106.4種類の回復薬
煮詰まり、更新が遅くなりました。
「美味しくなーれ」
朝、足りなくなりそうな回復薬を作り終わると、魔法学校へラルクと登校する。
現在、リマ印回復薬は4種類。有難い事にほぼ毎日完売している。最近、ラシャドル王国の国境付近に魔物が出る様で、魔力回復薬の販売数を増やして欲しいと商業ギルトに相談を受けて、新しい回復薬が増えたこともあり、販売数も増えた。
同じ様に魔物が増えた事で、王宮魔導士や騎士に回復薬の配給を相談され、カイルがやり取りをしてくれている。
カイルって凄いんだねと、言うと、つるぺたの世話が1番手がかかるからなとニヤリと言われた。むぅ…!
「旨いな!アプリコーゼの実とは全然味が違うな…これ飲めるな」
アプリコーゼの実が大好きなカイルに、アプリコーゼの里で精霊の使いに貰ったアプリコーゼの実をお土産で渡したら喜んでくれた。
いつもお世話になっているので、更に喜んでもらうおうと思った私はアプリコーゼの種を使ったデザートを作った。
その名も……『杏仁豆腐』
カイルに杏仁豆腐を食べて貰った反応が、子供みたいだった……!
「カイル、杏仁豆腐じゃなくて、杏仁ミルクなら飲めるかも」
「あ、ちょっと待て……」
「美味しくなーれ」
カイルの制止を聞く暇もなく、目の前にあったアプリコーゼの種とミルクで『杏仁ミルク』を作り終えた。ピッチャーから杏仁ミルクをコップに注ぎ、カイルに手渡す。私も味見用に注ごうとしたら、カイルに取り上げられて、優雅に注いでくれた。
「お前な、これ、絶対回復薬になってるぞ」
「え?飲む前にわかるの?」
「お前な……」
カイルの言う通り、魔力回復薬が出来ていた……!
エスパーカイル!
文句を言っていた割に、カイルは杏仁ミルクが気に入った様で全部飲んでいた。
エディンリーフ家のアプリコーゼから杏仁ミルクを作る事に決まり、杏仁ミルク魔力回復薬が加わり、3種類から4種類に回復薬が増えたのだ。
◇ ◇ ◇ ◇
「リマ、遅いですわ」
「フローリアは早いね」
「当たり前ですわ!レイモンド様を見るんですもの」
「フローリアかわいいね」
「もうっ!」
ぷんぷんするフローリアの顔が真っ赤で可愛い。
今日は剣術所属の朝稽古の見学に来ている。
ラルクとの婚約発表をすると、フローリアがようやく安心したみたいで、一緒に見に行ってもよろしくてよ?とぷんぷんしながら誘ってくれた。かわいい……!
ラルクも婚約発表したから来てもいいよと言ってくれたので、雨の日とリック所属長が休みと決めた日は見に来ている。
リックにリマが毎日早く来て、水やりをすると、他の所属員が植物を覚えることが出来ないと言われ、私の休みを決められている。むぅ…!
「ラルクが来たよ!」
「レイモンド様もいらしたわ…」
「「…………はぁ」」
私もフローリアも感嘆の声しか出ない……
ラルクの剣術している姿が格好いいの……
打ち込みをしたり、素振りをしたり、ただ見惚れてしまう。こんな素敵な人と婚約しているなんて嬉しくなっちゃう。うふふ。
ラルクに見惚れていると、あっという間に、朝稽古は終わってしまう。
フローリアと一緒にラルクとレイモンド様の元へ向かった。
「リア」
「レイモンド様…お疲れさまですわ。汗を拭きますわね」
「リアに見られると張り切ってしまうよ」
「まあっレイモンド様ったら………」
フローリアをリアと呼ぶレイモンド様の声は甘くて、フローリアは甲斐甲斐しくレイモンド様の額の汗を拭いている。たまにレイモンド様がフローリアの耳元で囁くと、フローリアが真っ赤な顔になる……
こんな熱々でお似合いの2人なのに、フローリアは、レイモンド様が私を好きになるなんて妄想したなと思う。
「リーマ」
「…ごめん…フローリア達を見てた」
「レイモンドとフローリアは今秋が婚約だったね」
「うん」
「リーマ、風邪ひいちゃうんだけど?」
「………うん」
ラルクの額も汗がびっしりなので、そっとタオルで拭き始める。ラルクは剣術活動の後、疲れてタオルで拭くのも億劫だと言っていたので、すごく恥ずかしいけど、風邪を引かないように拭く様になった。
恥ずかしくて、顔に熱が集まるのが分かる。
じっとラルクに見られるのが、恥ずかしくて、目を閉じてと言うと、くすりと笑い目を瞑るラルクの汗を拭いて行く。
目を瞑るラルクの顔に見惚れながら、髪も汗をかいてしっとりしているので、髪もそっと撫でるように拭くと、くすぐったいのか、ふふっと笑う。
その口元に色香を感じてしまい、益々顔が熱くなる………
「リア、あの2人はいつもああなのか?」
「そうですわね、リマは魔法に気付いてないと思いますわ」
「ラルクの気持ちは分かるけどな。魔法で汗も乾くが、私もリアに拭いてもらうのが幸せだからな」
「もうっ、レイモンド様ったら………」
「リマ、ありがとう」
「…うん」
「着替えて来るから少し待ってて」
「…うん、ラルク、右手赤くなってるよ?」
「打ち込まれた時にぶつかったんだ」
「えっと、教室戻る前に治してもいい?」
「ありがとう」
フローリアに先に言っててと告げると、先に着替え終えたレイモンド様と幸せそうに教室に向かう。
ラルクもすぐに来たので、剣術道場から教室に向かう途中の木陰に隠れる様に座る。
「痛いの痛いの飛んでいけ……」
私の手がミントグリーンに輝き、ラルクの右手を包み、赤みが引いていった…
「もう痛くない?」
「リマ、ありがとう」
私の新しい魔法は、植物にとても効くが、すり傷や打ち身のような軽いものなら人にも効くみたい。
……複雑なのは想像出来ないもんね。
ラルクが小さな怪我をしているのを見て、帰る前に2人きりになって、治すのが私たちの決まりごとになりつつある……
ラルクの黄金色の瞳に甘い蜜がたまり、私も甘い予感に、目を閉じる……
治した後に、甘い口付けを交わすのも決まりごとになりつつある……
「リマ」
「フローリア」
「「…………」」
始業時間のギリギリに赤い顔のフローリアと教室前で会うのも決まりごとになりつつある………
本日も読んで頂き、ありがとうございました!
レイモンド様とフローリアを出したかったんです◎
煮詰まりました_φ(・_・
あと1エピソードで二年生編終わります。
全然100話じゃないですね…笑。
今日もお疲れ様でした。















