出会い⑥
一区切りです。ちょっと短いです。
フードの人物はリツと名乗った。歳は15。私より年上だ。
身寄りがおらず、知り合いの家に間借りしているが、何とか自立できるようになりたいと、ポーション作りを学んだ。やっと販売できるレベルのポーションができ、買い取ってもらうため今日初めて冒険者ギルドやあの商店を訪れたと。だが結果はあれだ。
あれから他の商店に持ち込んだが、どこも同じく門前払いだ。ちょっとポーションを見せてもらったが、下級ポーションと魔力回復ポーション、品質に問題ある様には感じない。
3件目の商店で断られ、リツさんは諦めたが、マリ先輩はもう1件回ろうと粘った。
「あ、あそこ、あそこに行きましょう」
マリ先輩が指したのは冒険者ギルドの裏にある、小さな商店だった。古びた看板にフリイ商店と書かれている。ちょっと狭い店内はたくさんの種類の雑貨が置いてある。全体的に冒険者向きのものが、一通り揃っている。
カウンターには気難しそうな頑固親父風の店主が座っていた。リツさんはマリ先輩に支えられ、ポーションの詰まった籠をカウンターに差し出した。
「すみません。ポーションの買い取りをお願いしたいのですが」
店主は一瞬眉を寄せたが、無言でポーションを手に取る。まず下級ポーション、次に魔力回復ポーション。
「下級が1500、魔力回復が4000。新しい瓶が不要なら300追加だ」
おお、正規の買い取り価格だ。
リツさんはまさか買い取って貰えると思わなかったのか、戸惑っている。
「あ、瓶は新しいものが欲しいので、その値段でお願いします」
「なら下級ポーションが15本22500 魔力回復ポーションが7本で28000。全部で50500。金貨がいいいか?」
「えっと、10000は銀貨でお願いします」
「金貨4枚、銀貨10枚、銅貨5枚だ」
カウンターに金貨、銀貨、銅貨を並べる。リツさんは硬貨を全部数える。
「はい、確かに。ありがとうございます」
リツさんは硬貨を抱き締める様にして、頭下げた。マリ先輩も安心したように一緒に頭を下げる。フリイ商店を出ると、リツさんは深々と頭を下げる。
「ありがとうございます。皆さんのお陰です。本当にありがとうございます」
リツさんは何度もお礼を述べる。マリ先輩は気にしないでと笑う。
「私達、しばらくマルベールにいる予定だから、良かったら声をかけて」
「はい、ありがとうございます」
それからリツさんと少し話して別れる。最後にもう一度リツさんは頭を下げ、足を引き摺りながら歩いて行った。その後ろ姿を見えなくなるまで見送る。
「ローズ、ルナちゃんありがとう。ごめんね付き合ってもらって」
「いいえ大丈夫ですよ。さぁ今から冒険者ギルドに行きましょう」
ようやく本日の目的の冒険者ギルドへ。フリイ商店は冒険者ギルドの裏にあるのですぐだ。
中に入ると少し混みあっているが、初心者・相談用の窓口は空いていた。
若い女性が営業スマイルで迎えてくれる。
「ようこそ。クリスタム王国冒険者ギルド本部マルベールに」
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