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三度目の決闘⑦

 ペンダントが無事に修復された。

 嬉しい、嬉しい、嬉しい。

「ありがとうございます、アルフさん」

「いいさ」

 私は嬉しさが隠しきれなくて、笑顔が浮かぶ。アルフさんはそんな私を見て、優しく微笑んでくれる。

 ディーダ殿下が面会に来た次の日、バーミリアン殿下を見送った。

「お前ら、いいかげにしろ」

「キイキイ」

「ガウガウ」

「まあまあ」

 マリ先輩にしがみつく猿とサイに、バーミリアン殿下は頭を抱える。マリ先輩はちゃんとお菓子を包んでくれていて、箱に釣られて猿とサイが移動。どんだけ胃袋掴まれているんだろう。

「では、これで失礼する。なかなか楽しかった。アルフ」

「はい、殿下」

「そろそろ、地竜の咆哮にテストアタックをしてはどうだ?」

「そうですな」

 アルフさんが悩む。

「まあ、まだ拠点が出来上がっていないからな。出来上がれば、冒険者ギルドを通して連絡しよう」

「はい、殿下」

 バーミリアン殿下を見送り、私達も次の日帰宅の徒についた。

 今回はお父様とお母様、ジェシカをコードウェルに送り届けて、一泊し、首都に向かい、クレイハートの別邸に泊まる。

 相変わらず、豪邸。

 3日間で、錬金術チームが、クレイハートが展開しているレストランやカフェや食堂を調査している。私も着いていった、屋台のコロッケモグモグ。どこも人で一杯だ。マルコフさん達もフレナさん達もお客さんとして、行っていた。マリ先輩曰く、覆面調査と。

 噂のショコラ店は、大行列で、整理の人も忙しそうだ。

「どうしましょう、支店を出すにも職人がいないわ」

 マリ先輩がお悩みモード。

「地盤を整えないとダメよ。店があっても、人がいなければ回らないわ」

 リツさんが答えている。

「そうね、焦っても仕方ないわ。職人が育てば、お店に出せるショコラの数も増えるから、支店はそれからね」

 それからも、食堂やレストランを見て回る。

 たい焼きの屋台もあり、リンゴジャムをパクパク。

 マルコフさん達は食堂、屋台。フレナさんはカフェを回る。

「どこも多かったが、ボリュームもあるし、旨いし、値段も手頃だから、通う気持ちは分かるな。日替わりメニューってのがいいな。毎日違うメニューが食べれるから、楽しみになると思う」

「カフェも多かったけど、ケーキがとても美味しかったわ。見ためもきれいだし、お店も肩を張らずに入れるし。それにメニューも限定とか新商品とかかれたら、思わず注文したくなっちゃう」

 ですって。

 三兄弟もカフェに行っていた。甘いのはあまり食べないサーシャは最初は渋い顔していたが、軽食があり、ほっとしていた。甘いものばっかりのカフェもあるそうだ。私はアルフさんと屋台を回る、パクパク。

 しっかり視察して、問題点を出して、改善策を模索し、指示を出している。

「カカオの消費は、職人がどれくらい育つかで変わるわね。ねえ、アーサー君、カカオってどれくらいで育つかしら?」

 あの残念金髪美形の欲望でできた、地下の畑ね。

 聞かれたアーサーは首を傾げている。

「初めて食物ですから、なんとも言えません。数年はかかるのではないでしょうか?」

「そうね。そうよね」

「マリちゃん、しばらく様子を見ましょう」

「そうね」

 この様子なら、またフィーラ・クライエ行くなあ。あ、ポテトチップス、ありがとうございます、パクパク。

 錬金術チームが色々指示を出してから、やっとクリスタムに向けて出発した。


 特に問題なく、クリスタムの首都、マリベールに到着。

 冒険者ギルドに到着報告する。リーダー達がそれぞれ報告に行く。アルフさんだけ、鍛冶師ギルドに手紙の配達に向かっているのでいない。

 私はつらつらと依頼の紙を見る。久しぶりだなあ。あの頃、よく無料講座みたなあ。

「なあ、君」

 今日は槍講座ね。思い出すなあ、ここのギルドマスター。元気かな。

「君、君、そこの君」

 グラウスさんに、挨拶した方がいいなか。

「そこの黒髪の君」

「なんだうるさい」

 げんなりして振り返る。

 そこには、優男風の男性冒険者。

「やあ、君。見ない顔だね」

 頭から足までみられる、気持ち悪いなあ。

「何ですか?」

「ふふ、良かった話をしないかい? みた感じ、新人だよね? 冒険者の心得なんかを」

「はいっ、ストーップッ」

 バーンが飛び込んでくる。

「はい、この子はダメダメッ。まず新人じゃないから」

 はい、三年目。

 ちらり、と視線を走らせると、アーシャとミーシャがナンパされて、サーシャが撃退している。それからアーサーがシンザが絡まれている。えぇ、まだあきらめてないの? リーフがひきはがしている。マリ先輩とローズさんは、ショウとノゾミは宿でお留守番だ。サリナ達は知り合いに挨拶に行っていない。

「なんだお前は? 僕は彼女と話しているんだ」

「僕はこの子の知り合い」

「知り合いなら、引っ込んでいろ」

「ダメ。そんなことしたらアルフに顔向けできない」

 しゃー、とバーンが威嚇。

 イレイサーとバラックまで来て、しゃー、しゃー。

 向こうも仲間が現れる。なんだなんだと、野次馬が囲む。もう晒し者だよ、やだ。

 押し問答が続く。

 どうしよう。

「やあ、ルナ君じゃないか」

 ふいに呼ばれて振り向くと、ライナスさんがにこやかに来ていた。向こうでシンザがトルバやクリタナに回収されている。

「ラ、ライナス………」

 私に声をかけてきた優男風冒険者が怯んでいる。

「ん? 誰だ?」

 ライナスさんが優男風冒険者に聞くと、優男風冒険者がぐっと詰まる。

「僕はBランク冒険者の、チャーリーだっ」

 そう。

「そうか。で、彼女に何かようか?」

 歯牙にもかけないライナスさん。

「用がないなら、行ってくれないか? 彼女達に話があるんだが? ルナ君、君の所のリーダーの女性は? 確かリツさんだったね? 一緒にやって欲しい依頼があるんだが」

 ライナスさん、完成無視。

「おい、リーダーに話があるなら、彼女は関係ないだろう? こっちに渡せ………」

「聞こえなかったのか? あっちに行ってくれないか?」

 諦めの悪い優男風冒険者に、ライナスさんは睨みを効かせる。

 そうこうしていると、アルフさんがやって来た。いつものラフな格好で。

「あ、アルフー」

「なんだ? なんの騒ぎだ?」

 威嚇するサーシャ、アーサーを庇うリーフ、ライナスさんとバーン達に守られる私。じたばたしているシンザ、それを抑えるトルバとクルタナ。

「やあ。今日は鎧は着ていないんだな」

「あんなの着て歩き回ると、色々な」

 肩をすくめるアルフさん。見る人がみたら、バレるからね。バルハさんやダビデさんからも、あまり着て歩き回るなと、釘を刺されている。

「で、なんだこの騒ぎは?」

「ルナちゃんが、絡まれたんだよ。こいつに」

「ほぉ」

 バーンの説明に、アルフさんの目が細くなる。

 優男風冒険者は、アルフさんを見ながら胡散臭い目だ。まあ、格好がラフな格好だからね。

「なんだお前は? どっかの使いか?」

 そうなるね、普通は。

「答える義理はない」

 ばっさり答えるアルフさん。

 私はそっとアルフさんの後ろに隠れる。

 それから、優男風冒険者は完全に無視されて、話が進む。なんでも首都とトウラの中間にある街の近くに最近ゴブリンが多く目撃されていて、調査依頼があるそうだ。

 ふーん、春先はゴブリンや魔物の活動が活発になるからね。

「無視するなッ」

 優男風冒険者が、私に掴みかかろうとして、アルフさんが腕を鷲掴み。一瞬骨が軋む音がして、突き飛ばす。

「ルナに触れるな」

 地を這うような声でいい放つ。

 派手にしりもちをつく、優男風冒険者。

「く、僕を突き飛ばしたなッ」

「お前が彼女に手を出そうしたからだろう?」

 ライナスさんがあきれた声だ。

「僕が先に目を着けたんだぞッ、さっさと渡せッ、僕はビーバ侯爵家の人間だぞッ」

 なんだか、厄介な事になりそうな、気がしてきた。

 アルフさんもため息ついてる。

読んでいただきありがとうございます

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