殲滅①
出発
次の日。
若干怖がるアーサーに鎧を着せ出発。結局、全員です。ショウは分かるよ、風魔法使うからね。なんと言ってもグリフォンですからね。
「メエメエ」
なぜ、ノゾミまで?
赤いスカーフを巻いて上機嫌のノゾミ。マリ先輩作の赤いリード着けて、元気に鳴いている。ショウは緑のスカーフ。うん、従魔感出てる。
「え、ダメなの?」
マリ先輩が聞く。
「従魔なのに」
「あのですね、マリ先輩、ノゾミは戦力外でして」
「癒し担当」
「あ、はい…」
好きにしてください。まあ、かわいいからいいか。今日は浅い所だしね。先日のゴブリンの件は、まだ原因は分かってないけど、アルフさんと私がいれば、大丈夫かな。いざとなったら私が囮になればいいし。
「アルフさん、日帰りですよね」
私が初代を下げているベルトをチェックしながら聞く。
「ああ、基本的にはな。間に合わない時は、城門付近で夜営だが、なるだけ避けたい」
今日のアルフさんはフル装備だ。初めて見た。
お馴染みの魔鉄の槍に足にはナイフ、腰の後ろに小型の斧が二振り。小型と言ってもアルフさんにしたら小型なだけ。そこそこの大きさ。外套にカラーシープのカーゴパンツに鉄板入りブーツ。
私は外套にカラーシープのレギンスだ。
アーサーはフォレストダークコブラの革鎧一式。ブーツはアルフさんと同じデザインだが、鉄板の代わりに爪先にコブラの皮だ。後で薙刀貸し出しだね。マリ先輩達はあまり変化なし。ローズさんにナイフの貸し出し、マリ先輩はなんとか形になったトレントの杖、リツさんは後で護身用に初代の貸し出しだね。
「皆さん、お気をつけて」
ホリィさんが心配そうに見送ってくれる。アンナとクララも不安そう。
「今日中には帰ると思いますが、もしかしたら明日になるかもしれません。冷蔵庫にいろいろありますから、好きなのたべてください」
リツさんがホリィさんに説明。
「リツ様、大丈夫?」
アンナとクララがすがり付く。
「大丈夫よ、アルフさんとルナちゃんがいるから。じゃあ、行ってきます」
ホリィさんと、アンナ、クララ、眠たそうなルドルフに見送られ私達は出発した。
「アーサーッ、行ったぞッ」
アルフさんが槍を振るう。
「はいッ」
薙刀を構え、アーサーが迫り来るレッドボアの首に刃に突き立てる。轟音を立てて、巨体が沈む。
「すごいすごいアーサー君」
パチパチ、と拍手のリツさんとマリ先輩。
赤くなるアーサー。うんうん、かわいい。
とことこ、角ウサギを咥えて、ショウが草むらから出てくる。
「あら、ショウすごいわ。唐揚げにしましょうね」
マリ先輩が撫で撫で、ショウは獅子の尻尾を振ってる。
リツさんがアイテムボックスに浄化をかけたレッドボアを仕舞う。
「ボアは薄切りにして、あ、ミンチにもして、ローストもいいわね」
なんだろう、ボアって、牙に引っ掛っただけでも大怪我なんだけど。リツさんにしたら、食材にしか見えないのね。まあ、美味しいから、いいか。
角ウサギはローズさんのマジックバックに入れられる。
しばらく歩き回り、アーサーは順調に戦闘をこなす。マリ先輩、リツさんも実戦が無事終了。
「メエメエ~」
お昼休憩。
「どうぞ、ルナちゃん」
リツさんがサンドイッチを渡してくれる。いただきます、がぶり。
野菜にハム、うん、美味しい。
横からショウが啄んでくる。なぜ、私? ちょっと、ちょっと、ハムなくなる。
腕でガードするが、ひつこいって。
「仲良しね」
マリ先輩がのほほん。
サンドイッチ無くなるって。
笑ってリツさんが二つ目のサンドイッチをくれたが、それもショウに狙われる。だから、なんで私?
何故か疲れた休憩し、探索再開。
しばらくして、聞いたことのある声が聞こえた。その前にショウが反応し、アルフさんの気配感知が反応した。
「アルフ~、久しぶり~」
あ、アルフさんが、うわあ、みたいな顔をする。
ぴょーん、ぴょーん、と走って来るのは『ハーベの光』斥候のバーンだ。
「アルフ~」
「大地よ」
「やめて、攻撃しないでッ」
バーンは両手を広げる。
呪文の詠唱を中断するアルフさん。
誰? と、後ろでリツさん達が囁く。あ、あの人、笑顔が素敵な人が好きって言ってたな、あ、リツさんとマリ先輩のガードしないと。
「何しとる?」
「ゴブリンの調査依頼があってね。受けたんだ。あ、フレナ達もだよ。さっき合流してさ」
あ、あの依頼受けたのね。
「あ、ルナちゃんこんにちは、この前はごめんね」
私にも挨拶。うん、マルコフさんとフレナさんのおかげで、反省してるな。
「こんにちは」
「こんにちは。どうも皆さん、僕は『ハーベの光』のバーンです。アルフ、リーダー達いるんだ。良かったら会ってよ」
バーンが、リツさん達にも挨拶。
「こんにちは」
リツさん達もご挨拶。
「マルコフさんか、挨拶しとくかな。いいか?」
「はい、大丈夫です」
リツさんが返事をする。
「こっちこっち、皆さんもどうぞ。ん、君はルナちゃんの兄弟かな?あ、奴隷? ま、いいや、こっちこっち。うわあ、グリフォン、こんなに近くで初めて見た」
アーサーの首の奴隷紋に気づくが、バーンは気にしない様子。
バーンを先頭に、ぞろぞろ続く。
案内された先に合計8人の男女。
「リーダー、アルフだよ~」
「おお、アルフ、久しぶりだな」
休んでいたのだろう、座っていたマルコフさんが立ち上がる。近くにフレナさんがいる。
グリフォンのショウには、流石に驚いている。
「マルコフさん、フレナ、久しぶりだな」
「メエメエ~」
元気なノゾミが、マルコフさんに近づく。
「ダメよノゾミ」
マリ先輩がリードを引く。ショウはマリ先輩にぴったりくっついている。
「こんにちはルナちゃん」
「こんにちはフレナさん」
フレナさんに挨拶。
「ふふ、今日はちゃんと冒険者の格好なのね。でも、結局な所帯だね。パーティー組んでるの?」
「いいえ、まだ、ランク低いから」
「そう。ねえ、せっかくだから紹介して、ね、いいわよねアルフ」
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