大地の皿④
わいわいと大地の皿のダンジョンアタックが順調に進む。リツさんとマリ先輩がご機嫌だ。皆で張り切ってあちこち探し回り、香辛料やハーブをゲット。
うーん、カレーの薫りー。
明日には脱出するので、リツさんがカレーを作ってくれるって。わくわく。
「お肉はチキンがいいわね。オーソドックスにしましょう。薬膳カレーもあるけど、マルコフさん達は初めてだからね」
準備に入るリツさん。
「リツさん、何を狩って来ましょうか?」
キリッ
「お手伝いよ、ルナちゃん。付け合わせの野菜の下拵えしてくれる?」
「はい」
私はリーフと下拵えする。アーサー畑の野菜を指示通りにカットする。リツさんにはマリ先輩とローズさんがお手伝いしている。何やら、平べったいパンを作っている。
「それ何ですか?」
「ナンよ。これをちぎって、カレーを付けて食べるの。手で食べるスタイルね」
「手で、ですか?」
「そうよ」
あ、米でできたおにぎりや、パンやサンドウィッチを食べるのと一緒か。
リツさんはナンと呼ばれる平べったいパンを、マリ先輩とローズさんに託し、カレーを仕上げる。
「さらさらしたカレーですね」
前回食べたのは、もっと濃厚というか、重量のあるものだった。
「今回はスープカレータイプね。ご飯でも食べれるわよ、ルナちゃん、どっちがいい?」
「えっと」
ちら、とマリ先輩がナンの生地にチーズを仕掛けてる。
「ナンにします」
キリッ
リツさんは、はいはい、と優しい顔だ。
それからも準備が進み、私とリーフがカットした野菜は素揚げや蒸したりして下処理済み。
大量のナンが出来上がり、リツさんのアイテムボックスに保管。カレーは、本当にスープだ。スープには骨付き肉が入っている。それから、私とリーフが処理した野菜を、山みたいに飾る。あら、彩り豊か。
人数分準備していたら、探索メンバーが帰ってきた。
「皆さん、お疲れ様です。先にお風呂済ませてくださいね」
リツさんがエプロンで手を拭きながら、声をかけると、皆さんぞろぞろと準備に。
全員が入れるわけないので、順番待ちが出る。ローズさんが、さ、とお茶を出して振る舞っている。私もローズさんのお手伝い。
「はい、アルフさん」
冷えたストレートティーをアルフさんに渡す。
「ありがとうルナ」
汗を拭いているマルコフさん達にも渡す。シャワーブースには現在女性陣が使用している。
「皆、お疲れ様」
マリ先輩がマフィンを蜘蛛達にあげてる。あ、私の分はっ? 私の分はっ?
あ、ちゃんとたくさん作ってある。良かった。
探索チームのシャワーが終わり、さ、カレーな夕御飯だ。
「えっ? このスープって?」
バーンがスープの色にびっくりしてる。確かに茶色だもんね。
「色々香辛料を使ったスープカレーですね」
リツさんが説明するも、初見の皆さんは戸惑い。
「薫りは抜群にいいが………」
マルコフさんも強面で戸惑い。
リツさんが作ってくれる料理に外れはないですよ。
とりあえず、席について、はい、頂きます。
私はまず、スプーンで蒸したじゃがいもの一部を取り出し、スープカレーをたっぷり染み込ませて、ぱくり。
うわあ、バターチキンカレーとは違う。違うけど、食欲が刺激される美味しさ。お肉はスプーンでホロホロと崩れるほど柔らかく、ナンをちぎって浸して食べても美味しい、あ、中のチーズがナンの熱でとろけて、おっと、ぱくり。あー、美味しいー。
「ルナはなんでも旨そうに食うな」
隣のアルフさんが微笑ましいと言った顔で言うので、ちょっと恥ずかしい。パクパク。
私達がパクパクやっているのを見て安心したのか、他の皆さんもぱくり。
「これはっ、なんて複雑で味わいが深いんだっ」
マルコフさんのコメント、最近専門家みたい。
「本当っ、スッゴク美味しいわっ、野菜も甘くて幾らでも入りそうっ」
と、フレナさん。
「野菜はアーサー君が育てました」
と、リツさんが紹介、アーサー照れっ。
スープカレーは人数分+残念金髪美形分しかないので、おかわりなし。うーん、カレー、食べたい。
「リツ君」
食後、ラッシーと言うドリンクを飲んでいたマルコフさん。
「香辛料、必要だったね。今から、探しに行ってこよう」
真剣に言ってる。
「あ、なら、私もっ」
はいはいっ、2代目握りしめる。
「もう暗いからいいですよ。それにある程度は確保しましたし。ほらルナちゃん、落ち着いて」
もう、とリツさんがマフィンくれた。
「でもスープカレー好評ね。うーん」
マリ先輩がお悩み。
「お店の新メニュー?」
「そう。新しい屋台を考えているのよ。ほら、パンにスープのセットにしようと思ったんだけど」
クレイハート伯爵様、うはうはだよ。
「試験的に、店舗で提供したら? いきなりは受け入れはきついかも」
「そうね。カフェのランチのセットのスープに導入を検討してもらいましょう」
話がトントン拍子に進む。
春になったら、一旦ライドエルに帰国となった。
うちにも寄ってくれるって。嬉しい。お土産、どうしようかな?
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