表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/386

引っ越し準備②

狩って来て。

ちょっと短め。

 役場まで歩いて10分。すぐ近くに冒険者ギルドや商人ギルド、鍛治師ギルドなどがある。

「結構人がいますね」

 リツさんが辺りを見渡しながら聞く。

 多種多様の種族に、職種の人達が歩いている。ギルドが近いせいか、余計に多い気がする。露店も活気がある。

「そうだね。街道が通ったりしたから、余計にね。あ、あそこがマルシェだよ」

 ナリミヤ氏が指した先には、沢山の人が行き交うマルシェ。

「生活に必要なものは、大体ここで揃うよ。家具屋はちょっと奥ね」

 あそこのお肉の処理きれいだよ、果物はあそこと奥にある赤い旗のお店がオススメだよ、野菜はね、なんて教えてくれる。

「ナリミヤ先輩は自炊しているんですね」

「こっちに来た時はね。今は忙しいから、やってもらってる」

 話をしているうちに役所に到着。

 ナリミヤ氏とリツさんが奥に向かい、私達は備え付けベンチに腰かける。

「あ、騎士隊だ」

 マリ先輩が開け放たれた窓から、颯爽と馬で進む騎士隊を見つける。

「ここは辺境伯が統治していますから、その辺境伯の騎士隊でしょうね」

 ローズさんが答えている。

「あれ、ここって国境近いの?」

「いえ、確かクリスタム最大の魔の森が近いのと、街道が通る前はここが、ワイバック王国との最前線だったはず」

 魔の森とは、簡単に説明すると、魔物がいっぱいいる森。開拓しようにも、リスクが大きすぎるので、広がらないようにするのが最良の策。辺境伯がその任にあたっているわけだ。おそらく冒険者ギルドも大きいのだろう。結構な数の冒険者が行き交っている。

 しかし、ワイバック王国か、あまりいい噂聞かないな。ライドエルとは、クリスタムを挟んでいるから直接的に干渉はないが。

「今は新しいミュートという城塞都市が最前線です」

 ローズさん物知りだね。

 しばらくしてナリミヤ氏とリツさんが戻ってくる。

「お待たせしたね」

「手続き終わったわ。冒険者ギルドカードって、免許証みたいなのね」

 メンキョショウ? あ、きっと異世界のギルドカードね。

「そうだよ。ギルドカードはそういった役割あるからね」

 なくさないように、とナリミヤ氏。わかってますよ。

「じゃあ、家具屋に行こうか」


「お願いルナちゃん、トレント狩って来て」

 只今家具屋です。一番の目的、ダイニングテーブルの前で、マリ先輩とリツさんがお願いしてきた。かわいい二人のお願い攻撃に、私の生命力が削られる。

 ちょうどいいサイズのダイニングテーブルがなく、さんざん悩んだ結果、ナリミヤ氏の一言。

「トレントなら魔の森にいるよ。自分の好きなサイズで作れるとおもうけど」

 それで、これだ。レベル200越えがなに抜かしてる。

 トレントは高級家具によく使われる。丈夫だし、防腐力あるし、防虫力もあり。だから、お値段がいいのよ。

「いや、あのですね、簡単にトレントなんて狩れませんよ。トレントなんて斧か鉈が必要だし」

「ルナちゃんなら、一刀両断できそうだよ」

 気軽ね、マリ先輩。相手は樹の魔物よ。薪じゃないのよ。枝やら根やら、時には木の実で攻撃してくるんだから。しかも生木よ。刃が食い込んで大変なのよ。前世でひどい目にあったから嫌なのよ。

「だから、私をなんだと思っているんですか? 無理ですよ無理。一人じゃ無理」

「君、レベルは?」

 のほほんとレベル200越えが聞いてくる。きぃー。

「24です」

「高いじゃないか。大丈夫だよ、君ならできるよ」

「レベル200越えてる人に言われてもね」

 私は嫌みで切り返す。

「大丈夫だよ、ほら、僕が作った剣なら火魔法全力でかけたら」

 なんでこの人必死に私を励ましてるの?

「とりあえず、何か手頃なものを選んではどうでしょう? トレント材が手に入っても、すぐに加工は無理でしょうから」

 ローズさんの助け船。ありがたく乗ります。

 しぶしぶ諦めてくれるマリ先輩とローズさん。後ろで店員さんが疲れてます。

 結局、6人掛けのダイニングテーブルと椅子。ソファーにローテーブルを選び、リツさんがアイテムボックスに入れる。

 店員さんが丁寧にお見送りしてくれた。ナリミヤ氏はここトウリでは、有名人みたい。出歩くときはフードをしっかり被っている。

 まだ、夕方にはなってないが、ナリミヤ氏が申し訳なさそうに帰宅時間を告げる。

「構いません、こちらがお世話になっているんですから」

「すまないね。あ、そうだ。僕、ワープ使えるけど、複数人を運べることは内緒にしてくれる? ちょっといろいろあって」

 わかってますよ、軍事利用されそうだものね。

 ん、待てよ。帰るって、また、ワープ? えぇ、やだなあ。

 ちらっと、ローズさんを見ると、青ざめてました。

読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ