大地の皿①
ミーナの大地の皿に挑むと決まってからが早かった。まずは鍛治師ギルドに交渉、アルフさんの予定ね。バルハさんとリツさんの激しい攻防の末、1ヶ月の休みをゲット。それを横で見ていてホッとした。やっぱりアルフさんが隣にいてくれたら、私は何とだって戦える。
バルハさんが、お嬢さんのあの顔見たらなー、って。何だろう? それでも移動中でも出来そうな簡単な仕事は持っていくみたい。大丈夫かな、アルフさん。
それから、ミーナまでに通過する街に連絡。ショウが馬車を牽くからね。各ギルドに連絡してもらう。
そして、残されるホリィさん達の食品や、必要な日用品。最大は2人目を懐妊したミヤさんの栄養源だ。妊娠に優しいエルフのリーフがチェックしている。
マルコフさんとフレナさん達も護衛の依頼は断り、こちらに合わせてくれた。
準備が整ったのは、鍛治師ギルドとの交渉後僅か2日後。日頃から料理をしていたし、アーサーの畑やカラーラの野菜が常にあるからね。
「じゃあ、行ってきますね。ホリィさん、ミヤさん、留守をお願いします」
「「はい、リツ様」」
「リツ様、早く、帰って来てね」
「リツ様、アンナ、いいこにしてる」
「リツさま、リツさま」
ちびっこ達がリツさんに名残惜しそうに、バイバイと手を振る。ユウはミヤさんが抱っこしている。
見送られて、ショウの牽く馬車は出発。
いくつかの街を経由したが、やっぱりショウは目立った。これは仕方ないよね。
ここでもノゾミは魔性だ。
「メエメエ~」
「あらあら。可愛いね~」
「こっちおいで~」
「これお食べ~」
「メエメエ~」
絶好調。
街に寄る度これだ。
そんなこんなでミーナに到着する。
トウラより小さいが賑やか。ショウの牽く馬車には、いろんな人が振り返ったけど、仕方ないね。
ミーナは大地の皿と言われるくらい、食べられる魔物がよく出る、肉の屋台がすごい。取れるのは肉だけではない、ハーブや香辛料もかなり多種多様に取れる。ハーブに関してはオーディスにある、生命の雫とひけをとらないそうだ。なので、とってもいい匂い。
「下層に行くにつれ、取れるハーブや香辛料の量が増えて、質もよくなるんだ」
と、マルコフさん情報。
「カレーの材料も手に入りそうね」
リツさんの言葉に、耳がピクピク。
カレーっていろんな香辛料を使うため、なかなか出ないんだけど。
よし、宿に着いたら、2代目を磨ごう。
冒険者ギルドに到着報告して、それぞれのパーティーで宿を取る。分かれる前にリツさん、マルコフさん、フレナさんで話し合い。
1日の休みを取り、明後日大地の皿に挑むことになる。
コテージタイプの宿を取り、アルフさんはなにやらお仕事に入ったのでお邪魔にならないようにした。
軽く買い物に行くと、リツさんとマリ先輩、リーフの買い物部隊が出撃。アーサーとローズさん、ジェイドさん、ショウが付いていった。
残った面々は武器の整備。ミカエル達は膝を抱えて座って見ている。慣れないなあ。
しばらくして、買い物部隊が帰って来た。
「たくさん買えたわ」
「これでタンドリーチキンなんか出来ないかしら? 屋台でも似たような串焼きあったし」
「やっぱり質がいいですね。このローリエの薫りが抜群です」
ルンルンと美味しそうな話を弾んでやってるのは、リツさん、マリ先輩、リーフだ。その後ろでぐったりしているアーサー、ローズさん、ショウ。そして、初めてみるぐったりジェイドさん。
「ま、毎回こうなんですか?」
「そうですよ」
アーサーが当たり前のように答えている。
お疲れ様。
さ、私はお手伝い。マリ先輩のタンドリーチキンなる単語が気になる。さ、お手伝いお手伝い。ピンクのふりふりエプロンを装備して、と。
「さ、ルナちゃん、一緒に作りましょうね」
「大丈夫よ、そんなに難しくないからね」
「はい」
と、リツさんとマリ先輩が呼ぶので、きりっ、と答えた。
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