殲滅③
戦闘
流血表現あります、ご注文ください
「「踊れ炎よ、立ちはだかる、敵を凪ぎ払え」」
アルフさんとキャリーの詠唱が静かに響く。アルフさんの魔鉄の槍が、キャリーの杖が魔力を宿す。
ちらっとアルフさんが合図。
「「フレイムダンスッ」」
アルフさんとキャリーが唸る炎を放つ。
「「ファイヤーボールッ」」
アーサーとフレナさんの魔法も炸裂。
「「ウィンドカッターッ」」
「ぴいいぃぃぃ」
マリ先輩とリツさん、ショウの風の刃が炎を巻き上げる。
「「ウィンドスラッシュッ」」
私とイレイサーの風魔法が更に炎を巻き上げる。
「サンダーアローッ」
ローズさんの雷魔法も炸裂。
ゴブリンが吹き飛ぶ、吹き飛ぶ。
「もう、一発行くぞッ」
アルフさんの声に、キャリーは再び呪文の詠唱。
ショウは連続で風の刃を飛ばす。流石、グリフォン。本当に劣化個体なんだろうか?
「「フレイムダンスッ」」
「「ファイヤーボールッ」」
「「ウィンドカッターッ」」
「ぴいいぃぃぃ」
「「ウィンドスラッシュッ」」
「サンダーアローッ」
爆炎が巻き起こる。
「うわあ、すごい…」
バーンがぼそり、と呟く。
「よし、アーサーッ」
「ハイッ」
アルフさんと私が手を出す。
レベルの低いリツさんとマリ先輩は魔力回復ポーションを一気飲み。
「火よ、体を巡れ、力となれ」
アーサーが出された手を握る。
「ヒートアクセルッ」
体が、かっと熱くなる。
よし、具合悪くない。
【火魔法 武器強化 発動】
【風魔法 身体強化 発動】
魔法を発動。
それぞれの獲物を手に取る。
「行くぞッ」
マルコフさんが剣を抜く。
バラックは盾を構え斧を持つ、イレイサーはレイピア、バーンは両手にナイフ。
「行くよッ」
フレナさんがショートソードを抜く。
サリナは盾を持ち、鉈のような剣。エレはレイピア、ララはナイフ。
「ルナ、アーサー、行くぞッ」
「「はいッ」」
アルフさん魔鉄の槍、私は二代目、アーサーはポーションを飲んで薙刀を持つ。ローズさんはナリミヤ氏のナイフ、マリ先輩はトレントの杖、リツさんは初代を構える。
隠れていた茂みから飛び出す。
熱く焼けた大地を蹴り、走る。
風魔法で、私が先頭。
ゴブリン、かなり減っている。
まだ、奥には無事なゴブリンが多数。ポーン、ナイトにルークが向かっくる。奥にはアルフさん以上の巨体、ジェネラルだ。一体ではない。二体いる。
まず、一発。
私は二代目に魔力を流す。
「はあぁぁぁッ」
全力の衝撃斬刃。
ゴブリンが切れる切れる。切り飛ばされて行く。
やはり恐ろしい切れ味。ナイトやルークまで、真っ二つ。一体はジェネラルの腕も大きく抉る。
【魔力操作 覚醒】
頭の中でも声が響く。後で確認。
ゴブリン、まだ、かなりの数が残っている。
左右に斬り倒し、蹴り飛ばす。
後方からマリ先輩のストーンバレット、リツさんはウォーターバレットが次々にゴブリンの頭を撃ち抜いている。
アーサーは薙刀でゴブリンを凪ぎ払い、ローズさんはナイフで切り飛ばす。
アルフさんが槍を払うごとにゴブリンが小枝のようにちぎれ飛ぶ。
マルコフさん達『ハーベの光』も、フレナさん達の『紅の波』も見事な連続プレーでゴブリンを倒している。
腕を抉ったゴブリンジェネラルが、私に狙いを定める。
負ける気がしない。
「ルナッ」
アルフさんの声。私は一気に距離を詰める。無事な腕を切り飛ばし、距離を取る。
醜い顔を更に歪めるジェネラル。だが、次の瞬間、アルフさんの火魔法を宿した穂先が、首を突き破る。
「ストーンマグナムッ」
マリ先輩が魔法をジェネラルに放つ。私の拳ほどの石がもう一体のジェネラルの顔面に命中。怯んだ隙に、アルフさんの槍がジェネラルの腹に食い込み、反対側から私が二代目を突き刺す。
「「はッ」」
一気に振り抜く。
血を吹き出し、どう、と倒れるジェネラル。
やはり、身体強化もあるが、アーサーの支援魔法も大きく影響しているはずだ。私の素のレベルでは、倒せないからだ。アーサーの支援、ナリミヤ氏の二代目様々だ。
「残りを片付けるぞッ」
「はいッ」
アルフさんがルークの持つ木の盾を撃ち破り、そのまま、槍が貫通。私はナイトを、持っていた錆びた剣ごと斬り倒す。
心臓、ばくばくしてる。かなりの数のゴブリンを倒し、ジェネラル倒した、レベルが上がっているんだろう。
なんだか、戦闘音が、耳に入らない。自分の息づかいしか入って来ない。
次々に向かってくるゴブリンを、右に左に切り伏せる。
後ろから襲い来るゴブリンは、ウィンドバッシュで吹き飛ばす。なぜか、分かる、なぜだろう? 私は休まず二代目を振るう。
どれくらいゴブリンを斬っただろう。
最後のルークを、アルフさんの槍が突き刺す。
「はぁ、はぁ、はぁ」
私は肩で息をする。喉が焼ける。
マジックバックから水筒を出しあおる。噎せてしまう。
「儂にも、くれるか?」
流石のアルフさんも肩で息をしている。
私は無言で水筒を差し出す。
アルフさんもあおる様に飲む。
ゴブリンの血の匂いがきついが、しばらくへたり込む。
「ルナちゃん、大丈夫? ヒール」
マリ先輩が私に、リツさんがアルフさんにヒールをかける。
ああ、気持ちいい。
息を整えていると『ハーベの光』『紅の波』が集まってくる。
「なんとなったな。アルフ、ルナ君、大丈夫か?」
マルコフさんが心配して声をかけてくる。バーンにより回復はすんでいるようだ。
「ルナちゃん、あんた、強いね、流石本部の副ギルドマスターが保証人になるだけはあるね」
フレナさんも声をかけてくる。
私はもう一口、水筒のお茶を飲む。
「大丈夫です、運が良かっただけです」
「運ってあんたね」
呆れるフレナさん。隣で胸を張るマリ先輩。
立ち上がると、背中に汗が流れ落ちる。
あれ?
「まだ、おるぞッ」
アルフさんの緊張感のある声が響く。
「リツ、魔力のポーションくれッ」
「私にもッ」
リツさんがアイテムボックスから魔力回復ポーションをさっと出す。一気飲み。後ろのアーサーも一気飲み。
地響きがする。
言われる前に、アーサーは支援魔法を発動。
【火魔法 武器強化 発動】
【風魔法 身体強化 発動】
地響きがする。
「何これッ」
リツさんが叫ぶ。
足元の地面に、白い線が浮かび上がる。
「下がれッ」
アルフさんの指示で後退。
これ、まさか。
「恐らく、召喚能力がある『クイーン』がおるぞッ、『キング』もおるはずだッ」
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