調査②
あーだこーだと錬金術チームが悩み悩みパーティーハウスの青写真を作成。マダルバカラに送ってた。
朝晩が冷え込んできた。
せっせと戦闘訓練を繰り返す。たまに魔の森にも行ったり。
「メエメエ~」
ノゾミが絶好調だ。ファイヤーボールをぽこん、ぽこん、と放ってる。よくよく見たら百発百中。
「ノゾミッ、凄いわーっ」
マリ先輩が黄色の声援。そうなるとショウだって負けていられない。見えなくなったと思ったら。なにやら脚に捕まえて来た。レッドボアと呼ばれる赤い猪の魔物。結構大きい。
「凄いわっ、ローストにしましょうね」
「ぴぃ~」
すりすり、とマリ先輩にすりよるショウ。
よし、私も何か、何か、いないかな? うろうろ。
「ルナ、落ち着け。ゴブリンだからと舌打ちするな」
アルフさんが呆れて魔鉄の槍を構えた。
モグモグ、とマリ先輩のスコーンを食べる蜘蛛達。地下の畑の労働力として来てくれた蜘蛛達ね。蜘蛛って、お菓子食べるの? 不思議。モグモグ食べて、いそいそとマリ先輩に催促するように、足を上げてる。
「まあまあ」
と、言いながらおかわりスコーンを上げてる。私は? 私には? 私もいますよーっ。
「ルナちゃん、後でお茶しましょうね」
「はい」
きりっ
地下の畑の管理をしているアーサーが、うーんと頭を悩ませている。
「どうしたの?」
「いえ、ちょっと」
アーサーがペラペラと育成日記をめくる。
「やっぱり、地下のせいか、成長が遅くて」
麦や豆、芋、出来たら保存が効くのをメインに栽培しているが、育成が遅いらしい。
「仕方ないんじゃない、いくら人工の光があっても、ちゃんとお日様に当たってないんだもの」
と、マリ先輩。
「そうですね」
アーサーはぱたん、と育成日記を閉める。
「まだ始めたばかりですから、様子を見ます」
だって。なら、ほら、そろそろ帰らない? お茶、お茶、マリ先輩のスコーン。
でも、次は残念金髪美形の欲望まみれの畑に向かう。ここには、しっかりトレントの堆肥を混ぜている。既にあちこちでカカオとコーヒーの苗が育っている。こっちはすくすく育ってる。
「やっぱり、年数かかりそう?」
マリ先輩が心配そうに聞く。コーヒーやカカオは結構消費するからね。特にカカオはショコラの材料で、クレイハート伯爵が展開しているカフェやショコラ専門店に必要不可欠。カカオはオーディスの一部地域で栽培されているという情報を、あの残念金髪美形をゲットしたらしく、連絡してきた。そこから買い付けても足りないらしい。クレイハート領でも栽培を始めているけど、収穫までおそらく年単位はかかる。私達が定期的にフィーラ・クライエでコーヒーやカカオを確保はしているんだけど、私達にも予定があるし。
蜘蛛達を見送って、やっと地上へ。お茶だ、お茶だ。
居間でローズさんのお茶を頂きながら、スコーンにブルーベリーのジャムを塗って、ぱくり。うーん、美味しいー。ミーシャは赤オレンジのジャムでぱくり。
「やっぱり、時間かかりそう?」
紅茶のカップを傾けていたリツさんが心配そう。色々アドバイスしてたもんね。
もぐもぐ。
「ええ。仕方ないわ。魔法で成長させたら枯れちゃうし。のんびり構えるわ」
「また、フィーラ・クライエ行きましょうか?」
もぐもぐ。次は、クロテットクリームで、と。
「無理しなくてもいいわよ。来年までは在庫あるから」
「そう。でも、安定した確保はしたいわよね?」
「出きればね」
次は、リンゴジャム。
「お前、まじでよく入るな」
呆れかえるサーシャ。お菓子の甘いものはあまり口にしないサーシャ。好き嫌いはダメだぞ。パクパク。
結局、色々話して、春になったら短期間でフィーラ・クライエに行くことに。それから、一度チャレンジしたいと、ミーナの大地の皿に挑むことに。
「アルフさんのお仕事聞かないと、あ、マルコフさん達にも声かけないと。ミカエル達の戦力アップもしないと」
「ショウの馬車なら、ミーナまでどのくらいかしら?」
「おそらく、一週間程かと」
と、リツさん、マリ先輩、ローズさんが行動計画を立てている。
さ、次はアプリコットジャム。
「ルナっち、さすがに食べ過ぎじゃない?」
リーフまで言われた。
「お前だって、5個目じゃん」
サーシャの突っ込みが鋭く入った。
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