嬉しそうな声で窓の外を見る。うん、今度ゆっくり教えてあげることにしよう。うん、今度そうしよう。
リマをくるりと回し「左手を出して」と耳元で囁くと、可愛くこてんと小首を傾げながら、白くて小さな左手を僕に差し出してくれる。指輪をするりと抜き取ると、眉毛を下げて哀しそうな顔をするリマに口付けを落としたくなるのを、ぐっと我慢して、リーフを繋げた新しい指輪をその細い指にはめ、僕の瞳の色の指輪をはめ直す。リマの誕生日に贈った指輪と合わせて使える様に、王都で人気のデザイナーと相談したものだ。喜んで貰えるかな……?
「すごく素敵……!」
リマの頬が桃色に染まり、花の咲いたような笑顔を見せてくれる。嬉しそうなリマが指輪をした左手を上げて、月明かりに煌めかせて、くるりと回る。ああ、僕のお嫁さんは本当にかわいいな。かわいいリマをこれ以上、月に見せない様に引き離し、リマを寝台の上に座らせる。「僕には、付けてくれないの?」もうひとつ指輪の入った箱を見せながらリマに尋ねると
「お揃いの指輪なの……?」
驚き固まったリマに、「結婚したら同じ指輪を左手の薬指にするのに、憧れているんでしょう?」と優しく頭を撫でると、リマが大きな瞳を潤ませて頷く……「リマの言ったことを忘れる訳ないでしょう?」とリマの涙を吸い取るように優しく口付けを落とすと、桃色の頬が真っ赤に変わった。「ほら、早くつけて?」リマに優しくお強請りすると、少し震えるリマの細い指がお揃いの指輪をはめてくれた。
リマの細い指を絡めるように繋ぐと、指先が少し冷たい。リマは緊張したり、不安があると、指先が冷たくなる。リマの瞼、額、頬……軽い口付けを顔中に落としていると、ふふっと擽ったそうに身をよじる。瞳を見つめると、甘くふわりと微笑み、睫毛を震わせ瞳を閉じた…………リマ、大事にするから、優しくするから、どうか怖がらないで…………
リマに何度も何度も口付けを落とすと、リマの口から愛らしい甘える声が漏れ始める。片手でリマの髪紐を解くと、髪が広がる微かな音さえも甘く耳に響く。柔らかく解けた髪と甘い花の香りに誘われる……寝台に横たわるリマの白い肌が羞恥で桃色から真っ赤に変わる。潤んだ瞳のリマは、僕を煽る以外の何物でもなく……
リマが何度も甘く僕の名前を呼ぶ。それがかわいくて「リマかわいい」と何度も伝える。シーツをぎゅっと掴む手さえも僕に向けて欲しくて、口付けを落とし、僕の首に回すように誘導する。リマの細い首にある愛らしいホクロに口付けを落とすと、リマの甘い花の香りが強まり、リマと触れ合う気持ち良さに、熱が高まる…………
顔を見つめると、とろんと蕩けきったリマが愛おしく、また誘われる様に口付けを交わしていく。リマの細くてか弱い腕が、僕を一生懸命抱き締めるのが愛おしくて、強く抱き締める。僕の腕の中にいることが嬉しくて仕方ない。
リマの柔らかな甘さ、包まれるあたたかさを感じる…………この気持ちをどう伝えたら伝わる……? ゆっくりと愛おしく口付けを重ねた後に、
「リマ、愛している」
僕の気持ちが全部伝わるといいのに……
リマの瞳から涙がひと筋伝い、ふわりと花の咲いたように笑う……
「ラルク、愛してる……」
リマの柔らかさとあたたかさ、そしてとびきりの甘さに僕は溶けるように溺れていった——
本日も読んで頂き、ありがとうございました!
誤字脱字報告ありがとうございます◎
そして、そして、PV数が今までに見た事がないことになっていて、カウンターが壊れたのかな?と思ってしまいました……!
あれあれ?もしかしてとランキングを見てみたら恋愛日間ランキング12位になっていて、驚き過ぎて、スマホの画面をスクショしました*\(^o^)/*
すごくすごく嬉しいです♫
あと少し、番外編を書く予定なので、お付き合い頂けたらとっても嬉しいです。
今日のラルク視点のお話しでは、翌日までを書こうと思っていたのですが、切りが良い気がしたので、リマ視点と同じところにしました。
今日も頑張って行きましょう(*^^*)















