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受け入れ②

カンカン

短めです

「全く、今何時だと思っているんですか? 朝っぱらからカンカンカンカン。ルドルフ君が起きちゃったでしょう、アンナちゃんもクララちゃんも怖がっているでしょう。ご近所迷惑でしょ。いくら槍の稽古だって、そんな汗だくになってまで、湯気まで出して、何考えているんですか?」

 リツさんがカンカンに怒ってます。

「ごめんなさい」

「すまん」

 大人しく謝る私とアルフさん。リツさんの後ろでアーサーがドン引きしている。

 本日初めてのアルフさんの槍術講座。まあ、初回だから、しっかり柔軟体操して、基礎動作。

「アーサー、槍はな、長さが利点だ。そして、突きだ。距離を置いての攻撃、まずは当てることだが、次の手として薙ぎがある。槍に振り回されるなよ」

「はい」

 そんな感じで庭で始まる槍術講座。

 しばらくして、私とアーサーが練習で打ち合う。まあ、勝ちましたよ。アルフさんなんて、素手で打ち払っていました。

 アーサーを休ませ、私がアルフさんに模擬戦をお願いしたのが行けなかった。

「いいぞ。ルナ、身体強化使っていいぞ」

 あ、デジャブ。

 ここで私のいけないスキル、負けず嫌いが発動。

【風魔法 身体強化 発動】

【火魔法 身体強化 発動】

 魔力を巡らせ、アルフさんに挑んだ。

 まあ、激しい打ち合いで回りが見えてなかったかも。しかし、さすがのレベルの高さ。全然敵わない。私は突きより薙ぎの方が性に合うみたいだ。槍を左右に振るうが、アルフさんに軌道を読まれて打ち返される。

  カンカンカンカンカンカン

 確かに、煩いよね。

 熱中し過ぎて、汗は噴き出す、息は上がる。

 アルフさんも何故か楽しそうだし、その顔に私が、きい、となり。むきになる。

  カンカンカンカンカンカン

 どれくらい打ち合っていたか、リツさんの雷が落ちて終了。

「今度から、控えてください」

「はい」

「すまん、気を付ける」

「もう、朝ごはんですよ。アルフさん、シャワーでも浴びて鍛治師ギルドに出勤してくださいよ。ルナちゃんもそのままじゃ風邪引くわよ」

「はい」

「すまん」

 リツさんがまったくもう、と言って屋敷に入る。

「怒られたな」

 アルフさんがイタズラがばれた子供みたいに笑う。

「そうですね」

 私は肩を落とす。リツさんに怒られちゃったよ。アンナとクララに申し訳ないな。次から気を付けよう。

「しかし、いい汗かいた」

 アルフさんが襟元を引き上げ、顔の汗を拭く。

 ん?

 アーサーがアルフさんを目を見開いて、凝視している。なんだろうと、視線の先を辿ると、ばっきばっきに割れた、アルフさんの腹筋。うわあ、すごい。さすが、筋力の高いドワーフの血を引いているなあ。

 いかん、いかん、あんまりみたら失礼だ。

 視線を外すと、アーサーがこっそり自分の薄い腹を見て、肩を落としている。男の子なんだけどかわいいなあ。

「どうした二人とも?」

「いいえ、なんでもないです…」

 アーサーがしゅんとなって答える。

「あ、アルフさん、先にシャワー使ってください。遅れますから」

「ルナが先に使え」

「後でゆっくり入りますから、先に使ってください。遅れたら怒られますよ。ほらほら」

 目に浮かぶ、槌を振り回す鍛治師ギルドマスターのバルハさん。

「さ、早く早く」

 アルフさんの背を押してお風呂に押しやる。

 台所にマリ先輩とローズが揃っている。

「ルナちゃん。何やってたの?」

 マリ先輩が聞いてくる。

「アルフさんとアーサーと槍稽古をちょっと」

「ちょっとって、汗だくだよ」

 マリ先輩が、顔浮かんだ汗を拭いてくれる。

 ホリィさんが慣れた様子で配膳。

 本日はコッペパンにスクランブルエッグ、白身魚のソテーにタルタルソースが盛られている。甘いカボチャのスープ付き。

「ホリィさん、これ、朝ごはんにして」

 リツさんが同じ内容の朝食を渡す。

「こんなに沢山…」

「衣食住はこちらの責任ですからね。あ、もしダメな食材あれば言ってくださいね。足りない時も言ってください」

 奴隷契約に関して、いろいろ話し合いがされた。食事に関しては朝夕はリツさん達が作った食事を作り渡す。食べるのはホリィ一家の部屋で、アーサーも一緒だ。昼はホリィさんが自分で準備。ホリィさんの部屋にはミニキッチンもあるし、冷蔵庫もあり、中にはリツさんがある程度の食材を入れている。広さもあるからダイニングテーブルが置かれた。食費も渡されている。

「ありがとうございますリツ様。いただきます」

 ホリィさんはアーサーと手分けして、朝食を運んでいく。

 朝食をとっていると、髪を少し濡らしたアルフさんが入ってくる。ローズさんがさっと配膳。

「すまんな」

「アルフさん、アーサー君はどんな感じですか?」

 スープを飲みだしたアルフさんに、リツさんが聞く。

「まあ、筋は悪くない。ちょっと遠慮を感じるがな。始めたばかりだから、まだ、様子を見んとな」

「そうですか」

 私はコッペパンを飲み込み、リツさんに提案。

「今日、アーサーの冒険者登録したいんですが、いいですか?」

「いいわ、私も行った方がいいよね」

「そうですね。リツさん、アーサーの主人だし」

「分かった」

 朝食後、ホリィさんと、お揃いのメイド服を着たアンナとクララが片付けをしてくれた。張り切ってました。アルフさんを見送り、庭の草むしりをしようとしていたアーサーを捕まえ、私、リツさん、マリ先輩、ローズさん、みんなで行くことに。私は着替えた。ちょっと寒い。まあ、大丈夫だろう。

 冒険者ギルドでアーサーの登録が無事に終了する。


 アーサー レベル5

 15才 農家 奴隷

 スキル・火魔法(4/100)・土魔法(9/100)・闇魔法(19/100)・時空間魔法(14/100)・魔力感知(19/100)・魔力操作(8/100)・槍術(5/100)

 隷属・リツ・サイトウ

読んでいただきありがとうございます

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