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帰って来る女たち④

戦闘してます。

ご注意ください。

 ショウと斥候達が先頭になり、魔の森を進む。途中で夜営する。結界効果のある鞘を囲む。

 テントや馬車の中にある設備に、始終驚いている。

「まさか、魔の森の中でシャワーが浴びれるとは」

 ライナスさんが肩にタオルをかけて出てきた。クリタナもシンザとトルバもほこほこしている。

「さあ、皆さん、夕御飯ですよ」

 エプロンつけてリツさんが呼ぶ。

「ここ、魔の森よね?」

「そのはずだ」

「いいじゃないか、旨い飯が食える。幸せじゃ」

 頭を寄せ会う『暁』のメンバー。

 ウサギ肉のソテー、ラタトゥイユ、じゃがバター添え。リツさん特製腸詰めに、アーサー畑野菜のピクルス。カボチャポタージュ。マリ先輩の白パン。

 すっと、並ぶ『暁』メンバー。現金だね。

「いつもこんな食事なのかい?」

 ライナスさんがリツに聞いてくる。

「はい、食事は基本ですからね。スープとラタトゥイユ、パン、ピクルスはまだありますから、しっかり召し上がってください」

「あ、はい」

 皆さん、おかわりしていた。

「いやあ、本当に旨いなあ。全部、お嬢さんが?」

 トルバが白パンにラタトゥイユを挟んで食べている。

「皆で作りました。パン関係はマリちゃん、このラタトゥイユやスープは確かルナちゃんよね」

「はぐ、はひ、そうれす」

 いかん、口の中に色々入ってしゃべれない。

「ほう、こちらのお嬢さんが。確かこちらの御仁と婚約したと聞いたが、いい嫁さんになるぞう」

 う、嬉しい。

「先を越されたな、クリタナ」

「ふんっ」

 シンザの皿の腸詰めを、クリタナのフォークがさして、クリタナの口の中に。

「おいっ、残していたんだぞっ」

「ふんっ」

 ウサギ肉の最後の一切れまで。

 仲のいいこと。

「すまない、騒がしくて」

「いいえ」

 ほほほ、と笑うリツさん。

 それからそれぞれパーティーから交代で夜営の番を出して休んだ。


 次の日。

 朝御飯の具だくさんポトフとライ麦パンを食べて、出発。

 昼近くになり、三兄妹に異変が。

「鼻が曲がる…………」

 斥候として前に立ち、嗅覚を研ぎ澄ませていたサーシャが渋い顔だ。

 あ、ゴブリンの臭いね。私も生ゴミを臭いがするな、と思ってたけど。しかも、風下だから、余計にきつい。

 ショウやノゾミも嫌な顔をしている。

 アーサーが闇魔法で嗅覚を鈍らせている。

 臭いの原因のゴブリンの巣。

 高台から覗くと、わあ、わじゃわじゃわじゃわじゃ。

 倍? いや、3倍いるんじゃない?

 鼻を摘まんで、リーダー達が相談。やめる気はないけどね。

 まずはシンザのフレアレイン、アルフさんはグランドドリルで奥方面を襲撃。後は私達が魔法を叩き込む。ショウは右側から遊撃に周り、弓を使う三兄妹とリーフ、ガブリエルは左側から森の中から移動しながら弓で打ち落とす予定だ。

 2代目、ポーションも確認。

 アーサーが続けて支援。

 シンザとアルフさんが魔法に集中する。

 魔法を使える私達も準備をする。

「フレアレインッ」

「グランドドリルッ」

 空から降り注ぐ炎の矢、地面から突き出す土の槍。

 ゴブリン達が一斉に悲鳴を上げて逃げ惑う。

 ライナスさんが合図を出して、私達も魔法を放つ。

 汚い悲鳴が魔法で焼き付くされていく。

「もう一発ッ」

 再び詠唱に入り、魔法が炸裂する。

 私はそれに加わらず、2代目に魔力を流す。フレナさんとイレイサーもだ。2人の剣にも衝撃斬刃が付与がされた。

「行きますッ」

 私とフレナさん、イレイサーが魔法が収まった中に飛び出して、衝撃斬刃を放つ。

 ゴブリン、スパスパ切り飛んでいく。

 やっぱり、きついなっ。魔力ごっそりやられた。

 素早くアルフさん達タンクが立つ。

 私はアルフさんの後ろで魔力回復ポーション一気飲み。

「シールドバッシュッ」

 アルフさんの盾術が炸裂する。

 関節がおかしな方向性曲がったゴブリン達が、空に舞い上がる。あいかわらずすごいなあ。

「よし、ルナ、ミカエル、続けッ」

「はいっ」

「イエッサー」

 アルフさんの後ろに私とミカエルがつく。アーサーが中間に陣取り、リツさん達にウリエル、ラファエルがタンクをしながらゴブリンを弾き返している。それぞれのパーティーで展開する。

 もう、ポーンくらいならウリエル、ラファエルでも問題なく倒している。

 ショウは遊撃に回り、次々に不可視の刃を飛ばし、矢も立て続けて放たれている。

 奥から煙を揚げて出てきたゴブリンキングを、アルフさんの十文字槍が首を切り飛ばす。一撃でしたね。ジェネラルもいたが、私達の敵ではない。足止めしてから、ミカエルがトドメを刺す。

「ぴぃぃぃぃぃっ、ぴぃぃぃぃぃっ」

 ショウが警戒の声をあげる。

 地面に広がる、白い線。

 見たことある。

「クイーンがおるぞッ」

 アルフさんが声を上げる。

「ショウッ、クイーンを探してッ」

 マリ先輩が指示を出す。ショウは旋回を始める。

 地面から出てこようとするルークの額に、剣を突き立てる。わざわざ待つことはない。ミカエルも私に習って、次々に突き立てる。せっせと突き立てる。

 だけど、それでもかなりの数のゴブリンが出てきた。

 あらかたのジェネラルを倒したので、アルフさんは魔鉄の槍に持ち変える。

 断続的に現れるゴブリンを斬り倒しながら、少しずつリツさん達と合流。

 アーサーが薙刀振り回し、ローズさんは無表情でゴブリンを切り飛ばす。リツさん、マリ先輩、ノゾミ、アリエルは魔法を次々放つ。ウリエルとラファエルも、盾と武器を交互に出してゴブリンを打ち倒す。アルフさんの動きを彷彿とさせる動きだ。

 ショウが急旋回に急下降、そして上昇。その足には、ゴブリンが一匹。クイーンだ。ショウはそれを地面に叩きつける。首が完全に曲がる。再びショウは上昇し、遊撃に回る。

 どれくらい斬り倒したか、最後のルークをフレナさんが首を跳ねて、やっと終了する。

 さあ、これから、大変だ。

 残るのは、死屍累々と転がるゴブリンの死体。


 終わったのは夕方だ。

 ゴブリンの死体を埋め、浄化、魔石のあるのはすべてリツさんのアイテムボックスに。

 いまから帰ってもルーバの街は門を閉めているため、結局夜営だ。

 ある程度移動してから夜営する。

 ああ、シャワーが気持ちいい。

 こざっぱりしてから、夕御飯のお手伝い。

 シーフードシチューだ。温かい。

 配膳し、パンを配り終えたアーサーにそっと聞く。

「越えた?」

「はい」

読んでいただきありがとうございます

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