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受け入れ①

家族。

ちょっと短め。

 ティラ商会から戻って数日、あわただしく過ぎて行った。

 家具を配置、必要な物品チェック、鍛治師ギルド。毎日毎日、何かしら忙しい。

 ホリィ一家は使用人部屋でも、一番大きな部屋、アーサーはアルフさんの隣の部屋。アンナとクララは近くの教会の読み書きの無料教室に通う手筈を整える。私達の誰かが教えたらいいんだろうけど、社会性を養うためと通うことに。教室の人たちは快く受け入れてくれた。

 そして、受け入れ当日の昼過ぎに、ティラ商会の馬車が五人を載せ到着。リツさん達が作った新しい服を着て、奴隷紋がなければ、分からないほど身綺麗だ。

 ガードマン・ガーディアンに驚いていたが、ホリィさん、アーサーの魔力登録終了。アンナ達はまだ小さいから保留。

 屋敷の中を案内。ちびっこ達は新しく作ったブランコに夢中になる。初めての使用で危ないのでローズさんが着いている。

「基本的には、どこでも入っていいですが、子供達だけで工房は入らないでください。炉があるので危ないので。一応、鍵はかけますが」

「分かりました」

 リツさんが説明。これは、アルフさんからも言われていた。

 まだ、遊びたいちびっこ達をなだめて、屋敷の中へ。土禁の説明もする。各自のスリッパに履き替えて、リツさんの案内継続。まず、使用人部屋だ。

「広い、広いよ、お母さん」

「わーい」

 アンナとクララは二段ベッドによじ登る。

「あのリツ様、こんな広いお部屋、よろしいんですか?」

「はい、使ってください。空いていますし。奥の小部屋は子供達が大きくなった時に必要になるかもしれないし」

 ホリィさんは恐縮しているが、リツさんは気にしないでと続ける。

 部屋では、積み木に夢中なルドルフとお姉ちゃん二人、マリ先輩とローズさんを残し、アーサーの部屋の案内。

「ここ使ってね。隣はアルフさんが使うから」

「え、アルフさんが隣?」

「そう、ここでいいってアルフさんが言うから」

「そうですか、あのアルフさんは?」

 キョロキョロするアーサー。

「アルフさんは鍛治師ギルドよ。本職は鍛治師なの」

 リツさんが説明。

 荷物をおいてホリィさんとアーサーを屋敷内を案内。リツさんがどこを掃除してほしいか要望を伝える。

「ある程度きれいなら構いません。ただ、週に1~2日は休みを入れます。食事はこちらで自分たちの分は用意しますので」

「「はい」」

「今日は初日なので、一緒に食べましょう。ホリィさんの部屋の冷蔵庫にもある程度食材置いていますから、必要なものがあれば、言ってください」

 リツさんの言葉に戸惑うホリィさんとアーサー。

「リツ様、私達は奴隷です。ご主人であるリツ様と同じ食卓は…」

「なんかそうらしいですね。実は私、今までに奴隷制度のない所いて、よく分からないんです。なので気にしないでください。よそはよそですから」

「はあ…よくしてもらいすぎな気がします」

「自分もです」

 そうだね、ひどい所は納屋みたいな辛うじて雨露凌ぐ程度の小屋に、ボロを纏って、食事も最低限だし。

「気にしない気にしない」

 それから魔道具の説明。自動お掃除魔道具には、驚いていた。

 夕方近くになって、アルフさんが荷物を背負ってやって来た。

「リツ、世話になるな」

「ええ、部屋はあそこで大丈夫ですか?」

「構わんよ、おそらく寝に帰って来るようなもんだからな」

 相変わらず忙しいみたいね鍛治師ギルド。アルフさんが荷物を部屋に置いている間に夕食の準備。とは、言っても朝から作ってリツさんのアイテムボックスに入っていたのを出すだけだけど。

 具沢山のホワイトシチュー、カボチャとニンジンのサラダ、柔らかいロールパン。

 ホリィさんも早速お手伝い。

「では、今日無事に新しい家族を迎えました。よろしいお願いします」

 リツさんの挨拶で、夕食開始。まあ、ホリィさんとアーサーは驚いていたけどね。家族、なんて、言われたし。ホリィさんは涙ぐんでるし。アーサーは嬉しそうだし。

「お母さん。このシチュー美味しいよ」

「パン、柔らかい」

 アンナとクララがもりもり食べる。分かったかいちびっこ達よ。リツさんの料理、マリ先輩のパンは美味しいんだよ。ティラ商会でも、食事は出ていたと思うが、お腹が膨れるほどではないし、美味しいはものなんて出ないだろうし。硬い黒パンによくて薄いスープくらいだろう。

「沢山食べてね。アーサー君、おかわりあるからね」

 無言で食べていたアーサーは顔を赤くする。シチュー皿はすでに空だった。


 夕食後、ホリィ一家は早めの就寝。

 工房でアーサーの練習用の槍と模擬剣をアルフさんが作成。私とアーサーはそれを見学。

 あっという間に出来たよ。

「どうだ?」

 アーサーが手に持つ。

 長さ、丁度いいみたい。

「ルナはいるか?」

「え、いいんですか?」

「すぐできるからな」

「お願いします」

 アルフさんは私用の槍もあっという間に制作。

 よし、これで、槍術アップできる。うふふ。

「普通、女はこんなのもらって喜ばんのだかな…」

 アルフさん、聞こえてますよ。

 それからアーサーの戦闘スキルについて話し合う。槍術はアルフさん、剣術は私となる。ドワーフの剣術はどちらかというと叩き割るような感じだからね、同じ人族の剣術がいいだろうという?ことに。

「後は盾術も欲しいな。木材あるから、簡易盾も作るか」

「体術もあるといいですよね。冒険者ギルドの基礎講座の確認をしましょう」

 私とアルフさんの話が進む。

「あの、こんなにしてもらっても、いいんですか?」

 アーサーが心配している。

「何、言ってるの? こっちが育てるって言ったんだし」

「そうだな。心配するな。儂は今鍛治師が忙しいから、あまり槍術の相手はできんが、朝くらいなら大丈夫だろう」

「明日、早速冒険者ギルドに登録して、基礎講座確認します」

 話が進む。アーサーをおいて。

 朝食前に、アルフさんによる槍術講座となった。たまに鍛治師ギルドに泊まり込みになるため、アルフさんがいる日は基本的に行われることになる。

 その朝の槍術講座で、私とアルフさんは次の日、怒られることになる。

読んでいただきありがとうございます

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