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小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
5歳は異世界生活のはじまり
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11.樹木医の活動

ブックマークをして下さる方がいて本当に嬉しいです!ありがとうございます!!何度も見て確認してしまいました…嬉しいっ!





 私の夢だった樹木医というお仕事……



 植物が大好きだった小春()は、大学受験の時に、「将来やりたいことは何かな?」と考えた時に、『自然に関わる仕事がしたい』と思った。図書館やネットで自然に関わる職業を調べていた時に、見つけたのが『樹木医』という職業だった……!



 樹木医が診る木には、あらゆる木が含まれる。

 国が定める天然記念樹、街路樹、公園の樹木、お寺やお庭に植えてある木……とにかく全部の木だ。


 全部の木の診断をする事が出来て、必要な治療をして、予防方法を施して……木を健康にするお医者さん。それが樹木医という職業だ。



 樹木医の活躍が書かれた本の中で、女性の樹木医が樹齢100年の藤の木を復活させる様子が、凄く格好良かった。藤の木の声を聞く様に、藤にとって良い環境になるようにと、とても丁寧に再生する様子が心惹かれた。そして復活した藤の木が満開の花を咲かせて、みんなを幸せにする内容に、小春()は心が感動で震えたのだ……!



 これだ……!

 私、絶対これになりたい……!



 小春はこの時から『樹木医』になるのが将来の夢、目標になり、藤を復活させた樹木医が東北の国立大学で教鞭を取っていると知り、苦手な数学も暗記の苦手な古典も必死に勉強をして、現役合格をしたのだ。


 ……本当は『樹木医』になるには、必要な実務経験や試験があり、それに合格しないと『樹木医』を名乗ることは許されていない。



 でも、だけど、……ここは日本ではない、異世界なんだ。

 本当の意味で『樹木医』になることは出来ないけど、木のお医者さんを目指すのは良いよね……?



 私は、この世界で、『樹木医』の見習いになったつもりでププリュの木に取り組むつもりなんだ!


 何故か分からないけど、もやもやした気持ちがあった……それは多分、どんなに頑張っても樹木医にはなれない事実にだと思う……。

 でも……そうだ……そうだよね!

 大切なのは肩書きじゃなくて、私が植物や自然が好きな気持ちが1番大切なんだと思う。

 好き……が、この気持ちが1番大切なはず。


 よしっ!

 リマの目標は、ププリュの木を健康にして、ププリュの実をつけること!



 樹木医見習いリマの診断を始めよう!



 ププリュの根元まで歩き、ププリュの木をぎゅっと抱きしめた。

 我が家のププリュの木は3メートル半くらいの高さ。大木じゃないけど、小さなリマだと抱きしめるというより抱き着いているみたい?

 ププリュの木から新芽の爽やかで鮮やかな青さが胸いっぱいに香る……



「私は、小春。樹木医になりたくて勉強していたの。

今はリマという小さな子供になったけど……きっときっと、あなたを元気にして、ププリュの実をつけさせてあげるからね……」



 呟くように、囁くように、心の中で祈るように……言葉になるかならないかくらいの言葉(きもち)でププリュの木に話しかける。きっと届いたよね……?



 小春が習った木の元気がなくなるのは、主に5種類に分けられる。

 水分、酸素、栄養、害虫、病気……この世界は魔力の原因もありそうだから6種類かな?

 最後の魔力は知識がないから最後に考えよう。



「まずはププリュの木を診てみよう……」



 ププリュの木に抱き着くのを止めて、木の根元にしゃがみこむ。「最初は水分かな……」と考えをまとめていく。


 水が足りているか? は簡単な様で難しい。

 不足していても与え過ぎも木にとって良くない。

 この水分の過不足を確認するためには、木がどんな場所が好きなのか? そして今どこに植えられているのかがとても大切なんだ。


 ラルクに読んで貰った植物図鑑には、ププリュは太陽の光と水が好きだと書いてあった!


 木は大きく分けて、太陽の光が好きな陽樹と日陰が好きな陰樹に分かれていて、ププリュは陽樹になる。


 陽樹を日蔭に植えると土が乾きにくくなり、根っこが水分過多で腐りやすくなる。逆に陰樹を強い日差しの場所に植えると、水分が不足しやすく、葉っぱが萎れたり、茶色く変色することが多くなる。


 それを踏まえて診て見ると、ププリュの木の周りに太陽の光を遮るものがない……! 

 植えている場所はププリュにとって良い場所だね。でも陽当たりが良いから少し土が乾燥気味……「あとでお水をあげるね」とププリュの木に話しかける。ププリュの診断が終わるまでちょっと待っててねとププリュの木の枝に触れた。



「次は酸素と栄養だね」



 木は幹や枝、そして根っこで酸素の吸収をしている。特に根で吸収する酸素が、木の健康にとても影響を与えているんだよね……

 根がきちんと酸素を吸収しているかどうかは、土がギュウウと踏み固められているかで確認出来たはず。そして土の中の栄養は、有機質がたっぷり入っている栄養たっぷりの土は黒いの。


 しゃがみ込んで土を触った。急にしゃがみ込んだからマリィに「リマ様……!」と驚かせてしまったので、「土を見ているの」と首をぶんぶん横に振って、大丈夫だと言った。

 改めて、土を触ってみる……「うんうん! 土はふかふかした良い黒い土だね!」とマリィを見上げて笑うと、マリィも「良かったですね」と微笑んでくれた。


 我が家のお庭の土が栄養たっぷりなのは、ププリュの木にも他の植物(プランツェ)にも嬉しいことだから嬉しいな……!



 ここまで問題がなかったから、ププリュの木に花や実が出来ない原因は、害虫か病気かな……?



 ププリュの木の害虫と病気か……

 ぱっと思いつくのだけで、アブラムシ、コスカシバ、カイガラムシ、黒星病……かな。


 対処法は、小春の知識としてあるけど、この世界に農薬はあるのかな……? いやいや、私は、樹木医見習いとして頑張るって決めたばかりなんだから、弱気はだめだよね!



 我が家のププリュの木は、そこまで高くないけど……小さなリマの背丈だと、ププリュの枝や葉っぱは見えにくい……いや、全然見えない。「高くてよく見えないよ……」と恨めしげな声を出してしまう。脚立を借りよう。そうしよう。



「マリィ、踏み台はあるかな?」

「……リマ様? 危ないことはしないお約束ですよ」

「えっと、あのね……? 葉っぱや枝を見たいだけなの……? ほら、自分で見ないと分からないし……?」

「……私が見ますよ?」



 やっぱり駄目か……。

 私が脚立に乗って高い場所に登るのは駄目な予感があったけど……これは直接自分で見たかった!「マリィ、ほんの少しでいいからお願い……!」と両手をお祈りの形にして、マリィにお願いする。「本当に少しだけですよ……?」とマリィが言ったので、こくこくと縦に首を沢山振って「ありがとう」と伝える。



 脚立に乗ったマリィに抱き上げて貰い、ププリュの枝や葉っぱを見ていく。

 視線が高くなり、ププリュの綺麗な若草色の葉の中に、少し元気のない葉が混じっているのに気付いた。枝を切る剪定を行わないと、枝が密集してしまい、太陽の光が届かなくなるし、害虫がつきやすくなるのだ。



「マリィ、もう少し右の枝が見たい」



 マリィに見たい枝を指差してお願いすると、マリィは私を下ろし、お願いした枝の近くに脚立の位置を変え、再び抱き上げてくれた。

 小さな子供のリマだけど、マリィは女の人だから、ずっと抱っこしていたら重たくて大変だよね……? 出来るだけ早めに終わらせよう……と思っていたら、目の前に元気のない葉が見えたので、枝を確認した。




「…………っ!」





長くなって来たので、分けます。

少し書き直しをしました。


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