表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
16歳は3年生のはじまり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

113/136

113.王子と花の精霊




「あー……可愛かった……」



リマの為に育てた向日葵の花の前でしゃがみ込み、膝に顔を埋める。今日のリマの反応を思い出すと、可愛すぎて、しゃがみ込まずにはいられない。勿論、こんな姿、別邸でしか出来ないが……




「あれはグッと来ちゃうよねー」



音も無く(・・・・)現れた花の精霊に、仕方がなく立ち上がる。



「覗き見とは、精霊なのに趣味が悪いな」

「えー、覗かれてるのに、見せつけるような情熱的な口付けする方が趣味わるいよー」



花の精霊が音も無く現れる様になったのは、向日葵の種を蒔く頃からだ。

女の子は、僕に会うのに心の準備が必要でしょ?だそうだ。



「王子さまって見られると興奮するタイプでしょー前のアプリコーゼの里も情熱的だったよねー」

「前のは、消毒だ」

「えーヒドーイ!」

「氷漬けにされなかっただけ有難いと思うけど?」



大袈裟にぶるりと震える花の精霊に溜飲を下げる。

悪いやつではないけど、リマにちょっかいを出すのは困るので釘をさすのは毎回忘れない。



「それよりー僕の言った通り、綺麗なひまわりだったでしょー」

「それは感謝している」



向日葵の種を蒔こうとしたら、この花はね、たっくさんで仲間みたいに育てるか、ひとつだけに愛情を込めた方が綺麗に咲くよーと言い、ひと粒ひと粒を指差して、この種は背が高いかなーこっちは花が小ぶりだけど、色が綺麗だなーと意外にも丁寧に教えてくれた。それからは、別邸に現れる花の精霊と話しをする様になった。



「星の精霊に振られちゃったー」

「かわいい子のわがままってかわいいよねー」

「木の実の精霊って可愛くてさー」



花の精霊がやって来ては、恋の話をペラペラとしていく横で、僕はリマの可愛い笑顔を思い浮かべ、向日葵の世話をした。向日葵の芽が出た頃、花の精霊に質問された。



「どうしてリマなのー?」

「リマが好きだからだよ」

「もっと胸の大きな子とかー会話の弾む子もいるでしょー」

「リマの胸以外に興味もないし、リマを1日中見つめていいならそうしたい」

「へー胸に興味あるんだーむっつりー」

「花の精霊、黙って」



向日葵の葉が何枚か育ち、1度摘心して育てると、綺麗な花になるよーと言われ、園芸用ハサミで切った頃、花の精霊に質問された。



「リマが他のオトコを好きになるとこ想像したことあるー?」

「…………」

「わーーひまわりの葉っぱが凍るー」



それからも、やって来る花の精霊の軽い恋の話を流しながら、かわいいリマの為の向日葵に水をたっぷり与える。

花の蕾が膨らんで来た頃、花の精霊に質問された。



「リマがある日、約束の場所に来なかったらどうするー?」

「すごく心配する」

「ずっとずっと待っても来なかったらー?」

「何かあったのかと思って、必死に探す」

「心変わりしたとは思わないのー?」

「…………」

「わーーツボミが凍るーー」





それにしても、今日のリマはとびきり可愛かった…

恥ずかしがり屋のリマは、滅多に自分から口付けをしない。それが今日は別邸とは言え、外にいるのに、自分から口付けをして来たのだ……あれは、反則過ぎる……


部屋に戻ってからは更に可愛かった……

向日葵を育てた話しをせがまれ話すと、蕩けた顔で、大好きと何度も言われた……あとは、向日葵の種が出来たら一緒に住む(・・・・・)庭で育てたいな…?と潤んだ瞳でおねだりするリマも愛らしかった……


リマが隣に寝てるのに、本当に、よく我慢したと思う………いや、我慢をしなくても本当はいいのだけど、王族の婚約は、普通の婚約とは違い、世継ぎを残すため、そういうことをしてもいいとはなっている……第2王子の自分の場合は微妙なところだけど、無し、ではない……



はー……止める自信がなくて、手を出せない……






「あー……可愛かった……」




「王子さまなのに、ニヤニヤしてるーやらしー」

「花の精霊、黙って」



心の声が漏れていた、そういえば、花の精霊がいたのを忘れていた。花の精霊と言えば、精霊の使いが色々噂をしていたな。加護を貰ってから精霊の使いの囁きが聞こえる様になった。

精霊の数が減ったのは、誰のせいだ、まったく。

リマが氷の精霊と春の精霊を早く出せないか悩んで、かわいい眉間にシワを寄せる姿を思い出す。いや、そういうリマも可愛いけど………

リマには、いつも笑っていて欲しいんだよね。だから……



「向日葵のお礼に、花の精霊の恋の悩みを聞くけど?」

「えー?今は、木の実の精霊と風の精霊と水の精霊とうまくいってるよー」



それは、恋、じゃない。



「うん、火の精霊の悩み、聞くけど?」




「………え?」




花の精霊の目が見開いたまま、固まった……





初めて、花の精霊の驚いた顔を見たと思った——

本日も読んで頂き、ありがとうございました!


糖分あんまりなかったかもです……

112話をちょっと書き直す予定です。話しの内容はそのままの予定で、煮詰まり過ぎていたので、薄めてまいります( ´∀`)


今日もお疲れ様でした◎

穏やかな夜が訪れますように。お休みなさい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もうひとつの『小春の小庭』の建国物語♪
雪の魔王と春の精霊

6.22コミカライズ単話配信スタート(*´˘`*)♡
豊穣の聖女


恋愛作品を色々書いています୧꒰*´꒳`*꒱૭✧
よかったらのぞいてみてください♪
ヘッダ
新着順① 総合評価順② 短編③ 絵本④ イセコイ⑤ 転生転移⑥ 現実⑦ 商業化⑧
ヘッダ
 

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ