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小春の小庭〜転生先でも樹木医を目指します〜  作者: 楠結衣
15歳は2年生のはじまり

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101.婚約発表と前世の記憶


私達は2年生に進級し、ラルクとチェダはAクラス、私とフローリアはBクラス、エイミとアミーはCクラスに分かれた。

その後、ラルクの誕生日に合わせて、ラルクと私の婚約が発表され、皆に祝福の言葉を沢山貰った。


今日は、婚約発表が行われた後の初めての魔法学校のお休みの日で、私はラルクの別邸に遊びに来ていた。今日は王家に入る勉強はお休みしていいと王妃様に言われ、ゆっくりするつもりだった………



「あ、あのね、ラルク、やっぱり…この体勢は落ち着かないと思うの?そ、それに、私、重たいから、やめない…?」

「重たくないし、やめない」

「……で、でも…」

小春(・・)はこの体勢好きみたいだったけどな?」

「あれは……」



◇ ◇ ◇



『植樹の儀式』を終え、カイルの待つ馬車まで行くと、カイルが珍しく慌てた様子で、私をラルクのいる王宮まで送り届けてくれた。

ラルクも私を見ると慌てた様子で、カイルにお礼を言い、よく分からないまま別邸に行った。

顔になにか付いてる…?


マタルさんも私の姿を見ると慌てた様子になり、お茶の支度が終わると直ぐに退室し、ラルクと2人きりになった。




「リマの秘密をおしえてくれない?」



「………」



私の秘密ってなんだろう?

前世の記憶があること……?でもそれはラルクは知らない筈だし……



「リマが今まで笑っていたから、このままでもいいかなと思っていたけど、リマが泣くなら僕にその秘密を教えて。僕と半分こしよう?」


「……」


前世の記憶があるって言ってもいいのかな?

ラルクの好きなリマは本当はリマじゃなくて、小春も入っているって知ってもラルクはこのままなのかな……?



「僕の話しをしてもいい?」



いつの間にか、私はラルクの膝の上で横抱っこされていて、髪を梳くように撫でながら話し始めた。



「僕の幼馴染はね、昔からあまり体が丈夫じゃなくて、自分の庭に出るのもたまにだったんだ。虫は絶対に触らない子だった。だけど、ある日を境にすごく元気になって、虫も平気になった」

「……」

「倒れた時に、僕は心配だったから王宮の治癒術師に幼馴染を見てもらった。魂は同じだけど、魂の色が変わったと話していた。本体を守る為に、身体が生きる為に、切り株からわき芽が生えるように、違う人格が出て来る、ベーサルシュートを行なった可能性を治癒術師は話していた」

「……」

「最初はその子が誰かと入れ替わったと疑ったけど、直ぐにそれは違うとわかった。違う子みたいだったけど、困ると小首を傾げる仕草や蜂蜜たっぷりのミルクティーが好きだったり違う子の様で、同じ子だなと気付いた。……それに、僕は元気になったその女の子に恋をしたからね」

「……そうなの…?」

「そうだよ。それまでは妹みたいに大切に思っていたんだ。ププリュを守りたいって言い出した、真剣な顔のリマに恋をしたんだよ」

「……私、このままで居ていいの?」

「居てくれないと困っちゃうよ。僕のお嫁さんになるんでしょう?」

「……ありがとう」


私はラルクの腕の中で、子供みたいにわんわん泣いた……泣いても泣いても涙が溢れ落ちた……

泣き疲れて、寝て起きてもまだラルクの膝抱っこのまま髪を梳き撫でられていて、恥ずかしくて真っ赤になったら口付けを落された。


「リマは隠し事に向いてないよ」


ラルクにくすりと笑われた。

リマが変わった事は、お父さんもお母さんもマリィ、それにマタルさんの近くにいた人達は直ぐに気付いていたと言われた。変わった後の私しか知らないカイルも気付いていると何故か言われてしまい、少し頭を抱えた…そんなに分かりやすいのかな、私…?

みんな、リマが少し変わってもリマが元気な事が嬉しい筈だよと言ってくれた。


話し方も違うし、魔法適性も前の私は火、水、風が上級適切だったこと、不思議な食べ物や、指輪の話、体の弱いリマが他国の金木犀(キンモクセイ)の花の香りを知っているわけないよと言われてしまった………確かにね…。


その後、私が前世の記憶があること。こことは違う世界で生きていて、小さな春という意味の『小春』という名前だったこと。19歳で樹木医という木のお医者さんになりたかったことを話すと19歳だったの?と凄く凄く驚かれて、同じ年齢くらいだと思っていた…と言われたので、むぅと睨むと、ごめんね?とおでこに口付けを落された……もうっ!


私の中のリマの記憶は走ったりしてると伝えると、少し言いにくそうに、記憶は自分の都合よくなってる事もあるよ…?と控えめに、走ってはいないと告げられて驚いた……。



そして、前世の最期の記憶が、ラシャドルの樹にそっくりな(ケヤキ)の樹を植えている途中で倒れた事を話した。


「リマが倒れたのは、ププリュの木の近くだったんだよ」

「そういえば、リマの最初の記憶はププリュの木の近くにいたかも……」




小春(・・)は、春の精霊と氷の精霊に呼ばれたのかもね」



その後、お父さんとお母さんに前世の記憶の話しをしたらお父さんはリマが元気ならそれでいいと言われ、お母さんには何となく分かってたわと言われた。

ただ19歳だったと伝えると、お父さん、お母さん、マリィ、カイル、それにマタルさんまでラルクと同じ様に衝撃を受けていた……なんで…?



私は、小春がこの世界に受け入れて貰った、ううん、最初から受け入れて貰えていた事を知った——


◇ ◇ ◇ ◇


あの日からラルクと2人きりになると膝の上で横抱きになってしまった……

恥ずかしくて、毎回、やめようと提案するけど…あの日、19歳には見えないと言われ、悔しくて、子供じゃないもんと言った私のばか……



「子供じゃないもんね?」

「………」

「リマかわいい」



甘やかな蜂蜜色の瞳が近づき、目を閉じる。

甘やかな口付けが角度を変えて、何度も何度も降って来る……。口付けをして、少し離れて、見つめ合う……また吸い寄せられるように、口付けを何度もして、見つめ合うを繰り返していく……


口付けを段々としている内に、「ん……はぁ……」と自分の声に聞こえない甘いため息みたいな声が勝手に漏れる……ラルクの口付けはどんどん甘さを増し、身体中が甘く溶かされるみたい……



ラルクの首にしがみ付くと、それを合図に満足した様に、唇が離れていく………私が寂しくて、腕にぎゅうっと力を込めて、いやいやと首を横に振ると…くすりと笑って、毎回こう聞かれる。



「甘えたリマになった?」

「……うん」

「よく出来ました」



ふにゃりとなった私のおでこにラルクは口付けを落とす。引っ付きたくなり、ラルクの胸にこてんと頭を預ける。ラルクの匂いがしてドキドキするけど……!


ラルクは甘えたリマな私が好きみたい……ラルクが嬉しそうにするのを、私も好きだったりして…私も重症かもしれない……。

ラルクは髪を梳き撫でたり、頭に口付けを落としたり、少しお話しをする。目が合うとラルクから甘い口付けが落ちて来て……




それはマタルさんが帰りの時刻を告げるまで——

本日も読んで頂き、ありがとうございました!

感想と評価を頂きまして、嬉しかったです。


前世の記憶は特に考えていなかったのですが、エド様がほんのり気にかけるのにラルクがスルーは変かな?と思って、受け止めて貰うことにしました。

2人の関係がより甘く……ドキドキしてもらえたら嬉しいです(´∀`*)



今日はお疲れさまでした。

今日は疲れていたので、糖度が高めだったかも……

お休みなさい。

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