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三度目の年⑦

 フラワン男爵一行さまとの面会は滞りなく終了。

 お父様達のお話は、エリックとソフィア嬢の結婚時期だった。

 2人の意思に任せることになった。

 エリックは学園を高等部まででてから、文官として働き、ソフィア嬢をしっかり養える基盤を作りたい。いずれコードウェルを継がなくてはならないけどね。ソフィア嬢も司書として働きたい。フラワン男爵家も台所事情は厳しいようだ。なんせまだまだ小さな子供がいるからね。出来ればかわいい弟妹達の為に、少しでもお金を入れたいそうだ。しっかりしたご令嬢だ。貴族の子供は、皆が皆、成人したら爵位があるわけではない。爵位を継げるのは長子のみ。女性の場合はどこかに嫁ぐか、男性は婿養子に入るのが、爵位を得る事ができるが、そうそうない。それ以降は財力や自身の功績がないと爵位なし、平民と一緒になる。

 うちもフラワン男爵も、大した財力もないため、爵位を振り回してまで、2人の結婚を急がせるつもりはない。

 出来れば、フラワン男爵当主夫妻がご健在で、結婚式には自分の足で立って立ち会いたい、出来ればひ孫を抱っこしたい。それくらいが向こうの要望だった。孫、聞いたら25人もいるそうだけど。

 孫かあ、私もお父様とお母様に、抱っこしてほしいなあ。

 夢で見た、アルフさんそっくりな男の子。

 ……………………

 いかん、いかん、いかん。

 孫の前に、いろいろあるし、ダメダメ。は、恥ずかしい。

 顔に血が集まる。

「ルミナス様、どうなさいました?」

 ソフィア嬢が心配してくれる。

 私は誤魔化して答える。

 アニタお義姉様、ハンナお義姉様の言葉が、脳筋の頭に甦る。


「いいかい、ルナさん、アルフの前で子供の名前はどんなのがいい、男の子がとか女の子とか聞いちゃダメよ」

「何人ほしいとかもダメ」

「どうしてですか?」

「子作りオッケーサインなんだよ」

「基本的にはドワーフは婚前交渉しないんだけどね。このサインがあれば、子作り目的ではなくても、できるわけ」

「「意味分かるわよね?」」

 私の小さな脳筋が爆発。

「アルフはルナさんにぞっこんだし。サインが出たら嬉々として受けとるわよ」

「まあ、ルナさんが嫌がれば、思いとどまるかも知れないけど。アルフも男だし、惚れた相手からのサインなら、止まらないかも。ドワーフはちょっと性欲強いから」

「「分かった?」」

「……………………はい」


「どうしたルナ?」

 アルフさんの声に私の心臓が羽上がる。

 必死に誤魔化した。

 エリックまで心配してたから、たぶん、うまく誤魔化せてなかった。

 あ、お父様とお母様にも、口止めしないと。

 何て思っていると。

「ねえ様が赤ちゃん産んだら、ジェシカ、お手伝いするねっ」

 私とアルフさんが噴き出したのは、言うまでもない。


「ルミナス様、どうかお気をつけてください」

 フラワン男爵一行さまが宿泊先に帰る際、ソフィア嬢が心配してくれる。すっかりジェシカと仲良くなったフラワン男爵家の子供達。10歳のディビット様、8歳のリリーナ様、6歳のレイナ様は、笑顔で手を振っている。お持ち帰りにと、クッキー渡すと、私にまで懐いてくれて嬉しかった。

 見送ると、おばあ様に呼ばれる。

 明日の『決闘』についてだ。

 前回、バインヘルツのナービット伯爵が関わった事で正式に謝罪があったが、それがきっかけで、今年は来賓として来ると。まあ、政治的な理由よね。前回の件はウェルダンは謝罪を受け入れ、バインヘルツと和解してますよ、としたいのだと。

「来賓はディーダ殿下よ。今は王位継承権を放棄されているけれど。ルミナス、コードウェルの名に恥じない戦いを」

「はい、おばあ様」

 本当にジェイドさん、お留守番で良かった。ディーダ殿下って、あの残念金髪美形の脳筋お友達だよね。次にレベル200って噂のある人だよね。ジェイドさんの話だと、獅子の獣人だと。

「それから、マダルバカラからも来賓がいらっしゃいます。外交訪問されていたバーミリアン殿下が、来賓としていらっしゃいます。ルミナス、分かっていますね」

 バーミリアン殿下まで来るのッ。

 噴き出しそうだが、私は冷静に「はい」と答える。

 きっかけはやはり前回の『決闘』だ。ご子息のイスハーン殿下が参加したのをきっかけに、ウェルダンと熱心に交流しているそうです。

 よし、一撃だね。

「ルナ、顔」

 アルフさんが注意してきた。

読んでいただきありがとうございます

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