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小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
17歳は4年生のはじまり

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122/136

122.小春の小庭



 その小さな部屋は見覚えがあった……

 このアッシュフォード黒大理石みたいな床……エディンリーフ家の別荘で1度入ったことのある「魔法移転の間」にそっくりだなと思う。きっと、いや、絶対この部屋に入ると、魔法陣が金色に浮かび上がる……引き寄せられる様に中に入ろうとすると、



「リマ、念のため安全を確認してから、入るのがいいかな?」



 優しい声と腕が私の腰をぐいっと引き寄せ、あっという間にラルクの胸の中に収まっていた……! 声も出せない程の驚きに、ラルクを見上げると、くすりと笑われ、「早く公務が終わったんだ。リマが愛し子の家を見に来ていると聞いて、急いで来たんだよ」と腰に回していないもう片方の手で、頭をぽんぽんと撫でられる。

 その手が髪を梳き撫でながら頬に添えられ、甘やかな黄金色の瞳に見つめられる……



「あー……まだ物件を見学中だから続きは後でも……?」



 カイルの声に、カイルとピオーネさんが居ることを思い出す……羞恥で顔に熱が集まり、頬に手のひらを当て、熱を冷ましていると、「お2人が仲睦まじいと聞いておりましたが……」とピオーネさんに生暖かい目で見られてしまった。



「安全確認は必要だけど、魔法移転の為の部屋が付いているのは、便利そうだね」

「エディンリーフ家からは遠くありませんが、王宮の別邸から愛し子の家は少し距離がありますからね」

「そうだな。あとは何処を確認するんだ?」

「あとは、バルコニーが残っていますね」

「バルコニーがあるの……! 見てみたい」



 魔法移転の部屋に気を取られていたが、ラルクとカイルの会話から同じ部屋に大きなバルコニーがあったことに気付く。ラルクを引っ張る様にして、白い手すりのバルコニーに出ると、柔らかな風が頬を撫で、とても気持ちいい。バルコニーからお庭も見る事が出来るので、お庭を眺めながらお茶をするのもいいな……と顔を上げると、甘やかな黄金色の瞳と目が合った。

 


「カイルとピオーネは、下で少し打ち合わせするみたいだよ?」



 いつの間にかカイルとピオーネさんが居なくなっていた……! 勿論、2人は気を利かせて席を外したのだけど、リマは気付いていない。



「リマを補充してもいい?」



 こくんと頷く前に、甘やかな口付けが落とされる。何度も角度を変えて、大人の口付けを交わすと、自分で立っていることが難しくて、ラルクに縋るようになってしまう……

 最近のラルクは公務を任される事も増え、忙しくて会うことが出来ていなかったので、久しぶりに会えたことが嬉しくて、自分からなんて、はしたないと思うけど……もっともっと……と口付けをせがんでしまう。「リマかわいい」とくすりと笑われ、ちゅ……最後に優しく音を鳴らし、「今度、別邸でゆっくりしようね?」とラルクの口付けが離れていった……



 息が上がったのが落ち着き、ラルクに愛し子の家のお庭を見せると、「リマの庭より、小さくてかわいい庭だね」と頭をぽんぽんと撫でられる。その後、カイルとピオーネさんがいる部屋へ移動をすると、今後の打ち合わせをしていた。

 カイルと目が合うと、「思ったより早かったな?」ニヤリと笑われ、あっという間に顔に熱が戻ってしまった……ピオーネさんにも「久しぶりに会ったんだろう?」とパチっとウィンクされてしまった……恥ずかしくてラルクの後ろに隠れると、2人に笑われる。



 なんとか気持ちを切り替え、カイルとピオーネさんから今後の流れを聞いた。6歳の時に商業ギルドに仮登録したものを、誕生日後に本登録に変更する。本登録した後に、愛し子の家の契約と回復薬(ポーション)販売を行う契約を商業ギルドと交わすという流れらしい。

 


「あとはお店の名前だな」

「愛し子の家だから……」

回復薬(ポーション)の家じゃない名前がいいと思うぞ?」

「…………!」



 エスパーカイルに思い付いた名前を当てられて、どうしようかな……? と悩んで、ラルクを見上げると、「僕が決めてもいい?」と髪を梳き撫でながら聞かれ、こくんと頷くと……「そうだな……」と少し考え、



小春の小庭フリューリンクガーデンはどうかな……?」



 ………!

 


「ラルク……! 素敵な名前だね……ありがとう」



 嬉しくて思わずラルクに抱き着くと、ラルクが少し驚いた顔を見せた……黄金色の瞳を少し細め、私の頭をぽんぽんと撫でる。「ありがとう……」ともう一度、ラルクを見上げてお礼を言うと、ラルクの手が髪を梳き撫でながら頬に添えられた……蜂蜜のように甘やかな瞳に見つめられる……



「あー……後ろ向いた方がいいか? それとも看板の注文に向かってもいいか?」



「カイル、黙って後ろを向くものだろ?」

「カイル、看板のお店に行こう!」



 


 お店の名前が「小春の小庭フリューリンクガーデン」に決まり、真っ赤な顔の私は、看板のお店へ向かうことになった——

本日も読んで頂き、ありがとうございました!


少し短めですが、キリが良いかな?

糖度欲しくなりました……もっとイチャイチャした話しも入れたい……!


今日もお疲れさまでした。

穏やかな夜が訪れますように。お休みなさい。

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ヘッダ
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