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小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
17歳は4年生のはじまり

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126.やり直しの花束



「ねこしゃんから、りすしゃんのおみせになったの?」

「そうだよ。リスさんのお店になったけど、また遊びに来てくれるかな?」

「いいよ。ぼくね、りまおねえしゃんも、りすしゃんもすきだよ」



 少し体の弱いルーク君は、回復薬(ポーション)が苦手で飲めなかったけど、(スゥ)回復薬(ポーション)は嫌がらずに飲んでいたみたい。(スゥ)印が無くなると聞いたルーク君が(スゥ)印じゃなきゃ嫌だと、ルーク君が泣いて仕方なかったので、「小春の小庭フリューリンクガーデン」を見に来てくれたらしい。


 ルーク君がぎゅうと抱き着いて来たので、そのまま抱っこしてあげると、「りまおねえしゃん、だいすき」だって……か、かわいい……! ルーク君に小さな子におまけとして渡しているどんぐりクッキーをひとつ手渡すと、「どんぐりだー」と喜んで、ぱくりと食べ始める。



「リマ、相変わらずだな……」

「チェダ……! ゴーダさん、いらっしゃいませ。あれ?エイミは……?」

「開店おめでとう。ああ、エイミは楽しみにし過ぎて熱出した」

「リマ様、魔道具は如何ですか?」

「エイミ大丈夫……? 魔道具ありがとうございます。とっても使いやすいです」



 ゴーダさんの魔道具店に「小春の小庭フリューリンクガーデン」で使う魔道具をお願いして、私の魔法で出来ない作業を簡単にする魔道具の製作を依頼していた。おかげで1人で作業しても、回復薬(ポーション)を簡単に作ることや飴をかわいいどんぐり型に仕上げる事が出来るのだ……!


 ゴーダさんがカイルと話し出し、チェダにエイミの様子を聞くと、「ただの知恵熱だから心配するな」と笑い、「リマの新しい回復薬(ポーション)を買って来いって言われてるんだ」と、手に(ピーチ)サイダー回復薬(ポーション)を持ちながら、やれやれと首を振った。「チェダ、これエイミが来たら渡そうと思っていたの」と桃味のどんぐり飴の入った小瓶を取り出すと、「これもどんぐりだー」「ルークもう帰るわよ」抱っこしたルーク君とママの声が同時だった。


 まだ帰らないとイヤイヤするルーク君の小さな手のひらに、桃色のどんぐりを2つ渡すと、「どんぐりしゃんだ」とふにゃりと笑った。「ママと一緒に食べてね?」ルーク君が嬉しそうにママに抱き着き、どんぐり飴を見せていた。ルーク君がたったと駆け戻り、がばっと抱き着き、「りまおねえしゃん、ありがとおなの」「どういたしまして」と頭をぽんぽんと撫でてあげると、ルーク君がチェダを見上げ、「このおにいしゃんが、りまおねえしゃんのこいびとなの……?」こてりと首を傾げて聞いて来た……!



「リマお姉さんの恋人は、僕だよ」



 優しい声が耳に落ちて来た……! ラルクがひょいと私に抱き着いていたルーク君を抱き上げると、何か話しながら、ルーク君をママの腕へと送り届けた。



「ラルク、子供に大人げないぞ……」

「弟はもう沢山なんだよ」

「そういうのを大人げないって言うんだよ」



 ……ルークが弟……? 小首を傾げ、チェダとラルクを交互に見比べると、チェダがやれやれと首を振った。ラルクは「何でもないよ」とくすりと笑い、手に持っていたミニ向日葵の花束を渡してくれた……



「リマ、開店おめでとう」



 ミニ向日葵を中心にふわりと優しい甘さの香るカモミール、儚げなかすみ草、丸い葉っぱがかわいいユーカリをざっくりと束ねた愛らしい花束だった……あれ? これって……?



「リマ印回復薬(ポーション)の時、直接渡せなかったから、やり直しさせてもらえる?」

「ふふっ……ありがとう」



 ハルトから渡された花束を、今日はラルクから受け取った。あの時、ほんの少し、ラルクからだったらよかったのに、と小さなトゲに気付いていてくれたみたいで……ほんのり、じわじわと暖かい気持ちが溢れる……花束を抱きしめたまま立っている私を見て、ラルクがくすりと笑い、髪を梳き撫で、黄金色の瞳で私を覗き込んだ…………



「ラルク、そういうの店の中で止めろって」


「……チェダ、息子ながら堅苦しいな? 若い婚約者同士の口付けくらい良いだろうに。だからアミーと進展が無いんじゃないのかい……? 早くしないと誰かに取られるぞ、少しくらいラルク様の積極性を学んだ方がいいと父さんは思うぞ……?」

「あ、あ、アミーは関係ないだろ? カイルさんと話しが終わったなら帰ろう……エイミも寝込んでいるし、ほら、早く……リマ、魔道具で困ったらいつでも言ってくれ」

「……う、うん。ありがとう……」



 ゴーダさんが、チェダと同じ仕草で、やれやれと首を振るのが見え、チェダがそんなゴーダさんを押し出すように帰って行った。「チェダが焦ったところ見たの、初めてかも……」私が呟きを聞いたラルクが、くすりと笑った。

 ラルクに蜜をためた黄金色の瞳で見つめられる……その手が優しく壊れものに触れるように、そっと頬に添えられた…………



「あー……、店を閉めてからでもいいか?」



 真っ赤になった私と、じと目で「カイル、わざとだろう……」呟くラルク…………「小春の小庭フリューリンクガーデン」は、本日開店を迎え、この日からラシャドル王国にとって無くてはならないお店へとなって行くのは、遠くない未来——

 

本日も読んで頂き、ありがとうございました!


回復薬編はこれで終わりです◎

あと、数話で完結して、番外編としていくつか載せたいなと思っています。

もしも、もしも、こんな話しが読んでみたいとリクエストを頂けたら全力で書きたいと思います(*^^*)


今日もお疲れ様でした。

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ヘッダ
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ヘッダ
 

― 新着の感想 ―
[良い点] ルークくん、可愛いですね! ちびっこが甘える姿は、微笑ましくて好きです♪ そして、そのルークくんに大人げない態度をとっているラルクくん!どれだけリマちゃんのこと好きなのー! いつも可愛い…
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