帰って来る女たち③
ナリミヤ氏の話はこうだ。
まず、三年経ったので、まずダラバの女達の様子を確認。反省しているなら、条件を着けて帰国させる。
条件は、まず、リツさんに対する謝罪の意思表示と2度とリツさんと接触しないことだ。
もし、反省していない、条件を守れないなら、三年延長すると。
そして、故意に近付いたら分かるように、ナリミヤ氏が魔道具を作ると。リツさんにある程度近付いた反応すると。
「どうするんですか?」
リツさんに聞く。
「特に異論はないわ。ただ、こちらにわざわざ会いにきて欲しくないことだけは伝えたわ。ナリミヤ先輩との関係は変わらない。地下の畑の件もあるしね」
「リツさんがいいなら、いいですが………」
とうとう来たか。
みんな、厳しい顔だ。特にアーサーが厳しい顔だ。
今すぐではないが、もうすぐ、リリィの月だ。
もう三年か。
ナリミヤ氏の話から、リリィの月になり、帰国予定はそれから2週間後だ。
あと、1ヶ月後だ。
マリ先輩が、一時的にクレイハート本邸に避難するかと提案したけど、リツさんは首を横に振る。
「それはちょっといいわ。どちらにしても、一度は対面するから、クレイハートの皆さんに迷惑はかけれない」
リツさん、覚悟はあるんだ。赤髪エルフと対面する覚悟が。
「心配してないわ、みんないるから」
あっけらかんなリツさん。
まあ、信頼してくれているんだ。
「まあしばらくは様子を見ましょう。さ、みんな、お茶にしましょう」
次の日、鍛冶師ギルドに。
目がいってた皆さん、落ち着いているからほっとした。
「いやあ、すまなかったなあ。目の保養になったぞ」
武装一式戻って来た。ああ、良かった。しかも、ピカピカに磨き上げられた武装一式。女将衆から、素朴な焼き菓子、スコーンを頂いた。
武装一式を装備し、鍛冶師ギルドを出る。
「しかし、お前さん、いい腕だな。よくマダルバカラが手放したな」
別れ際にギルドマスターに言われ、アルフさんが曖昧に笑う。
それから、ライナスさん達『暁』と合流。
初めてショウの牽く馬車に、驚いている。空を飛んでいるのに驚き、トルバは固まっている。
ゴブリンの巣の依頼を出したのは、マリベールとトウラの中間の街だ。ルーバの街。トウラと比べると半分以下だ。何でも近くの魔の森で、小規模の巣があり、ルーバの拠点の3つの冒険者パーティーが討伐した。討伐した中堅クラスの冒険者が、まだ妙な気配があるような気がしたが、負傷者が多く、捜索を断念し、マリベールの冒険者ギルドに依頼を出して、ライナスさんが受理した。
「メエメエ~」
馬車の中で、ノゾミは絶好調だ。
かわいいと大好評だ。
お陰で空を飛んでいるのを忘れている。
3日で到着。
「素晴らしいな、こんな短期間で着くなんて」
暁の皆さん、始終驚いていた。
すぐに冒険者ギルドにリーダー達が向かう。
その間にショウが近くの魔の森の上空を飛んで回る。
「あのグリフォン、ずいぶん賢いなあ」
トルバが感心したように見ている。マリ先輩が胸を張る。かわいいなあ。
しばらくしてリーダー達が戻って来る。
「明日、魔の森に入るわ。前の巣の場所は分かっているしな」
今回指揮を執るのは、ライナスさんとなる。
「今、ショウが探索しています」
「そ、そうなのかい?」
「次期帰り来ますよ」
なら、ショウの帰りを待ってからとなる。
宿をそれぞれ取り、ショウを待つ。
夕方になって帰って来た。
「ピィピィピィピィ」
「そうなのね、分かったわ、お疲れ様ショウ」
「ピィ~ピィ~」
通訳のマリ先輩が撫で撫で。
「奥に大規模な巣があるようです」
大規模ね。
「ピィッ、ピィッ」
「そうなの? このメンバーなら、殲滅可能のようです」
「大規模だが、大丈夫なのか?」
アルフさんが心配そうだ。
「あのゴブリンの巣の倍だそうです」
あれから、三年。
かなりレベルアップしたし、武装のクラスアップしている。これは全員だ。
「ちょうどいいわ、ミカエル達のレベルアップも出来るわ」
あ、ミカエル達もいた。確かにゴブリン相手なら十分な戦力だ。ゴーレムの中で、最高レベルはミカエルの35だ。
確かに戦力が倍以上になっている。
リツさんが情報を持ち、アルフさんとライナスさん、マルコフさん、フレナさんと相談。
追加で冒険者パーティーを募集するか考えたが、あまり長期間になりたくないので明日出発となる。
近くまでショウの馬車で行ける場所があるから、そこに移動してから徒歩だ。魔の森のかなり奥だそうで、日帰りは不可だ。
それから、簡単に準備をして休んだ。
で、次の日。
「こちらが私のゴーレム達です」
ちゃ、とポーズを取るミカエル達。
ぽかんとなるライナスさん『暁』のメンバー。
「ゴ、ゴーレムまでいるのかい?」
「はい」
ちゃ、と別のポーズを取る。いつの間に覚えているんだろう?
更にぽかんとされる。
ショウの馬車に乗り、移動する。
魔の森の木々すれすれを飛行し、少し開けた場所に到着した。
装備を確認し、魔の森を進んだ。
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