調査①
長らく更新ができず申し訳ないありません。
不定期ですが、ゆっくり再開したいと思います。
季節が過ぎる。
あのメーデンでの騒ぎのあと、アーサーのたぬきな両親は拘束されて、トウラに移送された。借金奴隷であるアーサーに金の要求をした。つまり、それは主人であるリツさんに行われたことになる。理由があのアーサーの兄、ゴーマンの支度金だからね。まったくリツさん関係ないし、だいたい、アーサーが借金奴隷になったのそのゴーマンのせいなんだから。
「あの日、奴隷として売られたって時はショックでしたけど、今はリツ様に買ってもらえて幸せだと思ってます」
この子、いい子。思わずよしよし。サーシャもよしよし、アルフさんまでよしよし、ノゾミは足元ですりすり、アーサー照れてれ。
で、たぬきの両親は、犯罪奴隷としてトウラの地下下水道掃除を父親は8年、母親は5年課せられた。もし、これが実際にアーサーからお金を巻き上げていたり、ケガでも負ったら+5~15年。もし、リツさんにまで実害あれば恩赦なしと慰謝料ね。今回はいろんな人達がガードしてくれた。だけど、未遂とはいえ、恐喝だからね。特に奴隷を通しての恐喝は悪質とされる。
白熊町長さんからの報告を聞いた時、アーサー、顔色一つ変えなかった。ただ、心配なのは、トウラにいるのならどこかで鉢合わせしないかだ。
「大丈夫じゃないか? 確か、犯罪奴隷の収容所はトウラの外壁のはず。ここから離れておるぞ」
「そうですか」
なら、大丈夫かな。でも向こうから突っかかってきたら、迎撃すればいいだけ。
「さ、皆、今日はお料理デーよ」
リツさんがエプロン付けて呼ぶ。
はーい、私、パン粉作ります。これで、コロッケ、コロッケ、きりっ
ミュートに護衛に行っていたフレナさん達が無事に戻り、時々戦闘訓練を行う。
「ちょっとルナちゃん、レベル上がりすぎてないっ」
組んでいたエレからブーイング。
「そうですか?」
「とぼけても無理よ、アーサー君の動きまで良すぎっ」
アーサーはフレナさんとサリナ相手に圧倒している。アーサーもとぼけた顔してる。
訓練後、マリ先輩がケーキを、ローズさんがお茶を出してくれる。いただきます、きりっ
「チーズケーキよ。上手く出来てるかしら」
マリ先輩のケーキに外れはありません、ぱくり。
チーズケーキといわれたけど、まんまチーズって感じではない。しっとりしてて、滑らか。しっとり部分と下のスポンジ生地の間に、ラズベリージャムがあり、いいアクセント。見た目シンプルだけど、美味しい。
「とっても美味しいですっ」
きりっ、きりっ、きりりっ
「そう? 良かったわ。お店の新しいスイーツにしようかしら」
いいと思います。パクパク。
それからマリ先輩はレシピを書き上げて、ライドエルに送っていた。クレイハートが展開しているカフェやケーキ屋さんの新メニューだね。
そんなこんなで、時期は夏から秋に入りかかった頃、アーサーが18になり、ミーシャが15で成人を迎えた。
皆で盛大にお祝いしましたよ。隅でサーシャが目をごしごししていたけど、見ないふりした。そして冒険者ギルドカードが書き換えられる。Gだ。なにやら不満そうだけど。
「ミーシャ、あれと比べたらダメだぞ、違う生き物なんだからな」
と、サーシャ。相変わらず失礼だね。
その次の日、ミーナからマルコフさん達も帰って来た。
同時にマダルバカルから、バーミリアン殿下からもお手紙が。
拠点となるパーティーハウスの設計にそろそろ入るようで、もし希望があれば返事を、だって。
はい、燃え上がる錬金術チーム。
「やっぱりお風呂とキッチンは欠かせないわ」
「なら、配管ね」
「部屋数も必要です。二階建てがよろしいのでは?」
「なら二階にもトイレが必要ね、となると配管の位置は」
「「えーっと」」
熱心に頭を寄せ会うリツさん、マリ先輩、ローズさん。
「アルフ?」
わざわざミーナのお土産をとどけてくれたマルコフさんが、三人を示す。
「いつものことだ、気にせんでくれ」
と、アルフさんは気にもせず、コーヒーを傾けた。
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