表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/386

引っ越し準備①

お庭にて。

ちょっと家賃と家の価格変わりました。

 お昼になる。

 庭にローズさんがいつぞやのシートを敷き、茶器やお皿が並ぶ。

 せっかくいい天気だからと、外で、となった。家の中は空っぽだからね。

「なんだか、いつもご相伴に預かって」

「ナリミヤ先輩、気になさらないでください」

 リツさんはアイテムボックスから、俵型のおにぎりを出す。ご飯なのに、形が変わると名前が変わる。不思議。ご飯でいいんじゃないかな、と思っても口に出しません。

 ナリミヤ氏が「ご飯には緑茶だよね」と、言ってローズさんに茶葉を渡している。

 後、出てきたのは長方形の黄色の塊、玉子焼きだ。ふふふ、これ、美味しいのよね。甘くて。マリ先輩のはちょっと塩味だけど、こちらもこちらで美味しい。唐揚げ、オーク肉の野菜巻き、やった、一口コロッケだあ。

「今日はトマトコロッケ、とうもろこし入りコロッケよ」

 リツさんが説明してくれる。どちらもいただきますよ。

「いただきましょう」

 わーい。

 リツさんの挨拶でいただきます。

 トマトコロッケは、おお、トマトの酸味があり、とうもろこしのコロッケは甘味があって交互に食べたら無限に入りそう。あ、唐揚げも、あ、ニンニクとウサギの角と何だろう、すごく香ばしい。

「マリ先輩、リツさん、唐揚げがいつもと違う感じですね」

「あ、分かる」

 マリ先輩は嬉しそう。基本的に調理はマリ先輩とリツさんだ。

「ちょっと醤油を混ぜているのよ」

 リツさんが答えてくれる。

「香りがいいですね」

「醤油ッ醤油ッ」

 ナリミヤ氏が興奮してる。

 おにぎり片手に唐揚げを箸で摘まんで器用に食べてる。相変わらずいいたべっぷり。ああ、せっかくの美形が、台無しだよ。

 横で見ながら、ローズさんのお茶を一口。

 あれ、何か、いつもと違う。苦味がある。色も緑だ。

「このお茶もいつもと違いますね」

「ああ、緑茶だよ」

 ナリミヤ氏が二つ目のおにぎりを食べながら教えてくれる。

「緑茶は蒸して作るんだよ。紅茶と同じ葉だけど、生成過程でこうなるんだ」

 へぇそうなの。

「お米には緑茶が合うよね」

 そう言われたら、そうかも。

 まあ、全部美味しい。

「で、拠点決まったけど。一応役所で登録しなきゃいけないから」

「はい」

 お腹が落ち着いてナリミヤ氏とリツさんが話してる。

「後、今日は家具屋か鍛治ギルド行って見る?」

「そうですね」

「ある程度は錬金術でできるけど、材料がないとダメだしね」

「材料ですか。陶器とかはこだわりたいかな? フライパンや鍋もいいサイズ欲しいです」

 屋敷の中は何もないけど、ベッドと布団あれば、何とかなると思うが、食器や調理器具がないから、揃える必要がある。

 まあ、私は寝る所あれば、いいけど。

「陶器や鍋なんかの材料は鍛治師ギルドにあるけど、ちょっと高いかも。材料を現地で手に入れることもできるけど、鍛治師ギルド登録してないとダメだからね」

「ナリミヤ先輩は鍛治師ギルドにも、登録しているんですか?」

「短期間ね。どうしても鉱石が欲しくて登録したんだけど。三年くらいから鍛治師ギルドに納税してなくて、除籍されてね」

 鍛治師ギルドから怒られ、再登録を迫られたが、冒険者として忙しい時期で見送り、今に至る。

「鍛治師ギルドの中に入るとややこしいから、僕は外で待ってるよ」

「なら、今日は家具屋に行きます」

「わかった、役所の後に行こうか」

 話がまとまり、食器類を片付ける。

 ナリミヤ氏が誘導し、私達は屋敷の外へ。金属の扉の向こうに、ガードマン・ガーディアンが二体。

「個人登録しようか」

 あ、はい。どうやって?

 ナリミヤ氏がガーディアンの胸付近をぱかりと開ける。え、そんなに簡単に空くの? 胸の奥に赤い球体がある。

「これが、ガーディアンの心臓だよ。基本的には登録した人が、構造を知ってなくては開けられないけどね。さ、この心臓に魔力流して。冒険者のカードに流すくらいでいいよ」

 いや、結構、怖いけど。

 そんな私を他所に三人は興味津々で、覗き込んでいる。

 私も恐る恐る魔力を赤い球体に魔力を流す。

「これで、出入りが楽だよ、さ、役所に行こうか」

 私はチラチラとガードマン・ガーディアンを振り返り、後に続いた。


「まず、ダイニングテーブルかな? お皿やカトラリーはローズのマジックバックにある程度あるけど」

「ありがたいけど、あの家のことは、頼れないわ。まだ、予算あるから、これで揃えようと思っているの。でも、揃うまで頼らせて貰うかも」

「わかった。いつでも頼ってね」

 マリ先輩とリツさんが微笑ましい会話をしている。

「後、部屋をどうわける? マリちゃんは希望の部屋ある?」

「そうね、ローズどうしよう?」

「できれば、部屋の中で繋がっていたお部屋を希望します」

 あ、あったね。そんな部屋。

 ローズさんとしては、マリ先輩のそばに控えたいのだろう。

「じゃあ、マリちゃんとローズさんの部屋は決まりね。ルナちゃんは?」

「私ですか? あー、エントランスの隅でもいいですよ」

「ダメよ。ダメ。部屋あるから使ってよ」

「じゃあ、使用人部屋で」

「二階の部屋に決定ね。もう、私たちの最高戦力なんだから。もっと胸を張って」

「はあ」

 あ、そうだ。

「リツさん、私、家賃いくら払えばいいですか?」

 まさか、タダで住まわせてもらう訳には行かない。

「え、いらないわよ」

「そんな訳には行かないでしょ」

 私の精神持ちません。

 いらないわよ、と、繰り返すリツさん。しかし、家賃を受け取ってくれないなら、別の宿に行くと行くとごねて、月5万となった。いいのかな? 格安よ、しかも食事付き、お風呂付き、いろいろ付き。本当にいいのかな?

「ルナちゃんがお嫁に行くまで一部貯金ね」

 リツさんの優しい言葉で、本日二度目の吹き出しをした。

読んでいただきありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ