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小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
17歳は4年生のはじまり

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124.開店準備



「そろそろ商業ギルドに着くから、そのにやけた顔を戻しておいた方がいいぞ?」

「……頑張ってみるね……?」



 くっくっと楽しそうに揶揄(からか)って来るカイルにも、頬が緩んだまま答えてしまう……私の薬指には、ラルクの黄金色の瞳と同じ、イエローサファイアが幾つも並んで華奢なリングをぐるっと飾っているエタニティリングが煌めいている。ラルクの別邸でお昼寝から目覚めたら、薬指にはまっていたの……! 目に入る度に、ラルクに見つめられているみたいで、頬が緩んでしまう……



 表情を引き締める努力をしたものの、商業ギルドでピオーネさんに会った途端、「リマニーナ嬢、昨日は殿下に会えたみたいだね」とパチっとウィンクされてしまった……そんなに顔に出てるかな……? カイルに視線を向けると、「出てるな」とニヤリと笑われる。まあ、出てるよね……。



 以前も利用した2階の応接室に案内される。ピオーネさんが書類を机に広げ、契約の準備を進めて行く。

 私の前に広げられた3枚の紙に視線を落とせば、左から順に商人ギルド本登録証、出店登録、店舗売買契約書と書かれた紙だった。



「まず、仮登録から本登録の変更を先に行いましょう。この本登録証に署名と、リマニーナ嬢の商業ギルドの仮ギルドカードを提示して貰えるかな? それを本登録に変更しよう」

「はい、分かりました」



 羊皮紙に署名を行い、仮ギルドカードと一緒にピオーネさんへ手渡した。ピオーネさんが机の横に置いてあったベルを鳴らすと、女の人が部屋に入ってくる。ピオーネさんが署名した本登録商と私の仮ギルドカードを女の人が受け取ると、私達に会釈をして部屋から出て行った。



「本登録への変更をしている間に、出店登録も進めるよ」

「お願いします」

「先に提出して貰っていた出店登録の申請書類に不備は無かったから、これにも署名して貰えるかな?」

「はい、わかりました」



 一応、私もカイルが提出する前に出店登録の申請書類を見せて貰ったが、カイルがいなかったら書類関係でしばらくお店は出せなかったと思います……

 署名した書類をピオーネさんに手渡すと、先程の女の人が戻って来て、「本登録への変更が完了しました」とピカピカの商業ギルドカードを渡してくれた。



「じゃあ最後に、愛し子の家の契約を結んでしまおう」

「はい……!」



 販売価格に幾らか上乗せし、仮押さえの時から鍵を預かり、既に開店準備で何度も愛し子の家に出入りしている。今日は書類に署名をするだけなのだ。店舗売買契約書をピオーネさんに差し出され、カイルがさっと目を通し、「問題ないな」と私に手渡してくれたので、署名し、ピオーネさんに戻し、これで全ての契約が終了した——



 笑顔のピオーネさんに見送られ、私とカイルは看板屋さんへ移動した。すごくすごく楽しみにしていたの……!



「タルガ親方……!今から看板の取り付けお願い出来ますか?」

「おう!家の契約終わったのかい?」

「そうなんです!早くこの看板を付けたくて……!」

「そう言ってくれて嬉しいよ」



 この前カイルが連れて行ってくれた看板屋さんは、ヨーロッパの街並みで見かけるようなおしゃれで素敵な鉄製のタルガ看板専門店だった。

 木の看板など種類は様々あるのに……? と小首を傾げると、カイルから「お前(つるぺた)が、素敵だ、かわいいと褒めていたのは、全部タルガ親方が作った鉄製看板だぞ」と教えてくれた。私も気付いていなかったのに……! 尊敬の眼差しを向けると、「執事ですからね?」とくっくっと笑っていた。


 

「ここに取り付けたらいいかい?」

「はい……!」



 手早くタルガ親方が「小春の小庭フリューリンクガーデン」の幸運のどんぐりを持つリスと葉っぱの縁取りをした鉄製看板を取り付けてくれる。



 当初の予定では、リマ印回復薬(ポーション)と同じく猫のスゥにするつもりだったが、ラルクが「リスはどうかな?」「リスが大好きなんだ」と蕩ける笑顔で言ったのだ……そんなラルクを見たら、急に胸がもやもやして、何故か分からないけど、ラルクの洋服の裾をぎゅっと引っ張り、むぅと見つめていた。


 そんな様子を見た、タルガ親方が「ああ、こりゃあリスだな。リスに決まり」と依頼主の私を放ったらかしにして、ラルクと話し合い始め、あっという間に「小春の小庭フリューリンクガーデン」のリス看板の図案が決まったのだ……! すごく可愛くて、もやもやも吹き飛んでしまった私を見て、「リマかわいい」と頭を撫でられ、とろりと蜜をためた黄金色の瞳に見つめられる………


「あー……今度こそ後ろを向こうか?」


 真っ赤な顔で、カイルにぶんぶん首を横に振る私と、そんな私をくすりと笑うラルクを見て、「仲睦まじい噂は、噂以上だな……」とタルガ親方にも生温かい目で見られてしまったのは、恥ずかしい思い出だ。



「これでどうだい?」

「……とっても素敵です! ありがとうございました」

「また何かあったら声掛けてくれよ」





 無事に「小春の小庭フリューリンクガーデン」の鉄製看板も取り付けが終わり、開店準備が整いました——

本日も読んで頂き、ありがとうございました!


回復薬編ももうすぐ終わりかな◎

もう少しで完結出来そうな気がします。

まだ最後をどうするのか決めていないのですが……一緒に2人の恋を見届けて貰えたらとっても嬉しいです(*^_^*)


今日も頑張りましょう!

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