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小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
15歳は2年生のはじまり

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104.甘やかな仲直り




「リマから離れろ」



ラルクの低い声に周りの温度が下がったと感じたが、どうやら本当に温度が下がっている様で、アプリコーゼの枝が薄っすら氷付いていく……



「もーあいつみたいに独占欲の塊だなー」



花の精霊が、パチンと指を鳴らすと、私は何もない空中にひとり浮かんでいた…



え?

浮かぶ…わけないよね……?



「きゃあ」



落下する感覚に、目をぎゅっと瞑り、衝撃に備える……


…?



「リマ、大丈夫?」

「ラルク…ありがとう」



ラルクが受け止めてくれたので、ラルクの顔がいきなり近くにあって、黄金色の瞳に見つめられ、心臓がドクドク動き出す…



「ねーそろそろ僕のことも思い出してねー」



痺れを切らした様に、花の精霊に言われる。



「あのねーその子が魔力切れを起こして倒れていたのを僕が介抱してたわけ。結界も治癒しやすい様にしてただけなのー」


ラルクの黄金色の瞳に覗き込まれる。


「リマ、魔力切れを起こしたって本当なの?」

「…うん、実は…」


私は、精霊の使いに幹が裂けたアプリコーゼの樹に案内され、新しい魔法で治したこと、魔法で魔力を使い過ぎて倒れたこと、アプリコーゼを治したお礼に花の精霊に加護をもらったことを話した。


「花の精霊、すまない」

「もういいよー」


ラルクが誤解をした事を謝ると、花の精霊がおもむろにアプリコーゼの実をひとつ手に取り、口付けをして、ぽいっとラルクに投げた。


「これキミが食べたらいいよー」

「…これは?」

「少しだけど、僕の加護が付くよー。この子は、深めに加護付けたからねー男が弾かれると使いものにならなくなるみたいだよー」

「……礼を言う」

「………?」


後半がよく分からなくて小首を傾げると、花の精霊にあとで聞いてみなーと言われたので、ラルクにあとで教えてくれる?と聞くと、目を逸らされてしまった。ラルクのいじわる。


「昔、キミみたいに独占欲が強いやつを少ーしからかったら、魔力を暴走させちゃったからねーあの後、他の精霊に怒られちゃって大変だったんだー。代わりじゃないけど、そのおわびかなー」



えっと、それって建国物語の氷の精霊と春の精霊の話しだよね……なんか色々、花の精霊のせいなんじゃないの……?思わず、じと目で花の精霊を見た私は悪くないと思うの。



「もーちがうよー!かわいい子に花を贈るのは当たり前でしょー、むしろ、礼儀だよー!ねー?」

「僕はリマにしか花は贈らない」

「………ありがとう」



「もーそういうとこー!あいつそっくりー」



思ってもいないタイミングでラルクに甘い言葉を貰い、頬に手を当てて顔の熱を逃していると、ちゅっとおでこに口付けされる……



「もー僕のこと、忘れてるでしょー」



花の精霊がパチンと指を鳴らすと、いきなり目の前に居て、花の精霊の唇が私の唇に近づく……

いやだと思い、思わず目を逸らすように瞑る……



「許すわけないでしょ」



ラルクが私を花の精霊から守るように距離を置いてくれていた。

パチンと指が鳴ると、最後に見た花の精霊は、失敗したーまたねーと笑顔で手を振っていた……




ラルクと私は、あっという間に、アプリコーゼの里に戻っていた——



◇ ◇ ◇ ◇




「…んんっ…ん……」




折角戻って来たアプリコーゼの里ですが、まだみんなと合流出来ていません……





「…リマ、僕がなんて言ってたか覚えてる?」

「えっと、精霊の使いに連れて行かれない様に、ひとりにならないでね……て言ってた…」

「どうして、精霊の使いに連れて行かれてるの?」

「……ごめんなさい」

「すごく心配したよ…花の精霊の結界が強くて、リマにこのまま会えないかと思うと気が気じゃなかった…」


ラルクの黄金色の瞳に、後悔や心配の様な、不安を乗せている様子に、私も心が締め付けられる様に苦しくなる……

私がラルクにこんな顔をさせていると思うと、言うことを聞かないで勝手なことをした後悔が襲う…



「…本当にごめんなさい」



ラルクに抱きつくと、ラルクも強く抱きしめてくれる。爽やかでほろ苦いレモンタイムの香りがして、やっと戻って来たと安心する。



「アプリコーゼの樹を助けるのはいいけど、自分が倒れたりしたらだめだよ」

「…うん」

「困ったら必ず僕に相談して」

「…うん」

「リマの大好きな樹を治せる魔法を使えるようになったの?」

「…うん」

「小春のなりたかった木のお医者さんだね?」

「…うん」

「リマ、おめでとう」



甘やかな声色に、ラルクを見上げると、黄金色の瞳に甘やかな蜜がたまっているようで、どちらからともなく甘やかな優しい口付けを交わす。


「……」

「……」



ふたりで見つめ合うと、黄金色の瞳が目を細め、近付いて来る。

私は嬉しくて、甘やかな予感にそっと瞳を閉じる。



口付けの合間に漏れるのは、甘やかに互いの名前を呼ぶ声と甘やかな吐息だけ………



ラルクの首に腕を回し、夢中で口付けをする……










「リマ、そろそろみんなが心配するから戻ろう?」

「…うん」





甘やかな仲直りをして、私たちは集合時間に少し遅れて、みんなの所へ戻った———

本日も読んで頂き、ありがとうございました!


アプリコーゼ編はこれで終わりです(^_^*)

二年生編はあと2つ話しが書けたらなーと思っています。


今日もお疲れ様でした◎

金曜日、疲れた気持ちに糖度を補給したくなりました。

お休みなさい。

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