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三度目の年⑥

 二日の滞在後、ウェルダンに移動する。

 春祭りは明明後日だ。

 ルイースおばあ様はまったくおかわりなく、お元気だ。何故か後ろの騎士隊長さんがものすごい顔でアルフさんをロックオンしてる。アルフさんは知らん顔。

 マルコフさん、フレナさん達も挨拶は済み、客間に通される。

 それから直ぐにお出かけだ。

 ミーシャが今年も子供の部に出ると言って、申し込みに行った。優勝候補筆頭だな。

 それから、リツさんとマリ先輩(ローズさんの手による町娘風の変装)、ローズさん、リーフ、アーサーの買い物部隊も出撃。ショウとノゾミはお留守番だ。庭師の人達が撫でている。

 私は両親とアルフさんと数日間の日程確認。

 まず、明日はエリックの婚約者、フラワン男爵家との面会だ。去年は私が『決闘』に懸けられるし、ゴタゴタがあって、フラワン男爵も都合がつかなかったので流れた。

 フラワン男爵は首都に居を構えた文官一族。ただ、財力はうちと変わらないのは、代々子沢山だからと。今の当主は7人兄弟、その子供は5兄弟、そして次期当主の子供達が8姉弟だ。エリックの婚約者は8人姉弟の一番上の長女だ。エリックに聞いたら、穏やかでかわいいし、しっかり者のご令嬢だと。家にいたら、大好きな本が読めないから図書館デートが楽しいと。

 うん、私と違う。

 もちろん両親は向こうとは面識はある。ただ、向こうの家族揃っては初めてだ。うちは、私達5人と私の、こ、婚約者のアルフさん、名付け親のルイースおばあ様のみ。何故かマリ先輩も来ようとして、ローズさんに止められる。

 明日、ウェルダンのお屋敷で会うことに。

 正式な婚約は、クレイハート伯爵様の立ち会いとなり済んでいるから、ご挨拶だけの簡単なものだ。

 お昼過ぎに会うから、軽い格好でいいし。

 せっかくだからと、買い物から帰って来たリツさんとマリ先輩がお菓子を作成。私も加わり結局皆でワイワイ作った。

 名物の赤オレンジのタルトの素晴らしいこと。パウンドケーキやジャムサンドクッキーにもなる。マダル芋のスイートポテト、ホワイトメープルのクッキーも作った。

 明後日には私は闘技場に摘めなくてはならない。忙しい。

 いよいよ次の日、エリックが学園から帰って来た。シュタム様もだ。

「姉のために申し訳ありません」

「いいえシュタム様、ご恩を返せる機会をお与えくださってありがとうございます」

「大丈夫なんですか? ジェイムズ様はお強いですよ」

「問題ございません。木刀があれば、中型のグリズリーとためが張れます」

「相手は人ですよ、ルミナス嬢、人ですからね」

 シュタム様からも釘を刺された。

 身支度を整えて、フラワン男爵を待つ。待つ。待つ。

 え、時間、かなりずれてるけど。

 1時間以上待ってやっと来た。渋滞していたようで、フラワン男爵一行さま、平謝りだ。仕方ない、明日から春祭りでたくさんの人がウェルダンに詰めかけているからね。

 そして、大所帯だ。

 当主のフラワン男爵夫妻、嫡男夫妻、その弟、でエリックの婚約者のソフィア嬢は、泣き叫ぶ幼児を抱えている。うん、8人姉弟だと聞いていたけど、壮観。まだ一歳になってない男児の双子、さらに3歳にもうすぐなる女児の双子。6歳の女児、8歳の女児、10歳の男児。で長女がソフィア嬢15歳。

「も、申し訳ございません。遅れまして……………」

 白髪頭のフラワン男爵当主が平謝り。

 盛大に泣く、2組の双子。こりゃ、大変だ。

 とりあえず、客間にご案内するが、泣き叫ぶ幼児4人をメイド達に預る。

 まずはご挨拶。

「ご挨拶が遅くなり申し訳ございません、エリックの姉、ルミナス・コードウェルです」

 本日はローズさんデザインの淡い水色のワンピースでございます。

「婚約者の鍛冶師アルフレッドです」

 アルフさんもご挨拶。アルフさんはリーフデザインのスラッとしたスーツだ。

 フラワン男爵夫妻、ソフィア嬢のご両親の嫡男夫妻、その弟ともご挨拶はすむ。ソフィア嬢の残った弟、妹二人もきちんとご挨拶。まあ、ご挨拶の後は、ジェシカと一緒にお茶している。

 私は落ち着いてソフィア嬢を見る。フワッとした金髪に、緑の目、かわいらしい顔立ちの小柄な女の子だ。うん、かわいい。

 フラワン男爵夫妻、嫡男夫妻、うちの両親は難しいお話を始めたので、私達は固まって話をする。おずおずと話していると、明日の事を聞かれる。

「あの、ルミナス様、明日、その、良かったらお祭り一緒に………」

 うん、もじもじしてかわいいなあ。

「ごめんなさい、明日、私は闘技場に詰めないといけないから」

「え? ルミナス様、どうして」

 私がマリ先輩の代わりに出ることを説明する。

「大丈夫なんですか? ジェイムズ様はとても強い方ですよ」

 フラワン男爵一行さまが心配してくれる。

「問題ございません。木刀があれば、中型グリズリーとためが張れます」

 沈黙するご一行様。

「ソフィア、気にしないで」

 エリックがフォロー。

「あ、ああ、ご冗談ですよね」

 ほほほ、と、笑うソフィア嬢。だけど目だけはすごい疑心暗鬼だ。

「確か先代のエルランド卿は優秀な騎士でしたな。きっとルミナス嬢は、エルランド卿の血筋を引いたのでしょうね」

 フラワン男爵当主までフォローに入ってくれた。

 もう、本当なのに。

読んでいただきありがとうございます

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